------------------------------------------------------------    ◆アランツァクリーチャー事典     【精霊・神霊】 ------------------------------------------------------------ 【精霊】 〈風の精〉 〈ガリンカの精霊〉 〈光球〉 〈氷の精〉 〈シャドー〉 〈土の精〉 〈ドライアド〉 〈光の精〉 〈炎の精〉 〈水の精〉  精霊は生命体ではない。『精』という言葉には「元気の源」「混じりけのないもの」という意味がある。アランツァ世界において精とは、人でないものに存在する魂を指す。自然の力である地火風水のような、もともと魂を持たないものに精が宿るときに精霊と呼ばれる(魂が眠ってしまった樹木のようなものに宿る例もある)。たとえば、樹木が大地に根を張って、水と養分を吸い、育っていく。この樹木には精霊が宿る。だが、これが切り出されて材木になると、精が抜けてしまうため、そこに精霊はもういない。  精霊は基本的に、生物に対する特別な攻撃の意思を持たない。彼らは言うなれば魔力の塊であり、そこにあるだけの存在だ。膨大な魔力が溢れるにともなって、地震、雷、火災、水害など無差別な破壊を引き起こすことはある。しかし、特定の誰かを攻撃するようなことは、魔法使いや、もっと超越的な存在が精霊をコントロールしていないかぎりあり得ない。  精霊は生命体のような感情を持っているわけではないため、魔法使いの呼び出しに応じるときも、魔術師の名を覚えたり親しみを感じたりすることは通常ない。しかし、長い時間をこちらの世界で過ごしている精霊のなかには、人格のようなものを備えている(ように見える)ものもいる。ジンと呼ばれる古い精霊には、人に似た形を取って人間と対話するものもいる。  精霊には「共有意識」が存在する。ブランシェンバイクの山奥で土の精霊に出会ったとしよう。さいわいにも人格のある精霊で、さらに幸運にも君の顔を覚えてくれた。それからしばらく経って、今度は西方砂漠で土の精霊に出会った。すると、その精霊は「久しぶりだな」と言うのである。ただし、このような例はまれで、共有意識が精霊の行動に影響を与えることはあまりない。  精霊というのは、水や火、土や風の象徴であり、神の力の顕現でもある。土はどこにでもあるが、活性化している部分は限られている。精霊というのはその活動的になっている部分、魔力の塊である。  精霊たちに自我がないときは、我々にとって危険な状態である。泉にある水の精霊と、暴風雨と化した水の精霊とではすべてが異なる。洪水はこちらの呼びかけに応じることなく、なにもかも呑み込んでしまう。 ------------------------------------------------------------ 〈風の精〉 レベル:3  生命点:10  攻撃回数:全体(後述) 宝物:後述 ≪反応表≫ 常に【中立】 これは【精霊】に属するクリーチャーである。 このクリーチャーによる攻撃は【風】の特性を持つ。 このクリーチャーは常に【死ぬまで戦う】。 このクリーチャーは全体攻撃を行うため、すべてのキャラクターは毎ラウンド1回ずつ【防御ロール】を行わなければならない。 このクリーチャーには【風】の特性を持つ攻撃や魔法の効果がない。 このクリーチャーを倒した場合、各主人公は1回ずつ【幸運ロール】を行なってもいい(目標値:4)。 成功した場合、「魔力石」を1個手に入れる。 これは魔法使いのための消費物で、使うことで副能力値を減らさずに魔法(魔術、奇跡、呪術など)を行使することができる。 売る場合、金貨20枚になる。 ***  風と稲妻の神、自然神ヴェルディアに連なる。自然の力の影響を受けて大きくなる精霊で、自然状態の精霊のなかではもっとも大きくなりやすい。すべての条件が揃ったときの風の精はまさに災害そのもので、雷雲をともなう暴風となって、進む先にあるものすべてを舞い上げては叩き落とす。ひとつの村を家ごとぜんぶ吹き飛ばすような存在となって、力を使い果たすまで進み続ける。 ------------------------------------------------------------ 〈ガリンカの精霊〉 レベル:3  生命点:10  攻撃回数:なし 宝物:なし ≪反応表≫ 1-4は【中立】 5-6は【後述】 これは【精霊】に属するクリーチャーである。 