------------------------------------------------------------    ◆アランツァクリーチャー事典     【少数種族(Ethnic Race)】後編 ------------------------------------------------------------ 【少数種族】はアランツァの多様な生態系を象徴するタグである。彼らは総数においては少ないが、ひとつの地域に根を下ろし、支配している場合が多い。たとえば、かえる人はかえる沼を中心に生息しており、かえる沼においては支配的な種族である。 【少数種族】は自分たちの言語の他に、共通語を覚えている。アランツァ世界には2種類の共通語(【善の種族】の共通語と【悪の種族】の共通語それぞれ)が存在するが、多くの場合、住んでいる地域でより役に立つ片方だけを覚えている。 ------------------------------------------------------------ 〈アラネア(Aranea)〉 出現数:1d6  レベル:4  宝物:通常 ≪反応表≫ 常に【中立】 これは【少数種族】【人間型】に属するクリーチャーである。 このクリーチャーは【斬撃】の攻撃特性を持つ。 〈アラネア〉の戦士は盾を持っているため、飛び道具で攻撃した場合は【攻撃ロール】に-1の修正を受けてしまう。 〈アラネア〉は4本の脚で移動し、残りの脚に片手武器を持っている。左右に素早く攻撃を切り替えるので、とても防御しづらい。 そのため、各キャラクターが【防御ロール】を行うさい、出目が2以下であればファンブルが発生したものとする。 ***  アラネアは森林地帯に住む少数種族で、桜森の北部にもっとも大きな集落がある。その外見はクモよりも人間に近く、4本脚で歩く。雌雄の区別は他の種族にはほとんどつかないが、彼らを支配するのは女王で、その名前は秘匿されている。女王は外部の者に対しては「シュピネル王(回転する住み家の王)」という名称を使用するが、これは彼らの先祖であるクモの住み家が、らせん状の糸であったことに由来する。  アラネアの名前がもっともよく知られているのはかえる沼で、沼に居住するかえる人とアラネアは同盟関係にある。アラネアが生産する糸はベッドやハンモック、あるいは衣服のような、快適な居住空間を作り出すために役立ち、その感触はシルク(絹)に似ている。しかしながら、この糸は火に弱く、激しく燃えることはないものの融けやすい。そのため、生活において火を使う頻度が低いかえる人たちには適しているが、人間などが住む都市部では流行しない。 ------------------------------------------------------------ 〈アラネアの猛者(Aranea Champion)〉 レベル:5  生命点:6  攻撃数:3  宝物:修正+1 ≪反応表≫ 常に【中立】 これは【少数種族】【人間型】に属するクリーチャーである。 このクリーチャーは【斬撃】の攻撃特性を持つ。 〈アラネアの猛者〉は盾を持っているため、飛び道具で攻撃した場合は【攻撃ロール】に-1の修正を受けてしまう。 戦闘が起きた場合、第0ラウンドにおいて〈アラネアの猛者〉は、3本の短剣を投擲する。その攻撃数は3回である。 これは飛び道具による攻撃として扱われ、対象のキャラクターは【防御ロール】を行わなければならない(目標値:4)。 判定に成功したなら、短剣を避けることができる。判定に失敗したなら、短剣が体に刺さるため、生命点に1点のダメージを受けてしまう。 〈アラネアの猛者〉は、第1ラウンドに3本の脚に片手武器を持ち替えるため、第1ラウンドは攻撃を行うことがない(主人公側の【防御ロール】が要らない)。 〈アラネアの猛者〉は、左右に素早く攻撃を切り替えるので、とても防御しづらい。 そのため、各キャラクターが【防御ロール】を行うさい、出目が2以下であればファンブルが発生したものとする。ただし、これは接近戦時にかぎる。 ------------------------------------------------------------ 〈大グモ(Giant Spider)〉 出現数:1d3+1  レベル:4  宝物: ≪反応表≫ 1-2は【劣勢なら逃走】 3-5は【中立】 6は【ワイロ】(1体につき食料1個) これは【虫類】【騎乗生物】に属するクリーチャーである。 〈大グモ〉を騎乗生物にしている場合、垂直に切り立った崖や壁を昇降したり、起伏が多い地形(岩場など)を踏破するための【器用ロール】に+3の修正が得られる。 騎乗生物としての〈大グモ〉は「戦わない従者(技量点:0)」として扱うこと。 ***  大グモはアラネアだけが操ることのできる騎乗生物で、人間にとっての馬にあたる、彼らにとって貴重な財産である。大グモ自身は大きさの割に陰気な生物で、極端に腹を空かせていないかぎり人間型生物と関わろうとしない。しかし、アラネアの命令には忠実で、命令とあればよく言うことを聞いて行動する。 ------------------------------------------------------------ 〈アラネアの女王(Aranea Queen)〉 レベル:6  生命点:7  攻撃数:2  宝物:修正+2 ≪反応表≫ 1-2は【援助】 3-6は【中立】 これは【少数種族】【人間型】に属するクリーチャーである。 〈アリ人の女王〉に遭遇したさい、相手は2d6+2体の〈アラネア〉を引き連れている(下限は8体)。 戦闘が起きた場合、女王の護衛を務める〈アラネア〉は全滅するまで戦う。彼らを倒さない限り、〈アラネアの女王〉に攻撃を加えることはできない。 戦闘が起きた場合、第0ラウンドにおいて〈アラネアの女王〉は、開いた口からクモの糸を噴出する。 各キャラクターは【器用ロール】を行うこと(目標値:3)。判定に成功すれば糸を避けられる。 この判定に失敗したキャラクターが「戦う従者」であれば、粘着性の糸によって身動きが取れなくなってしまうので、今回の戦闘に参加することができない。 主人公が判定に失敗した場合、糸によって武器が絡め取られてしまう。その武器は、戦闘が終わるまで取り戻すことができない。予備の武器に持ち替える場合、〈太刀持ち〉がいなければ1ラウンドを消費する。 反応表の結果が【援助】だった場合、〈アラネアの女王〉は、2個の食料または『手がかり』1個と引き換えに〈大グモ〉を1体だけ貸し出してくれる。 ***  アラネアの女王はアラネアの集落を守る存在。アリ人と違ってアラネアは種族にいる複数のメスが子を産み、女王は逆に数年に一度しか子どもを産まない。女王の役割は集落を統率することで、外部の組織と交渉するために集落の外に出ることもある。 ------------------------------------------------------------ 〈獣人(Beast-man)〉 レベル:4  生命点:6  攻撃数:2  宝物:修正-1 ≪反応表≫ 1-3は【中立】 4-6は【敵対的】 これは【少数種族】【人間型】に属するクリーチャーである。 このクリーチャーは【斬撃】の攻撃特性を持つ。 戦闘が起きた場合、〈獣人〉は激昂することによって、見境無く暴れ回り、普段の能力以上の攻撃能力を発揮する。 第1ラウンドに限り、クリーチャーの攻撃数は1d3+1回だけ増やすこと。 〈獣人〉と遭遇したさい、1d6を振ること。 出目が1-2であれば、〈獣人〉の頭部には、山羊を思わせる角が生えている。 各キャラクターが【防御ロール】でファンブルを発生させた場合、相手の頭突きによって角が突き刺さるため、生命点に2点のダメージを受けてしまう(対象が従者なら、ダメージを受けるのは1人だけ)。 出目が3-4であれば、〈獣人〉の全身は、長い体毛に覆われている。 クリーチャーは【氷槍】の魔術、または凍結による攻撃手段を無効化する。 また【打撃】の特性を持つ武器で〈獣人〉を攻撃した場合、【攻撃ロール】に-1の修正を受けてしまう。 出目が5-6であれば、〈獣人〉は狼の頭部を持っている。 