------------------------------------------------------------    ◆アランツァクリーチャー事典     【家畜、騎乗生物】 前編 ------------------------------------------------------------ 【家畜】 家畜は人間型種族に飼われている生きものを指します。 【騎乗生物】 家畜の中でも、その背中に乗ることができる生きものを騎乗生物と呼びます。 生きていないもの(からくり仕掛けの乗りもの)も含みますが、ここでのタグは【騎乗生物】です。 ・犬 ・ウォー・ドレイク ・エレファス ・大亀龍 ・大牙狼 ・大グモ ・オストリッチ/ポルルポルル ------------------------------------------------------------ 〈犬(Dog)〉 出現数:1d6+1  レベル:3  宝物:なし ≪反応表≫ 1-2【逃走】 3-4【ワイロ】(2体につき1個の食料、最低1個) 5-6【敵対的】  これは【家畜】【動物】に属するクリーチャーである。  このクリーチャーは【斬撃】の攻撃特性を持つ。  〈犬〉は知覚力に優れているため、各主人公は【器用ロール】を行う(目標値:4)。  失敗したなら、攻撃するかどうかをプレイヤーが決めるのではなく、先に≪反応表≫を振ってこのクリーチャーの態度を決定する(【敵対的】であった場合にはこのクリーチャーが先攻する)。  成功したなら、通常の手順どおりにプレイヤーが攻撃するかどうかを決定する。 ***  犬は人間型種族、特に人間を助けながら、その庇護のもと生きてきた有能な助手である。固い絆で結ばれていて、その信頼関係は深い。四つ足で毛深いほ乳類で、足が速く、あごが強い。集団行動を得意としていて、自分の主人に敵対する可能性がある生きものに対しては容赦なく吠え、ときに攻撃する。その一方で主人の命令に忠実に従うため、冒険においては心強い仲間になる。 --------------------------------------------------------------------------------- 〈ウォー・ドレイク(War Drake)〉 レベル:6  生命点:7  攻撃数:2  宝物:なし ≪反応表≫ 1-2【ワイロ】(1d3+2個の食料 or 〈弱いクリーチャー〉1体) 3-6は【死ぬまで戦う】  これは【龍族】【騎乗生物】に属するクリーチャーである。戦闘では、常に【死ぬまで戦う】。  このクリーチャーは【斬撃】の攻撃特性を持つ。  〈ウォー・ドレイク〉は、炎を用いた攻撃を無効化する。  戦闘の第0ラウンドでは、このクリーチャーは炎の息を吐く。攻撃特性は【炎】で、その攻撃数は1回である。  対象のキャラクターは【対魔法ロール】を行うこと(目標値は、クリーチャーのレベルから1引いた値)。  判定に成功したなら、炎を避けられるので、対象のキャラクターは被害を受けることはない。  判定に失敗したなら、炎によって火傷を負ってしまうため、対象のキャラクターは生命点に1点のダメージを受けてしまう(対象が従者なら、ダメージを受けるのは1人だけでよい)。  また〈ウォー・ドレイク〉は、牙と爪を持ち前の武器としているため、炎の息を吐いた後であっても、持ち替えの必要なく第1ラウンドから接近戦の攻撃を行える。  〈ウォー・ドレイク〉を【騎乗生物】として運用する場合、それは「戦う従者(技量点2、生命点7、攻撃数2)」として扱われ、【斬撃】の攻撃特性を持つ。このクリーチャーは飛行能力を持っている。同行させるには、従者点を12点必要とする。  従者の〈ウォー・ドレイク〉は、第0ラウンドに炎の息による攻撃を行うことができる(【攻撃ロール】に-1の修正)。攻撃特性は【炎】で、その攻撃数は1回である。  〈ウォー・ドレイク〉は、牙と爪を持ち前の武器としているため、炎の息を吐いた後であっても、持ち替えの必要なく第1ラウンドから接近戦の攻撃を行える。  また、炎への耐性を持っているため、炎によるダメージを受けることはない。  