このクリーチャーは他のクリーチャーの生命点にダメージを与えることはできず、ダメージを受けることもない。 ≪反応表≫で5-6を出した場合、ガリンカの精霊は主人公1人に{ルビ:霊感}インスピレーション{/ルビ}を授けるため、対象は『手がかり』を1個獲得する。 ***  森エルフたちが秘中の秘とする精霊魔術がどのようなものであるか、知っている人間はほとんどいない。人間社会にも知られているのは彼らが複数の精霊と交流があるということと、そのうちの一つがガリンカの精霊と呼ばれる存在であることぐらいである。  ガリンカの精霊は交流することで活力を知的種族にもたらしてくれる。エルフの森の精霊の池に忍び込んだある無謀な学者の話によると、精霊と交わることでミントを噛んだときのようなさわやかな霊的衝撃が全身を駆けめぐるのだという。ガリンカの精霊と交わることで、それまで思いつかなかったようなアイディアが湧くようになるのだという。  ガリンカの精霊は白い霧か湯気のように見える存在で、ふだんは精霊の池の中央で漂っている。この精霊と戦うことはできない──精霊の肉体はインスピレーションによって構成されているため、この世の(あるいはあの世の)武器では傷つけることができない。精霊の方もこの世に物理的な干渉をすることはできず、先に述べたアイディアというカタチで影響を与えることができるのみである。 ------------------------------------------------------------ 〈光球〉 出現数:1d6-1(最低1体)  レベル:3  宝物:なし ≪反応表≫ 常に【敵対的】 これは【精霊】に属するクリーチャーである。 このクリーチャーによる攻撃は【炎】の特性を持つ。 このクリーチャーは常に【死ぬまで戦う】。 このクリーチャーが第1ラウンド以降に倒されるたびに、倒したキャラクターは【幸運ロール】を行う(目標値はこのクリーチャーのレベルに等しい)。 失敗した場合、対象は生命点に1点のダメージを受ける。 このダメージは【かばう】ことができる(該当する特殊技能が必要)。 ***  光球はノードや死体のある地域で発生する魔力体で、精霊の一種だろうと言われている。知能はほとんどない。人間や中型の動物を見ると寄ってくる性質があるが、その目的ははっきりしない。衝撃を受ければその身体はスパークして、魔力を撒き散らして消散する。 ------------------------------------------------------------ 〈氷の精〉 レベル:3  生命点:10  攻撃回数:全体(後述) 宝物:後述 ≪反応表≫ 常に【中立】 これは【精霊】に属するクリーチャーである。 このクリーチャーによる攻撃は【氷】の特性を持つ。 このクリーチャーは常に【死ぬまで戦う】。 このクリーチャーは全体攻撃を行うため、すべてのキャラクターは毎ラウンド1回ずつ【防御ロール】を行わなければならない。 このクリーチャーには【氷】の特性を持つ攻撃や魔法の効果がない。 このクリーチャーを倒した場合、各主人公は1回ずつ【幸運ロール】を行なってもいい(目標値:4)。 成功した場合、「魔力石」を1個手に入れる。 これは魔法使いのための消費物で、使うことで副能力値を減らさずに魔法(魔術、奇跡、呪術など)を行使することができる。 売る場合、金貨20枚になる。 ***  闇神オスクリードに連なる。氷と闇の精霊。アンデッドにも関連。氷の精は水の精のいち形態と解釈されている。大陸の北方や北の極限にある極寒の地方に生息していて、低温によって無作為に生物の命を日々奪っている。人里離れた山々から気まぐれに降りてきて村に侵入し、思うがままに人間たちを凍りつかせて去っていくが、自然そのものと同様、何らかの悪意があるわけではない。このときばかりは人間も必死で戦うが、ほとんどの場合は凍てつく息の前にもの言わぬ氷像と化して終わる。氷の精は吹雪の中央で、水晶めいた人間型の氷像の姿で立っている。  氷の精が人里を襲うのにさしたる理由はない。彼らはまさに自然の一部であり、人の命を奪うのに理由などないのだ。 ------------------------------------------------------------ 〈シャドー〉 レベル:4  生命点:5  攻撃回数:2 宝物:通常 ≪反応表≫ 常に【敵対的】 これは【精霊】に属するクリーチャーである。 