〈獣人〉が激昂したさい、凄まじい瞬発力と反応速度を生み出すため、第1ラウンドが終わるまでの間、〈獣人〉のレベルは5として扱われる。 ***  獣人は善の種族の間で流行する獣人化の呪い(病)にかかった患者であって、正式には種族ではない。獣人化病は血液感染する遺伝性の病気であるため、獣人は見つかり次第、都市部から排斥される。発病した獣人は(殺されずに脱出できれば)それまでに住んでいた場所を捨てて、獣人どうしが作った貧しい集落へと移動してそこで生活する。  その外観はさまざまだが、獣人は存在する動物の姿に似ている。もっともよく見られるのは羊やヤギのような草食動物の体毛や角、横に長い瞳孔を持つに至るケースである。犬や猫のような耳が(本来の耳とは別に)生える、馬のような顔になるなどの場合もある。外見がほとんど変わらない、稀なケースもある。  獣人化病にかかった者は【激昂】と呼ばれる特殊技能を取得する。激怒して一時的に凶暴になり、手がつけられない。  獣人が種族であるという誤解が生まれた理由は、獣人化病にかかった者たちが都市を追われた結果、集落を作って生活したからである。事情を知らない者からみれば獣の顔をした人々が集まった集団であり、彼らを独自の種族と考えたとしてもムリはない。最大の獣人集落はテホと呼ばれる古い地方にある。テホには巨人、獣人、さまざまな種族の混血が住んでおり、街を追われた者たちの最後の土地とみなされている。彼らを統治するのはドワーフとノームの混血種族で、ドワームと呼ばれる。  獣人化の呪いにはある特徴がある。それは呪いにかかった者の子どもにも呪いがつきまとう「遺伝性」であることだ。獣人の子どもは獣人として一生を過ごさなければならない。  このような獣人化であるが、これをファッションと捉える思想もあり、自然主義に連なるコビットやエルフの一部には意図的に【獣血】を体内に取り入れる者もいる。【獣血】によって血を入れる場合、魔法によって完全な獣人化は抑制される。身体の一部が動物のようになるが、獣人と呼ぶにはその変化の割合は小さく、【激昂】を取得するには至らない。 ------------------------------------------------------------ 〈ラクダ人(Camel Folk)〉 出現数:1d6  レベル:4  宝物:なし ≪反応表≫1-2は【同行】 3-6は【友好的】 これは【少数種族】【人間型】に属するクリーチャーである。 反応表の結果が【同行】だった場合、〈ラクダ人〉の一人が同行を願い出る。同行させるには、従者点を1点必要とする。その雇い賃は金貨5枚だ。 君が現在のパーティ編成に満足しているのであれば、この頼みを拒否しても構わない。 同行させる場合、〈ラクダ人の荷物持ち〉は「戦わない従者」として扱われ、その技量点は0点である。今回のシナリオが終了するまで同行してくれる。 また〈ラクダ人の荷物持ち〉は、装備品を4個まで持たせることができる。 ***  ラクダ人は西方砂漠のもっとも暑い地方に生息する少数種族で、その先祖と同じくめっぽう暑さに強く、また忍耐強い。性格は温和で思慮深く、愛情深い。唇が2枚ではなく3枚に分かれていて、別々に動く(下唇、上右唇、上左唇)。牛と同じく胃袋に入ったものを反すうするため、食事中でもないのに口を動かしているときがある。反すうのために唾液と胃液が混じり合っているため、そのよだれはくさい。  ラクダ人は先天的に持久力が高い。また、荷物運搬に関する高い能力を持つ。 ------------------------------------------------------------ ナーガ 出現数:1d3  レベル:6  宝物:通常 ≪反応表≫1-3は【中立】 4-6は【敵対的】 これは【少数種族】【龍族】【人間型】に属するクリーチャーである。 このクリーチャーは【打撃】の攻撃特性を持つ。 ナーガは戦士であり魔法使いでもある。 このクリーチャーは第0ラウンドに【炎球】を1回ずつ唱える。 