------------------------------------------------------------    ◆アランツァクリーチャー事典     【動物】 後編 ------------------------------------------------------------ 【動物】 繁殖によって増殖する生きもので、ほ乳類が中心です(ただし、ここではは虫類なども含みます)。 ・殺人リス ・トラ ・火毛猿 ・ファロックス ・変身獣 ・メガレオン ・野犬 ・ワロック ------------------------------------------------------------ 〈殺人リス(Killer Squirrel)〉 出現数:【高度】に等しい  レベル:4  宝物:なし ≪反応表≫ 1【友好的】 2-5は【ワイロ】(2体につき1つの「豊かな果実」) 6【死ぬまで戦う】  これは【動物】に属するクリーチャーである。戦闘では、常に【死ぬまで戦う】。  このクリーチャーは【斬撃】の攻撃特性を持つ。  〈殺人リス〉は、小さく素早い。通常の武器や魔法では狙いが付けづらいため、各キャラクターは【攻撃ロール】に-1の修正を受けてしまう。  ただし、接近戦用の「軽い武器」は、このペナルティを受けず、かえって戦いやすい。そのため、接近戦用の「軽い武器」を用いた【攻撃ロール】では、+1の修正を得る。 ***  殺人リスは小動物のなかではもっとも危険な生き物といえるだろう。鋭い牙をもち、かぎ爪を用いて樹や壁を素早く登る。殺人リスにとって森林の樹や地下迷宮の壁は地面と同じ扱いで、跳びまわりながら獲物に近づき、飽くなき食欲で襲いかかかる。自分よりもずっと大きな生き物であっても、あっという間に食い尽くしてしまう。  殺人リスは非常に素早くまた小さいため、通常の武器ではほとんどまともに捉えることができない。殺人リスと戦うのに有効な武器は短剣のような小さな武器である。  殺人リスの外見は、ふつうのリスとさほど変わらない。違うところは突き出た鋭い牙と、鋭利なかぎ爪だけである。滅多にない満腹時には牙と爪をしまうため、一見するとただのリスのように見える。満腹時であっても攻撃を受ければ激しく反撃するため、ただのリスと勘違いした捕食者はあっという間に犠牲者に早変わりする。  殺人リスは基本的に牙を用いて狩りを行う。弱者に対しては他の仲間よりも速く獲物を手に入れたいという狩猟本能が刺激されて、反撃でも追加攻撃でも牙による攻撃を最優先する。しかし、自分よりも強い相手と感じられる、あるいはガードが固い相手に対しては無闇な行動を止めて、「連携」を用いた狩りに転じることもある。いずれの場合であっても自分の身を守ることは一切しないし、逃げることもない。  殺人リスの心臓は独特の弾力がある食材として知られる。 ------------------------------------------------------------ 〈トラ(Tiger)〉 レベル:5  生命点:5  攻撃数:2  宝物:なし ≪反応表≫ 1-3【友好的】 4-6は【ワイロ】(1d3個の食料)  これは【動物】に属するクリーチャーである。  このクリーチャーは【斬撃】の攻撃特性を持つ。  〈トラ〉と遭遇したさいには、主人公で【器用ロール】を行うこと(目標値はクリーチャーのレベルに等しい)。  判定に成功したなら、普通に〈トラ〉と顔を合わせただけだ。攻撃を仕掛けるか、反応表を振るかは、自由に選んでよい。  判定に失敗したなら、〈トラ〉はパーティに【不意打ち】を仕掛けてくる。この場合、第1ラウンドから戦闘が開始されることになり、〈トラ〉が先に攻撃を行う。 ***  人里離れた森を歩き、トラに襲われて命を落とす一人旅の旅人は多い。強力な肉食動物であり、人間であってもなんなく引き倒して食べる。慎重で滅多に人前に姿をあらわさず、危険が近づいていると知るや住みかにじっと息を潜めて何日も飲まず食わずで過ごす、忍耐強い生き物である。  トラはシカのような草食動物の他に、大イノシシなどの大型の生き物を好んで食べる。トラを倒してその毛皮を所有することは、多くの部族における勇気の証となる。腕に自信のある戦士が虎と戦うために何人となく密林に消えていった。  傷の少ない虎の毛皮は金貨35枚の値がつく。立身出世を願う若者が虎狩りにおもむくことも少なくない。 ------------------------------------------------------------ 〈火毛猿(Fire-haired Monkey)〉 レベル:【高度】+1  生命点:5  攻撃回数:2  宝物:通常 ≪反応表≫ 1-4【ワイロ】(2つの「豊かな果実」) 5【敵対的】 6【死ぬまで戦う】  これは【動物】に属するクリーチャーである。  