このクリーチャーによる攻撃は【闇】の特性を持つ。 このクリーチャーには【闇】の特性を持つ攻撃や魔法の効果がない。 このクリーチャーと遭遇したとき、【器用ロール】を行う(目標値はこのクリーチャーのレベルに1を足した値に等しい)。 成功した場合には、主人公側から行動を行う。 失敗した場合には、このクリーチャーから行動を行う。 このクリーチャーのすがたは{圏点:小さい黒丸}おぼろ{/圏点}なため、【攻撃ロール】に-1の修正がついてしまう。 ***  暗殺によって命を落とす権力者や革命者は古来から多い。あらゆる生き物には死角というものが存在する、視覚的な意味でも精神的な意味でも。影のなかにひそむシャドーに討ち取られた偉人は少なくない。この種族は人間型種族と高額な契約を交わし、対象の影のなかに入り込んで何年でも好機を待ち続けて殺す。  シャドーの肉体はおぼろな影そのものである。触れることはできるが判然としない。混沌の時代に独自の進化を遂げた恐るべきクリーチャーである。不意打ちを得意とし、その姿を捉えることは非常に難しい。 ------------------------------------------------------------ 〈土の精〉 レベル:3  生命点:10  攻撃回数:全体(後述) 宝物:後述 ≪反応表≫ 常に【中立】 これは【精霊】に属するクリーチャーである。 このクリーチャーによる攻撃は【闇】の特性を持つ。 このクリーチャーは常に【死ぬまで戦う】。 このクリーチャーは全体攻撃を行うため、すべてのキャラクターは毎ラウンド1回ずつ【防御ロール】を行わなければならない。 このクリーチャーには【闇】の特性を持つ攻撃や魔法の効果がない。 このクリーチャーを倒した場合、各主人公は1回ずつ【幸運ロール】を行なってもいい(目標値:4)。 成功した場合、「魔力石」を1個手に入れる。 これは魔法使いのための消費物で、使うことで副能力値を減らさずに魔法(魔術、奇跡、呪術など)を行使することができる。 売る場合、金貨20枚になる。 ***  混沌の力に関係する。カルネ―に連なる。混沌のノードがあるところや地下迷宮、高い山の頂きなどに存在する。外見は岩を組み合わせたような姿で、戦うさいには相手と同じ形をとることが多いため、人間の姿をしていると思われている。 ------------------------------------------------------------ 〈ドライアド〉 出現数:1d6  レベル:4  宝物:なし ≪反応表≫ 1-3は【歓待】 4-6は【敵対的】 これは【精霊】に属するクリーチャーである。 このクリーチャーによる攻撃は【打撃】の特性を持つ。 このクリーチャーと遭遇したとき、【魔術ロール】を行う(目標値はこのクリーチャーのレベルに1を足した値に等しい)。 成功した場合には、主人公側から行動を行う。 失敗した場合には、このクリーチャーから行動を行う。 このクリーチャーに対して【炎】の特性を持った攻撃をした場合には、有効な攻撃方法であるため攻撃や呪文などの【判定ロール】に+1の修正を得ることができる。 このクリーチャーが【歓待】を行うとき、これを拒否することもできる。 【歓待】を受け入れる場合、通常の回復を得られる一方、従者の1人は【対魔法ロール】を行わなければならない(目標値はこのクリーチャーの出現数に等しい)。 失敗すると、その従者はこのクリーチャーたちとともに生きることを決意し、主人公への感謝と別れの言葉を述べた後にいなくなる。 ***  世界に点在するさまざまな森の奥深く、ひっそりと生息する樹木のなかに精霊がときとして宿る。彼らはそこで誰にも知られず活き活きと根づいているわけだが、エルフや人間がそこにやってくることもある。一人きりであろうと集団であろうと関係なく、彼らをだまして誘惑する。  一般人に対するもっとも典型的な誘惑方法は、対象にとって魅力的な姿へと変身して、肌もあらわな格好で踊ることでさらなる森の奥へと誘うやり方である。ドライアドは女性であるイメージがあるが、実際には男女両方のどちらにも変化することができる。 ------------------------------------------------------------ 〈光の精〉 レベル:3  生命点:10  攻撃回数:全体(後述) 宝物:後述 ≪反応表≫ 常に【中立】 これは【精霊】に属するクリーチャーである。 