冒険者が戦う〈弱いクリーチャー〉の従者を連れている場合、その集団(同じ名称の従者をひとつの集団とみなす)のひとつに向けて【気絶】の呪文を唱える(対象はプレイヤーが決定する)。 この場合、狙われた「戦う従者」は技量点で【対魔法ロール】を行う(目標値はナーガのレベルに等しい)。失敗した場合にはその場に倒れて、戦闘が終了するまで起き上がらない。失敗したとき、目標値への不足が2点以下であれば1体、2点か3点であれば最大2体、4点以上であれば最大3体の従者が【気絶】する。 ***  ナーガは龍族の血を引く少数種族で、外見はヘビ人に似ているが、ずっと高い知性と文明を持つ。体格が大きく、人間よりもずっと大きい。鱗神ラガルティハを信仰する、魔法に秀でた最古の魔法種族である。非常に寿命が長く、繁殖力が低い。  彼らはもともとドラッツェンに近い山岳地帯に街を構えていたが、今は遺跡だけが残っている。彼らはこの世界に危険を感じて、魔法の力を使ってアランツァとエヴァシュネの2つの世界の「はざ間」に自分たちを隠し、そこに街を造って暮らしていると言われる。  ナーガは頭脳明晰であると同時に合理的で、人間からみると冷酷な印象を与える。龍の血を引かない種族を基本的には蛮人同様と考えており、その差別心を隠さない。しかし、アランツァを訪れるナーガは歳若い使いぱりしりで、差別心が薄く比較的打ち解けやすい。  好んで鈍器を用いるが、その理由は鈍器のほうが敵が出す血の量が少ないからで、要は自分の服を血で汚したくないからである。 ------------------------------------------------------------ ヘビ人 出現数:1d6  レベル:4  宝物:通常 ≪反応表≫ 1-3は【中立】 4-6は【敵対的】  これは【少数種族】【人間型】に属するクリーチャーである。  このクリーチャーの攻撃は【斬撃】の特性を持つ。  ヘビ人は定住地を持たない種族集団で、西方砂漠にいくつかの集団がある。30体から100体ほどの規模で集まって暮らしていて、移住生活を行う謎の多い遊牧民である。遊牧民といっても牧畜をしているわけではない。  どのようにして砂漠の過酷な環境で生きながらえているのかは不明だが、人間やラクダ人の集落を襲撃すること、砂漠に住む鎧砂虫を狩猟していることが知られている。一説には襲撃によって肉類から得た魔力を長期間貯めておける身体をしているため、数日から数週間に一度の食事で生きていけるのではないかと言われている。  外見はヘビによく似たウロコを持つ人間型の種族で、手は人間と同じように2本生えているが脚はヘビと同じように1本で長い。眼と舌にヘビに似た特徴があって、昼間は瞳が縦長に、夜は丸くなる。舌は二又に分かれている。 チチボ 出現数:1d3  レベル:4  宝物:なし ≪反応表≫  チチボはヘビ人が使役する家畜的な存在である。知能は低いがヘビ人に対して従順で、ジェリコ市内ではさまざまな場面で見かけられるという。よく見かけるのは護衛として使われる場面だが、酪農用の家畜として食肉や乳製品の生産にも活躍する。  恐ろしいことに、チチボはヘビ人である。チチボとジェリコ人は血族的に同一の生き物であり、教養がなく知能が低い点や栄養状態をのぞいて、違いはどこにもない。自身と同じ血が流れる種族を家畜にする例はジェリコ人をのぞいて他に例がない。他の地域ではタブーとされるこの行為が当たり前に行われている背景には、かつては他の地域から完全に隔絶されていた砂漠の街というジェリコの歴史が関わっているのかもしれない。 ホブゴブリン 出現数:1d6+1  レベル:4  宝物:修正-1 ≪反応表≫1-2は【情報】 3は【友好的】 4-6は【敵対的】 これは【少数種族】【人間型】に属するクリーチャーである。 このクリーチャーの攻撃は【打撃】の特性を持つ。 反応表の結果が【情報】だった場合、〈ホブゴブリン〉は周囲の状況を教えてくれる。『手がかり』を1個増やしてよい。 また、彼らはその地元に強固なネットワークを持つため、この冒険(d66シナリオであれば3回の冒険すべて)においてホブゴブリンと出会った場合、その反応は自動的に【友好的】になる。 ***  ホブゴブリンの姿は大陸西部にあたる聖フランチェスコ市と、その近くにある闇の森で見かけられる。ゴブリンの親戚筋にあたるがゴブリンよりは人間文化に寄り添っていて、物資の運搬などを請け負っていて、聖フランチェスコからナゴールの間で酒樽や食料などを運ぶ姿が見かけられる。ゴブリンよりは体格がいいため、ポニーや小柄な馬に乗って移動する。  性格は邪悪ではないが交戦的で、殴り合いや殺し合いを好む。鈍器による殴打が好みらしく、この手の武器をよく所持している。 コボルト 出現数:1d6+2  レベル:3  宝物:修正-1 ≪反応表≫1は【歓待】 2-4は【友好的】 5-6は【敵対的】 これは【少数種族】【人間型】に属するクリーチャーである。 このクリーチャーの攻撃は【斬撃】の特性を持つ。 ***  コボルトは犬人とも呼ばれる少数種族で、短毛種の大型犬を人間型にしたような外見をしている。独自の言語は犬の鳴き声に似た吠え声で、あまり発達していないため人間やエルフの言葉を使ってコミュニケーションをとることもある。  コボルトは交易などの生産的な活動を好む。元来は非友好的な種族だが、何らかの利益を提供してくれる相手とは長期的な関係を結ぼうとすることもある。信頼関係を大切にするため、悪の種族との連携はあまり好まない。記憶力がよく、先祖である犬と同様に鼻が利く。  コボルトが集まってできた集落は森や丘でチラホラと見かけられる。集団行動が得意な種族で繁殖力もそこそこだが、手の形状が人間ほど発達していないため、武器の扱いがあまりうまくない。また、冬場に強い長い体毛を有するため、鎧を着るにも適していない(体温が上がりすぎるため)。特筆するべき戦闘の長所を持たないため、他種族との争いを制する決定打に欠けている。その結果として、種族としての総数は少数種族の域を出ていない。  コボルトは牧畜の能力を持つ。聖フランチェスコ市の周辺では、ポニーや馬を飼育している姿が見られている。育てた動物は自分たちで利用することもあるし、体格が似たホブゴブリンなどに売られることもある。牧畜には彼らの祖先である犬が活用される。コボルト語と犬語は非常に近く、彼らはお互いの言語を容易に理解できる。声帯のつくりが異なるため、この言葉を人間などの善の種族が発音することはできない。 ------------------------------------------------------------ 〈翼人(Winged Folk〉) 出現数:1d3  レベル:5  宝物:なし ≪反応表≫ 1-3は【歓待】 4-5は【友好的】 6は【同行】 これは【少数種族】【人間型】に属するクリーチャーである。 〈翼人〉の翼は狙いやすいため、飛び道具で攻撃する場合は【攻撃ロール】に+1の修正が得られる。 反応表の結果が【同行】だった場合、〈翼人〉の一人が同行を願い出る。雇い賃は必要とせず、善意から君に力を貸すと言う。同行させるには、従者点を1点必要とする。 君が現在のパーティ編成に満足しているのであれば、この頼みを拒否しても構わない。 同行させる場合、〈翼人〉は「戦う従者」として扱われ、その技量点は1点である。また1回の冒険につき一度だけ、生命点へのダメージを無視することができる(攻撃特性は【斬撃】か【打撃】のどちらかを選択すること)。 クリーチャーから弓矢で攻撃された場合、翼を狙い撃ちにされてしまうため、その状況での〈翼人〉の【防御ロール】に-1の修正を受けてしまう。 なお〈翼人〉は、落とし穴や起伏のある地形を踏破するための【器用ロール】では、判定に自動的成功する。 ***  翼人はもともと人間だった種族で、祖先にあたる英雄が成し遂げた偉大な功績の報奨として神から翼を与えられたと伝説では言われている。人間が翼を与えられたような見た目で、先天的に美しい顔立ちをしている者が多い。性格は善良で、もしも冒険者たちが善の目的を持って行動しているのであれば、冒険に同行してくれる可能性もある。  彼らは自分たちを天使と重ね合わせて捉えている。