背景  主街道は起伏が小さく、歩きやすい。商業都市ナゴールに続くメインロードは何本もあって、大陸中からさまざまな商品がこの街へと流れ込む。食料や酒、装備品などを持ち込む商人に混じって。黙り込み、汗をかきながら荷車を引く者。仲間と話しながら、ペースを保って進む者。牛に荷を引かせ、ゆっくりと道を行く者。さまざまな商人たちに混じって、冒険者が歩いていた。その商品は、自分自身だ。  人間に似た姿の使いの者が、商業都市ナゴールにある「赤髪の乙女」大通りの〈剣竜亭〉へとやってきた。清潔で気分のいいこの宿屋で、明らかに彼は助けを求めていた。おどおどした態度でキョロキョロと周囲を見渡し、緊張してため息をつきながら、話しかけやすそうな人を目で探していた。   プロローグ  春の息吹を目前にしたこの森の鼓動に、君は気づいていた。葉の1枚も残していない森の木々のなかを歩きながら……だが、その枝先はわずかに膨らむ。春を目の前にした桜の木々は、花を咲かせる準備を進めているのだ。一歩ずつ。風も空気も冷えきっている。けれど、日差しはもう暖かい。冷たい風の向こうから降り注いでくる透明な光。冬の気配を遠ざけていく力は、森のすべてを──心と身体を暖めはじめている。 「桜森のあるじに、会っていただきたいのです」  人間に似た使いの者はそう言って、君に助けを求めた。ナゴールの西側にある桜森に〈魔犬獣〉たちが流れ込んできた。彼らは火を用いて、森を焼こうとしている。彼らは〈オーク〉や〈ゴブリン〉といった、他の【悪の種族】たちを引き連れているという。ナゴールの4人の統治者はこの【悪の種族】たちを、放ってはおかないだろう。だが、彼らが兵士を用意するには時間がかかる。街そのものを守ることはできても、森には多くの被害が出るだろう。森と、そこに暮らす者たち。彼らが危険に晒されるのは明白だ。  視界が広がる。広場へとたどり着いた君を迎えてくれたのは、背の高いまっすぐな1本の樹だ。冬の終わりきらぬうちに、ひと足先にと咲き誇るひときわ美しい薄紅色の桜。ゆらゆらと揺れるその花から、届くはずもないかすかな香りが漂う──忘れていたあの日を──名前のついていない遠い日の思い出に{ルビ:ふ}触れるような、そんな香りが。  桜の脇に立つ女性に、やっと気づく。{ルビ:りん}凛{/ルビ}とした立ち姿。ベテランの執事が着るようなスーツに身を包んだ、色の白い女性である。大きな瞳が印象的だ……髪の部分には青い花が咲いている。おそらくは人間ではない……かすかに緑がかった肌は、彼女がトレント(動く植物)の一種であることを想像させる。深々と頭を下げて彼女は、「よく来てくださいました」と言う。風の音のなか、どうしてかその小さな声ははっきりと耳に届く。 「桜の王キルシュバウム様に代わり、お礼を申し上げます。王はトレントとしての生を半ば終えて、あまりお話しになれないので……。」  王と呼ばれるその樹は、今までに見たどの桜よりも立派な枝と花をつけている。 「私たちは貨幣を持ちませんが、お礼を用意しております。大きなマルハナバチたちが集めた、特別な蜂蜜を。きっと、ご満足いただけると思います」  キルシュバウムの従者ブルーメはそう言って、壺に入った黄金色の蜜を取り出してみせる。桜森の花々から集められた蜜はドロリとして、純度の高いものだ……金貨50枚の価値はあるだろう。  桜森のトレントたちの依頼を承諾する。【悪の種族】たちはもちろん、桜森の住人たちに歓迎されているとは限らない。慎重にこの桜森を冒険しなければ。 (中略)   出目表 出目11 〈アラネアのスカーフ〉(by ghostwriter) 出目12 〈友好の木笛(Whistle of Friendship)〉(by 天狗ろむ) 出目13 出目14 出目15 〈咲いた魔剣〉(by蒙太辺土) 出目16 出目21 〈蜘蛛の巣〉(by ghostwriter) 出目22 〈日向の猫人〉(by寝子) 出目23 〈モグラの紳士〉(byひげくまごろう) 出目24 〈アラネアの戦士〉(byもるも) 出目25 出目26 出目31 〈白銀枝の若木〉(by蒙太辺土) 出目32 〈桜谷から来た魔法使い(Wizard from the Valley)〉(byととと) 出目33 〈桜の木の根元に埋まっている死体〉(byザスカル) 出目34 〈魔犬獣顔負け、ただし顔だけ〉(by蒙太辺土) 出目35 出目36 