このクリーチャーによる攻撃は【光】の特性を持つ。 このクリーチャーは常に【死ぬまで戦う】。 このクリーチャーは全体攻撃を行うため、すべてのキャラクターは毎ラウンド1回ずつ【防御ロール】を行わなければならない。 【光】による攻撃は【アンデッド】の属性を持つクリーチャーに対してのみ効果を発揮する。 主人公側にこのタグを持つクリーチャーがいない場合、自動的に戦闘に勝利する。 このクリーチャーを倒した場合、各主人公は1回ずつ【幸運ロール】を行なってもいい(目標値:4)。 成功した場合、「魔力石」を1個手に入れる。 これは魔法使いのための消費物で、使うことで副能力値を減らさずに魔法(魔術、奇跡、呪術など)を行使することができる。 売る場合、金貨20枚になる。 ***  二神(エスパダとエスクード)に連なる。光の精霊は神聖ノードから生まれた光そのもの。アンデッドに対抗する手段として優れている。 ------------------------------------------------------------ 〈炎の精〉 レベル:3  生命点:10  攻撃回数:全体(後述) 宝物:後述 ≪反応表≫ 常に【中立】 これは【精霊】に属するクリーチャーである。 このクリーチャーによる攻撃は【炎】の特性を持つ。 このクリーチャーは常に【死ぬまで戦う】。 このクリーチャーは全体攻撃を行うため、すべてのキャラクターは毎ラウンド1回ずつ【防御ロール】を行わなければならない。 このクリーチャーには【炎】の特性を持つ攻撃や魔法の効果がない。 このクリーチャーを倒した場合、各主人公は1回ずつ【幸運ロール】を行なってもいい(目標値:4)。 成功した場合、「魔力石」を1個手に入れる。 これは魔法使いのための消費物で、使うことで副能力値を減らさずに魔法(魔術、奇跡、呪術など)を行使することができる。 売る場合、金貨20枚になる。 ***  炎の神カタクに連なる。炎の精霊の姿は炎に包まれた人間か、トカゲの姿をとることが多いが、どのような姿でもとることができる。火山のように活発な運動を行う熱源のそばや、山火事のような一時的な高熱のなかで生まれる。 ------------------------------------------------------------ 〈水の精〉 レベル:3  生命点:10  攻撃回数:全体(後述) 宝物:後述 ≪反応表≫ 常に【中立】 これは【精霊】に属するクリーチャーである。 このクリーチャーによる攻撃は【水】の特性を持つ。 このクリーチャーは常に【死ぬまで戦う】。 このクリーチャーは全体攻撃を行うため、すべてのキャラクターは毎ラウンド1回ずつ【防御ロール】を行わなければならない。 このクリーチャーと戦う場合、その場所が「狭い場所」であるかを確認する(記述がない場合、1d6を振る。1-3であれば「狭い場所」、4-6であれば「広い場所」である)。 「狭い場所」である場合、そこは水であふれ返り、「水中」となる。 【水中】のタグを持たないクリーチャーは戦闘が終了するまで【攻撃ロール】と【防御ロール】に-1の修正(金属鎧を身につけていれば【防御ロー ル】は-2の修正)を受けてしまう。 このクリーチャーを倒した場合、各主人公は1回ずつ【幸運ロール】を行なってもいい(目標値:4)。 成功した場合、「魔力石」を1個手に入れる。 これは魔法使いのための消費物で、使うことで副能力値を減らさずに魔法(魔術、奇跡、呪術など)を行使することができる。 売る場合、金貨20枚になる。 ***  海神ホリィドゥーンに連なる。水の精霊は水のノードか、海や湖のようなたっぷりとした水のあるところに存在する。  水の精は水そのものであり、海などの豊かな水場では通常、人間型種族が見つけることができない。魔法の呪文である1レベルの「魔力探知」に成功すれば、その姿を捉えることができる……嵐や洪水が起こっているときには、複数の水の精をその場に見出すことができるかもしれない。ノードにいるときは透明な水状の女性(この姿のときは特にウンディーネと呼ばれる)の姿をとっていることもあり、その場合にはひと目で分かる。  いかなる武器であっても水の精を傷つけることはできない。いっぽうで、水の精の怒りが個々の人間に向けられることもない。