自分たちは善神の行いを具現化するためにこの世に遣わされたと考えている。 ------------------------------------------------------------ 魚人/末裔 出現数:1d3  レベル:5  宝物:通常 ≪反応表≫1は【友好的】 2-5【ワイロ】(〈弱いクリーチャー〉1体) これは【少数種族】【人間型】【水中】に属するクリーチャーである。 このクリーチャーの攻撃は【斬撃】の特性を持つ。 〈末裔〉は海の底にある神の血を引く魚人の一族である。 多くの場合、〈弱いクリーチャー〉を1体捧げることで、【友好的】な反応を引き出せる。 この〈弱いクリーチャー〉があなたの従者である場合、残りの従者たちはあなたの「非人道的な選択」に憤慨して、いなくなってしまう。 ただし、この〈弱いクリーチャー〉が捕虜である場合、誰もいなくならない。 彼らの反応が【友好的】である場合、彼らは冒険に役立つであろう情報をくれ、『手がかり』を1個取得することができる。 このクリーチャーと水中で戦う場合、主人側は戦闘が終了するまで【攻撃ロール】と【防御ロール】に-1の修正(金属鎧を身につけていれば【防御ロール】は-2の修正)を受けてしまう。 ただし、【水中】のタグを持つクリーチャーはこのペナルティを受けない。 {斜体} 深い海の底にいるという魚に似た神を、彼らはあがめていた 「ペソンブレ!」 と彼らの1人が叫んだ。 それが何を意味するか誰も知らなかったが、やがて彼らの神の名ということになった。 {/斜体} {斜体} 彼らは生贄を求めていた。 「グルルルルルラァアァアァア!」 のどを鳴らすような、それでいて大きな彼らの鳴き声が部屋に響く。 ボルテージの上がったその姿を見れば、要求を拒否したときに何をするか容易に想像できた。 {/斜体} ***  海の底に住む暗い種族の末裔は陰気な性格だが最低限の協調性を持ち合わせている。【善の種族】に対しては中立の姿勢があり、利己的だが協力して生きていくことができる。しかし、その根底に愛情のたぐいはない。  末裔は海の底にいる恐ろしい魚人の血を引く、魚人に似た存在である。冷たい血が流れていて、【善の種族】のような暖かい心を持ち合わせない。心そのものはあるが、根本的に情の薄い種族である。生きるために必要なことは無頓着に行うことができるため、善の種族からみると残忍に映ることもある。冷血ではあるが、凶暴な種族ではない。末裔は悪神、特に魚神ペソンブレを信仰し、呪術の道に進む傾向がある。 ケンタウロス 出現数:1d3  レベル:6  宝物:通常 ≪反応表≫1-2【歓待】 3-5【友好的】 6【敵対的】 これは【少数種族】【人間型】に属するクリーチャーである。 このクリーチャーの攻撃は【打撃】の特性を持つ。 このクリーチャーは脚が速いため、主人公側は【逃走】するさいの【判定ロール】に-1の修正を受けてしまう。 ***  ケンタウロスはかつて栄えた今は亡きレラヴェリア王国内に暮らしていた少数種族で、誇り高く善良、勇猛果敢で知られていた。機動力を伴う高い戦闘力を持っていたが、レラヴィリア王国が軍事国家ドラッツェンに滅ぼされたさい、ケンタウロスの村も燃やされた。今や地図に載るほどの大きな集落を持たず、家族単位で大都市で暮らすことでかろうじてその種を保っている。その場合はたいてい、父親にあたるケンタウロスが兵士として食い扶持を稼ぐ。彼らは騎兵たちに混じって訓練を行うが、文字通り人馬一体であるため動きにムダがない。少数または単体での活動を割り当てられることになり、街から街などに知らせを運ぶ飛脚などの役割を担うことが多い。他にも小さな村で人間に混じって農耕生活を行う姿が見られることもある。彼らは大食漢だが、馬の役割を担うことができるため、農業においては相応の稼ぎを上げることができる。とはいえ、性格的には戦闘や狩猟の方が性に合っているようである。弓兵になる者もまれにいるが、魔法使いの方向へと進む者はほとんどいない。  人数が少ないため出会う機会は少ないが、傭兵として生きる者たちが多く、冒険者とは縁のある種族だろう。 ------------------------------------------------------------ レプラコーン 出現数:1d3  レベル:4  宝物:修正+1 ≪反応表≫1-4【歓待】 5-6【友好的】 これは【少数種族】【人間型】に属するクリーチャーである。 このクリーチャーの攻撃は【打撃】の特性を持つ。 このクリーチャーと話をするのであれば、各主人公は【幸運ロール】をしなければならない(目標値はこのクリーチャーのレベルに等しい)。 失敗した場合、悪辣ないたずらによってそのキャラクターは生命点に1点のダメージを受ける。 この【幸運ロール】の成否に関わらず、〈レプラコーン〉との対話を試みてもいい。その場合、各主人公は【魔術ロール】を行うことができる(目標値はこのクリーチャーのレベルに等しい)。 成功した場合、なぞなぞのような話し方を楽しむ〈レプラコーン〉から、有益な情報を獲得することができる。成功した主人公は『手がかり』を1個手に入れる。 この【魔術ロール】に失敗した主人公は、最後の手段として『手がかり』を買うこともできる。レプラコーン1体につき金貨4枚を支払うことで、『手がかり』を1個手に入れる。この行動をできるのは、主人公1人につき一度だけである。 ***  レプラコーンはノームの遠い親戚で、人間の3分の1ほどの大きさの人間型種族である。からくりよりも魔法に傾倒したがそちらで大成する者は少なく、現在では「堕落した魔法使い」の代名詞としてその名を語られることもある。  彼らは酒などの嗜好品を好み、楽しいことを愛する。いささか斜に構えた日陰者の暗さはあるが元来は明るい性格で、寂しがりやでもある。賭けごとや楽しいトークを好む面もあって、大半が人との交流に飢えている。定職に就いたり家族をつくってコツコツ生きている者は少数派で、いつも時間を持て余しているため冒険者に対しては基本的に親切である。  冒険者が態度を間違えなければ、レプラコーンは冒険の力になってくれるだろう。ただし、いつも困窮しているためか、いささか金に汚いところがある。協力を願いたいときには、足もとを見られないように気をつける必要があるだろう。 ------------------------------------------------------------ 〈蛮人(Barbarian)〉 出現数:1d6+2  レベル:4  宝物:通常 ≪反応表≫ 1-3は【ワイロ】(2体につき食料1個 or 〈弱いクリーチャー〉1体) 4-6は【敵対的】 これは【少数種族】【人間型】に属するクリーチャーである。 〈蛮人〉は、矢にひるむことなく突撃を仕掛けてくるため、各キャラクターは、飛び道具で攻撃するさいの【攻撃ロール】に-1の修正を受けてしまう。  この〈蛮人〉がズナッタマン(後述)である場合、主人公1人をプレイヤーが選ぶ。すべての〈蛮人〉はそのキャラクターだけを攻撃する。 ***  蛮人は大陸中央部にあるスォードヘイル山脈を中心に、大陸東部のネメディ平原や南部のサラザール地方など、さまざまな地域と場所に生息する。住み家と食料を与えられることで善の種族とも悪の種族とも共存する。蛮人は人間であることが多いが、エルフ、ドワーフなどの【善の種族】であることもある(しかし、いずれの場合においても善悪の区別はない)。ほら穴のような場所で育つため、満足に言葉すら通じない。  蛮人は警戒心と縄張り意識が強いため、他の人間型種族に対して攻撃的である。サラザール地方では蛮族を捕獲して家畜同様にしつけ、奴隷として使役する文化が存在する。そのためカラメール周辺の蛮人は、他の人間型種族に対して特に大きな憎しみと敵意を抱いている。その一方で、さらわれた蛮人が十分に賢い場合、「教育」を経て都市部の人間に近い知性が教養とともに育ち、主人やその文化に感謝の念を抱く場合もある。  もっとも有名な蛮人はズナッタマンと呼ばれる一族で、北方の蛮族たちの遠縁にあたる。首長(リーダー)を持たない一団で、戦いとなると飛び道具を一切使わず、息のあった連携攻撃で集中的に敵を1人ずつ潰していく。