規格外の強さを持つ従者だが、大食漢であるため、冒険が終わるたびに牛(金貨40枚)を一頭買い与えるか、ウォー・ドレイクを逃がさなければならない(後者を選んだ場合は【騎乗生物】から外されることになる)。 ***  ウォードレイクは軍事国家であるドラッツェンが繁殖と飼育に成功した怪物で、あまりにも強く凶暴であったため、またたく間に世界中にその名が知れ渡った。その外見は相手を威圧する美しさを備えている。銀色に輝くウロコ。長いかぎ爪。大きく美しい翼。鋭い牙。ルビーのように赤い瞳。腐敗した生きものの死骸にも似たにおいを撒き散らす。戦場では大トカゲに乗ったトカゲ人騎士すら子ども扱いしたという。  ドラッツェンはまたたく間に領土を拡大していったが、世界覇権はならなかった。無敵の軍事力を誇ったウォードレイク1体を維持するために、1日約1頭の牛が必要だったのだ。皮肉でもなんでもなく、ドラッツェンからは牛が消えた。当時ウォードレイクはドラッツェンの象徴として庶民から愛されていたが、毎年少しずつその数は減らされた。軍事費が経済に与えた打撃は大きく、後にドラッツェンが植民地を失うきっかけのひとつとなった。  現在ではこの怪物は野生に還り、都市レベルでの飼育は行われていない。 --------------------------------------------------------------------------------- 〈エレファス/中(Young Elephas)〉 出現数:1d6  レベル:5  宝物:なし ≪反応表≫ 1【逃走】 2-5【友好的】 6【敵対的】 〈エレファス/大(Adult Elephas)〉 レベル:5  生命点:5  攻撃回数:2  宝物:なし ≪反応表≫ 1-5【友好的】 6【敵対的】  これは【動物】【騎乗生物】に属するクリーチャーである。  このクリーチャーは【打撃】の攻撃特性を持つ。  このクリーチャーの攻撃は、対象の生命点に2点のダメージを与える(〈弱いクリーチャー〉は1体だけ倒す)。  〈エレファス〉を【騎乗生物】として運用する場合、それは「戦う従者(技量点1、生命点8、筋力点4点、ダメージ2)」として扱われ、【打撃】の攻撃特性を持つ。同行させるには、10点の従者点を必要とする。  このクリーチャーは【全力攻撃】【全力防御】【かばう】の特殊技能を持つ。  象の遠縁にあたるが雑食で、飼育するには体格の大きさもあって食費もかかる。冒険が終わるたびに羊(金貨15枚)を一頭与えるか、エレファスを逃がさなければならない(後者を選んだ場合は【騎乗生物】から外されることになる)。 ***  エレファスはアランツァにおける象の近縁種である。長い鼻と大きな耳を持つ灰色のほ乳類で、首は短い。象とは異なり雑食で、羊を好む。ガドバレル地方に生息する中エレファスと、ポロメイア地方南部に生息する大エレファスがいる。ジンド大陸にはより多くのエレファスが存在するが、本大陸(ラドリド大陸)ではそれほど多くない。ふだんは群れで行動するが、単独で行動するオスの姿も見られる。  カラメールでは軍事的に訓練されたエレファスが騎乗生物として利用されている。同様のこころみは他国でもなされたが、カラメール以外では成功していない。  象牙と呼ばれる牙には価値があり、金貨(1d6+6)枚で取り引きされる。 --------------------------------------------------------------------------------- 〈大亀龍(Giant Turtle-Dragon)〉 出現数:1d2  レベル:4  宝物:なし ≪反応表≫ 1-4【友好的】 5-6【敵対的】  これは【家畜】【動物】【水中】【騎乗生物】に属するクリーチャーである。  このクリーチャーは【打撃】の攻撃特性を持つ。  亀を大きくしたような外見をしており、陸上では動きも緩慢。  かえる沼のような沼地でよく見かけられる。  水中で戦う場合、主人公たちは【攻撃ロール】と【防御ロール】に-1の修正(金属鎧を身につけていれば【防御ロール】は-2の修正)を受けてしまう。  〈大亀龍〉を【騎乗生物】として運用する場合、それは「戦わない従者(技量点0、生命点1)」として扱われ、【打撃】の攻撃特性を持つ。