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 【神霊】 〈ポーチ・フェアリー〉 〈女神〉  神霊は謎の多い存在である。精霊と同じく魔力だまりのそばに出現することが多く、人間のような知的種族と関わりを持ちたがる。魔法学者の長年の研究の結果、どうやら神霊は神の力を発現させた、人間のまねごとをする存在らしいことが分かってきた。どうしてそんなことをするのかは依然として分からないが、自分たちと異なる未知の存在である人間型種族に興味を抱いてのことらしいことは分かっている。 ------------------------------------------------------------ 〈ポーチ・フェアリー〉 出現数:1d3 レベル:4  宝物:(後述) ≪反応表≫ 常に【中立】 これは【神霊】に属するクリーチャーである。 このクリーチャーは数が半分以下になっても【逃走】しない。 キャラクターは【防御ロール】に失敗すると、装備品をひとつ盗んで【逃走】される。 装備品を持たないキャラクターは、【打撃】による1点のダメージを生命点に受ける。 ポーチ・フェアリーは物理的な攻撃や魔法によって命を落とさず、代わりに【逃走】する。 そのさい、1体につきひとつずつ、背中にかついだ袋に入っているものを落とす。 プレイヤーはそのたびに1d6を振る。 出目が1か2の場合:『手がかり』をひとつ落とす 出目が3か4の場合:食料をひとつ落とす 出目が5か6の場合:宝物をひとつ落とす(宝物表を1回振る) ポーチ・フェアリーは「はざ間」と呼ばれる特殊な空間(ふとした拍子に人々が落としていったものが貯まっている)から物を取り寄せる力を持っているため、遠い日の特別な失くしもの(若い日の情熱や、幼い頃に大事にしていたぬいぐるみのような)などを回収してくれることがある。 ポーチ・フェアリーは全滅時に宝物を残さない。 ***  ポーチ・フェアリーはずた袋をかついだ、さまざまな色の服を着た小さな妖精である。身長は人間の5分の1にも満たない。  色んなところから人のものを盗む妖精で、おどかすと盗んだものを落とす。すぐ に回収して逃げてしまうのがくせ者だが、落とした一瞬に奪うチャンスがある。  ポーチ・フェアリーは世界に存在する「はざ間」に潜り込むことができると言われている。すき間には誰かが忘れた道具だけでなく、約束や記憶、感情のようなものが落ちていることもある。  ポーチ・フェアリーはときとして、形にならないそのようなものもすき間の外に持ち出す。忘れられた過去の遺物がひょっこりと顔を出すとき、思わぬ波乱が起こることもある。ポーチ・フェアリーはそれを見て高笑いする性悪な妖精だが、彼らのほうから袋の中身を人間に進んで提供することはない。あくまで人間やドワーフやエルフたち知的種族が、失われたものを取り戻そうとしてポーチ・フェアリーを驚かすのである。  ポーチ・フェアリーはこの世とあの世のはざ間にいる存在なため、攻撃を含んだ物理的な干渉を行うことはできない。殴られればものを落とし、もとの世界へと逃げていく。 ------------------------------------------------------------ 〈女神〉 レベル:3  生命点:6  攻撃回数:なし 宝物:修正+1 ≪反応表≫ 常に【中立(後述)】 これは【神霊】に属するクリーチャーである。 女神は泉などにたたずみ、自分のお眼鏡に叶う相手に対して協力する。 主人公側がこのクリーチャーの反応をうかがった場合、各主人公は【幸運ロール】を行ってもいい(目標値:5)。 成功した場合、その主人公は『手がかり』をひとつ入手する。 ***  女神は謎の多い存在である。泉の中あるいはそばに出現しては、彼女なりの基準を満たす(「正しいことをしている」「協力を必要としている」など)対象の願いを叶えようとする。とはいってもあまりできることは多くなく、知っている情報や、冒険者が望む物品をはざ間から拾ってきて提供するぐらいだ。女神とポーチフェアリーは「はざ間」と呼ばれる特殊な空間(ふとした拍子に人々が落としていったものが貯まっている)から物を取り寄せる力を持っているため、遠い日の特別な失くしもの(若い日の情熱や、幼い頃に大事にしていたぬいぐるみのような)などを回収してくれることがあり、そういう意味では特別な存在である。