このクリーチャーは【炎】の攻撃特性を持つ。  このクリーチャーは全身の毛が炎のように高熱を発している。そのため、【炎】の攻撃特性を持つ攻撃をするさいには、【判定ロール】に-1の修正を受けてしまう。 ***  火毛猿は大変珍しい猿で、サラダール地方にそびえ立つ巨大樹に生息している。攻撃態勢を取ったときに、体毛から高熱を発する能力を持っているため、外敵を寄せつけることはない。その皮から作られるクロークは、寒さに対して完璧な防寒具となり得るが、猿なだけに文字通り「敵もさるもの」であり、窮地に陥ったと判断するとすぐに逃走してしまう。生け捕りにするのであれば、枝から枝へと逃げ回られる前に、その動きを封じる手段を用意した方がよいだろう。 {斜線}  真っ赤な体毛からは陽炎が立ちのぼっている。  他の猿はこの獰猛な大猿に見つからないように隠れているようだ。 {/斜線} ------------------------------------------------------------ 〈ファロックス(Phalox)〉 出現数:2d6(下限は6体)  レベル:4  宝物:なし ≪反応表≫ 1-2は【友好的】 3-6は【敵対的】  これは【動物】に属するクリーチャーである。  このクリーチャーは【打撃】の攻撃特性を持つ。  接近戦の武器で攻撃した場合、このクリーチャーは高く跳躍して回避するため、【攻撃ロール】に-2の修正を受けてしまう。  〈ファロックス〉は聴覚に優れているので、楽器に相当する装備品を持っているなら、故意に雑音を奏でることで撃退することもできる。その場合は【幸運ロール】を行うこと(目標値はクリーチャーのレベルに等しい)。  判定に成功したなら、自動的に〈ファロックス〉を3体倒すことができる。この判定の成否に関わらず、そのときに演奏した楽器は、1回分だけ使用したものとする。 ***  ファロックスは大耳狐とも呼ばれる、狐の仲間である。死せる砂漠の魔術師に飼い慣らされ、彼らのために従事していることがほとんどだ。ファロックスは優れた聴覚を持つどう猛な獣で、手なづける方法は先の魔術師たち以外は知らない。そんな魔術師連中でさえ、ときにどう猛なファロックスに噛みつかれて大怪我をし、命を落とす。  ファロックスは砂漠の民の中でも比較的体力が乏しく、それが弱点といえば弱点だろう。とはいえ、余分な肉のない身体は敏捷性に優れており、狩りの際に見せる動きはイヌ科の生き物というよりは大型のネコを思わせる。だが、彼らはネコと違い、野生のものは通常群れで生活する。野生のファロックスは2頭から12頭の群れをつくる。 ------------------------------------------------------------ 〈変身獣(Shape-shifter)〉 レベル:5  生命点:4  攻撃回数:2  宝物:通常 ≪反応表≫ 常に【敵対的】  これは【動物】【人間型】に属するクリーチャーである。  このクリーチャーは【斬撃】の攻撃特性を持つ。  〈変身獣〉に遭遇したさい、クリーチャーは普通の人間に【変身】している。  主人公1人が代表して【幸運ロール】または【魔術ロール】を行うこと(目標値はクリーチャーのレベルに等しい)。  判定に成功したなら、空腹から【変身】の隙を見せた〈変身獣〉の正体を見破れる。そのため、パーティ側から先に行動できる(通常のように戦う)。  判定に失敗したなら、クリーチャーが【変身】していることに気付かない。別れた途端に、クリーチャーは「不意打ち」を仕掛けてくる。この場合、〈変身獣〉の先攻で戦闘が開始されることになり、敵の最初の攻撃では「ランタン持ち」を優先的に狙ってくる。  〈変身獣〉との戦いによって、キャラクターの誰かが殺された場合、次のラウンドでは、クリーチャーは反撃は行わない代わりに、その亡骸を肩に担ぐと【逃走】する。 ***  変身獣は二つ足の生き物に化けることができる、人食いのクリーチャー。食った相手の外見を奪うことができ、都市部で人間などの種族に紛れ込んで生活する恐るべき種族である。  彼らは犠牲者のほとんどすべてを食べ、取り込んで、何もかもを自分のものにする。外見、知識、性格、雰囲気……何もかもそっくりに『変身』するのだ 。だが、獲物を襲う食事のさいには理性が利かなくなり、獣の姿に戻ってしまう。  人間型の生き物を襲うが、食事そのものの回数は頻繁ではない。数日から数週間にいちどで十分である。より凶暴な人狼などと比べて被害は少ないが、そのことがかえって都市部に溶け込みやすくしている。  変身獣の本当の姿は、痩せた猫背の獣だと言われている。瞳が大きく、俊敏で、全身に茶色の短い毛が映えている。