同行させるには、従者点を1点必要とする。  沼地で〈大亀龍〉に乗っている場合、地形を踏破する場面で【器用ロール】を行うさいには、+2の修正が得られる(乗っている〈大亀龍〉にもボーナスが適用される)。  また、従者の〈大亀龍〉は、主人公の代わりに装備品を5個まで持つことができる。 ***  大亀龍はリクガメによく似た陸上生物である。体格はリクガメよりもずっと大きく、当然ながらよりたくさん食べる。野菜を中心とした食事を好む草食動物である。カエル沼に生息する沼ゴブリンが最初に家畜化した生き物で、今では沼ゴブリンのみならず人間も騎乗生物として利用するようになった。大陸のあちこちでその姿を見ることができる。  乗り心地は牛に近い。安定していてあまり揺れず、速度が出ない。それでも牛よりは速いが、ふつうの陸地であればあまり利用されることのない生物である。ただし、沼地での移動は、大亀龍のほうが優れている。脚が太くどっしりしているうえ、池みたいな場所では泳ぐこともできて、安心して乗ることができる。  また、馬のような繊細さがなく神経が図太いため、気づかいがあまり要らない。知能が低いぶんこちらの動向を敏感に感じ取ることがないため、よくも悪くもものごとに動じない。速度が十分でないため軍事的な意味での騎乗生物には向かないが、湿地帯ではとても有用な生物である。 --------------------------------------------------------------------------------- 〈大牙狼(Giant Fang-Wolf)〉 出現数:1d6  レベル:4  宝物:なし ≪反応表≫ 1-4【ワイロ】(1体につき1個の食料) 5-6【敵対的】  これは【家畜】【動物】に属するクリーチャーである。  このクリーチャーは【斬撃】の攻撃特性を持つ。  このクリーチャーは優れた嗅覚と脚力を持つため、主人公側は【逃走】することができない。  〈大牙狼〉は、【動物】に属するクリーチャーを優先的な攻撃対象に選ぶ。  その対象に選ばれた【動物】のクリーチャーは、執拗な攻撃を受けてしまうため、【防御ロール】に-1の修正を受けてしまう。  〈大牙狼〉を【騎乗生物】として運用する場合、それは「戦う従者(技量点0、生命点:1)」として扱われ、【斬撃】の攻撃特性を持つ。同行させるには、従者点を1点必要とする。  従者の〈大牙狼〉は、【動物】に属するクリーチャーを攻撃するさい、【攻撃ロール】に+1の修正を得る。 ***  大牙狼は非常に凶暴な狼と従順な犬の血を魔法でかけ合わせることで生まれた種族である。銀色に輝く毛並みが美しく、古くから愛されている。一度飼い馴らせば、血よりも濃い絆で結ばれるという。  誤解されやすい種族で、狼よりも少し弱いくらいだろう、と高をくくる者もいる。実際には犬よりも、狼よりもずっと大きい。イノシシと同じ体重を持ち、全身は筋肉の塊である。頭は分厚い頭蓋骨と頸椎(けいつい:首の骨)に守られている。当たりそこねた刃など、ものともしない。鋭い牙を持ち、一度噛みついたら肉を引きちぎるまで離れない。脚力が強く、飼い主を背に乗せて走ることもできる。森の動物は何であれ逃げることはできない。嗅覚も犬のように鋭いのである。 --------------------------------------------------------------------------------- 〈大グモ(Giant Spider)〉 出現数:1d3+1  レベル:4  宝物:なし ≪反応表≫ 1-2は【劣勢なら逃走】 3-5は【中立】 6は【ワイロ】(1体につき食料1個)  これは【虫類】【騎乗生物】に属するクリーチャーである。  このクリーチャーは【斬撃】の攻撃特性を持つ。  〈大グモ〉を【騎乗生物】として運用する場合、それは「戦わない従者(技量点0、生命点:1)」として扱われ、【斬撃】の攻撃特性を持つ。このクリーチャーは【踏破力】を持っている。同行させるには、従者点を1点必要とする。  