豹の遠縁にあたる生き物だろうと言われている。  変身獣への対応法はいくつかあるが、総じて縁者に行方不明者がいる相手への警戒や、肌身離さず武器を持ち歩くことが大切である。 ------------------------------------------------------------ 〈メガレオン(Megaleon)〉 レベル:5  生命点:【高度】+2  攻撃回数:2  宝物:2回(後述) ≪反応表≫ 1-3は【中立】 4-6は【敵対的】  これは【動物】に属するクリーチャーである。  このクリーチャーは【打撃】の攻撃特性を持つ。  〈メガレオン〉は体色を変化させて身を隠すことができる。このため、飛び道具による攻撃は【攻撃ロール】に-1の修正を受ける。  また、硬い表皮により、【斬撃】の攻撃特性を持つ武器で攻撃をするさいには、【攻撃ロール】に-1の修正を受けてしまう。  〈メガレオン〉が【死ぬまで戦う】の反応をしていない限り、生命点が初期の半分になると必ず逃走する(基本ルールの通り)。〈メガレオン〉が【逃走】した場合、宝物を得ることはできない。 {斜線}  この怪物を倒して表皮を手に入れることは怪物狩猟者にとって最大級の栄誉だが、実現できた者は数少ない。 {/斜線} ***  メガレオンは大陸南部にあたるサラザール地方などの熱帯地方に生息する巨大カメレオンである。凶暴ではないが人間型種族を嫌っており、攻撃的な姿勢を常に見せる。 ------------------------------------------------------------ 〈野犬(Stray Dog)〉 出現数:2d6  レベル:3  宝物:なし ≪反応表≫ 1-2【劣勢であれば逃走】 3-5【ワイロ】(2体につき1個の食料) 6【敵対的】  これは【動物】に属するクリーチャーである。  このクリーチャーは【斬撃】の攻撃特性を持つ。 ***  家畜であった犬が逃げ出すか捨てられるかして野生化したのが野犬である。腹を空かせていることが多く、食べられそうな弱者に襲いかかっては腹の足しにする。しかし、自分たちが不利であると感じる場合には遠巻きに様子を伺い続ける。人間に長い間飼われていた名残りか、人の感情を敏感に察知する術に長けている。優れた嗅覚や聴覚を持ち合わせていて、人間の怒りや恐怖を、その汗の匂いや息づかいなどによって把握する。 ------------------------------------------------------------ 〈ワロック(Warock)〉 レベル:5  生命点:5  攻撃数:2  宝物:なし ≪反応表≫ 1【中立】 2-5【敵対的】 6【ワイロ】(2個の食料 or 〈弱いクリーチャー〉1体)  これは【動物】に属するクリーチャーである。  このクリーチャーは【斬撃】の攻撃特性を持つ。  〈ワロック〉と遭遇したさいは、主人公で【器用ロール】を行うこと(目標値はクリーチャーのレベルに等しい)。  判定に成功したなら、普通に〈ワロック〉と顔を合わせただけだ。攻撃を仕掛けるか、反応表を振るかは、自由に選んでよい。  判定に失敗したなら、〈ワロック〉はパーティに【不意打ち】を仕掛けてくる。この場合、〈ワロック〉の先攻で戦闘が開始されるため、反応表を振ることはできない。  戦闘の第0ラウンドでは、このクリーチャーは、荒削りのブーメランを投擲する。その攻撃数は1回で、飛び道具で攻撃できる「戦う従者」から優先的に狙ってくる。攻撃特性は【打撃】である。  投げた武器のサイズが大きいため【防御ロール】には+1の修正が得られるが、「不意打ち」を仕掛けられた場合は、この【防御ロール】のボーナスを得ることはできない。  また〈ワロック〉は、牙と爪を持ち前の武器としているため、投擲をした後であっても、持ち替えの必要なく第1ラウンドから接近戦の攻撃を行える。 {斜体} 日暮れを迎えて停泊した無人島のジャングルから、浜辺に出てきたクリーチャー。 ゴリラを少しだけ細身にしたような姿で、茶色の体毛を持ち、大きな「く」の字型の武器を持っている。 バカにしたように笑う乗組員の顔面に、硬い木製のブーメランが直撃した。 そいつは絶命した乗組員を見下ろしながら歯を見せて……まるで笑い返しているように見えた。 {/斜体} ***  ゴリラを細身にしたような外見のワロックは、同じ土地で暮らす人間の狩猟術を学習しており、まるで部族の戦士であるかのように、木製の大型ブーメランを器用に扱いこなす。遠距離から獲物を狙い撃つ技術は素晴らしく、学者たちの間では「魔術師(Warlock)のような技の使い手」と評されている。一つ問題があるとすれば、その技術は食料を得るためだけではなく、単なる娯楽として用いることも珍しくはないということだ。