地上で〈大グモ〉に乗っている場合、切り立った崖や壁を昇降したり、起伏が多い地形(岩場など)を踏破するための【器用ロール】に+3の修正が得られる(乗っている〈大クモ〉にもボーナスが適用される)。  従者の〈大グモ〉は、各冒険につき1回だけ、クモ糸をより集めたロープを作成することができる。この能力によって作られるロープは1本分である。 ***  野生の大グモは体長3メートル、森林地域にて群れで暮らす。縄張りに侵入したか空腹時に出会った人間型生物には容赦なく遅いかかる。複眼と多数の脚によって他方向からの攻撃に対応する力がある。外見はハエトリグモをそのまま大きくしたようなものである。剛毛の生えた太い脚と複眼が目立つ。後部から糸を出して生活に必要な巣や、食料を保存する繭を形勢する。   少数種族アラネアによって調教された大グモは、人間にとっての乗用馬にあたり、彼らにとって貴重な財産である。毛むくじゃらの不気味な外見に反して毒は持っていない。体の大きさの割に陰気な性格だが、アラネアの命令には忠実で、命令とあればよく言うことを聞いて行動する。 --------------------------------------------------------------------------------- 〈オストリッチ(Ostrich)/ ポルルポルル(Polulu Polulu)〉  出現数:1d3  レベル:4  宝物:なし ≪反応表≫ 1-4【逃走】 5-6【ワイロ】(1体につき1個の食料)  これは【家畜】【鳥類】【騎乗生物】に属するクリーチャーである。  このクリーチャーは【斬撃】の攻撃特性を持つ。  戦闘が起きた場合、このクリーチャーは最初の攻撃を行う代わりに【逃走】する。  〈オストリッチ〉と〈ポルルポルル〉を【騎乗生物】として運用する場合、それは「戦わない従者(技量点0、生命点1)」として扱われ、【斬撃】の攻撃特性を持つ。同行させるには、従者点を1点必要とする。  従者の〈オストリッチ〉と〈ポルルポルル〉は、パーティが戦闘から【逃走】するさいに、主人公の【防御ロール】に+1の修正が得られる。 {斜体} 「ポルル、ポルル」 高くかわいらしい鳴き声。 吹雪の音に混じって聞こえる、相棒の鳴き声。 猛烈に降る雪のなかでポルルポルルを見つけた君は、嬉しさのあまりその背にしがみついた。 背中に飛び乗ると、積もった雪にも関わらず軽快な動きで歩き出す。 君には街までの帰り道は分からない……だが、この子は知っている。 {/斜体} ***  オストリッチはダチョウの別名で、ポルルポルルやコエエアと呼ばれる鳥の親戚でもある。太い二本足で立ち、雄は必ず黒く、雌は必ず茶色の羽毛で覆われている。丸い瞳が愛らしく、性格も穏やかであるため、わりと人気のある家畜である。  豚と同じく全身を利用され、捨てる部位がない。地方によってはあまり見られないが、、北西部や海を渡ったジンド大陸では盛んに飼育されている。皮は高級皮革品の素材、肉はステーキや煮込み、ときに刺身。骨はスープのダシ、羽毛は装飾品になる。他にも脚の爪が薬として使われるなど、非常に優れた家畜である。   オストリッチは馬やラクダに次いで、騎乗生物として一般的だ。ダチョウよりも足腰が強く、無用に人を恐れることもない。だが、オストリッチは馬ほどの速度は出せないし、とくだん頭がいいわけでもない。ラクダのように大きな身体があるわけでもない。臆病な逃げ足は逃避行には向いているものの、持久力がそれほどないから長旅には少々つらい。それでも、 経済的な理由を中心に、ジンドや南国諸島を中心に広い地域で飼育されている 。成長が早いわりに寿命が長いので、騎乗生物として使いやすいのである。平均寿命は人間よりも10年ほど長い、60歳ぐらいと言われている。  飼育に金がかからないため、オストリッチに騎乗している兵士は民間の兵隊であることが多い。  野生で遭遇したオストリッチは、臆病であるため人間には近寄らない。捕獲して調教できれば騎乗生物にすることも不可能ではないが、脚が速いため捕まえることじたいが簡単ではない。  「オストリッチ」と「ポルルポルル」は近縁の関係にあるが、「ポルルポルル」のほうが寒冷地体に適応している。 ポルルポルルはその楽器のような鳴き声を名前の由来とする。