〈白拍子の舞〉(by ghostwriter) 出目41 〈くさびら爆弾(Mushroom Bomb)〉(byととと) 出目42 〈五里霧中(In a Fog)〉(by 天狗ろむ) 出目43 〈桜の芽吹き(Budding of the Cherry Blossom)〉(by MoNO) 出目44 〈死地〉(by蒙太辺土) 出目45 〈蜂の巣落とし〉(Wasps’ nest)(byととと) 出目46 出目51 〈タケノコトレント〉(byMoNO) 出目52 〈樹海魚(Sea of Trees Fish)〉(by 天狗ろむ) 出目53 出目54 〈ダンスバタフライ〉 (dancing butterfly)(by藤原蚕子) 出目55 出目56 〈妖魔と妖精(Good Fairy and Bad Fairy)〉(by水波流) 出目61 〈ドコドコ茸(Quake Fungus)〉(by藤原蚕子) 出目62 〈火災で生まれたもの〉(by ghostwriter) 出目63 出目64 〈傷ついた白い翼〉(by東洋夏) 出目65 〈大顎のアラネア(Aranea of big jaw)〉(by藤原蚕子) 出目66 〈冬寂(Wintermute)〉(byととと) 〈中間イベント1:火に舞い散る〉(by蒙太辺土) 〈最終イベント1:炎の使い手〉(by杉本=ヨハネ) 〈中間イベント2:途切れた絆〉(by東洋夏) 〈最終イベント2:〉 〈中間イベント3:〉 〈最終イベント3:〉(by杉本=ヨハネ) (ghostwriterさん) 出目11『アラネアのスカーフ』 【器用ロール】(難易度:4)をして成功すると以下のイベントが起こる。失敗したらここには何もない。 森を進んでいると、木のひとつに織物が引っ掛かっている。君は木の傍に行ってその織物を見てみる。アラネアの絹糸で出来た見事なスカーフだ。どうやら近くのアラネアの集落から風に乗って飛んできたようだ。 君はこのスカーフを持っていっても良い。その場合、冒険の合間に金貨10枚でアラネアのスカーフを売れる。 近くの集落に行ってスカーフを返すと、無口で陰気なアラネアは感謝する。君はアラネアに【歓待】され、以後、この冒険中にアラネアに出会うと、反応が【友好的】になる。 {/}君は、貴族がおしゃれのために身につける、見事なスカーフを身につけた。まるで貴族の一員になった気分になる。{/} ・出目12 〈友好の木笛〉(Whistle of Friendship)  これは闇の森の沼地近くに住むコボルトが好んで使う木笛だ。吹けば動物の遠吠えにも似た音が出る。  これを使った場合、次のできごとは動物型のクリーチャー〈☆〉〈☆〉〈☆〉が出てくる、いずれかのまだめくっていないできごとの中から選べる。相手の反応は自動的に【友好的】になる。ただし、【動物】タグを持っていても、強いクリーチャーの場合は【友好的】な反応は得られない。 ただし『友好の木笛』の効果が発揮できるのは、今回のシナリオ内のみで、かつ1回きりである。 それ以降は、自分たちの仲間のフリをしているのが知れ渡ってしまうため、『友好の木笛』を吹いても無駄になってしまう。 {斜体}  木で作られた、素朴な笛を見つける。  試しに息を吹きかけると、思いの他大きな音が出て、辺りに響き渡った。  その狼や狐のような獣の遠吠えめいた音色に、応えるかの如く鳴き声が聞こえる。  ガサガサと藪を掻き分けて出てきたのは、笛の音に釣られた獣だった。 {/斜体} ※注記 〈☆〉部分には、お手数ですが他のできごとの【動物】タグを持つクリーチャーを入れて頂ければと思います。いなかったらもちろんこのできごとは却下で! ゲームブック『闇の森を抜けて』に登場するアイテム「木笛」をモチーフに、『黄昏の騎士』の「認識票」の要素を掛け合わせてみました……なので、色んな理由でダメそうであれば却下願います! 出目15〈咲いた魔剣〉 「僕の友達が苦しそうなんだ(ぶっく)。お願い(ぶっく)助けてあげて(ぶっく、ぶっく)」 樹々の陰から姿を見せず奇妙なしゃっくりをあげつつ言うその声は、か細く子供のように幼い。 こちらが誰何すると声は答える。 「僕は(ぶっく)ジグリ・ザグリ・ブック(ぶっく)。僕の姿はどうか(ぶっく)見ないで(ぶっく)。 仲間たちも近寄らないほどに(ぶっく、ぶっく)醜いんだ(ぶっく)」 これに関わらないことにするなら、ここでは何も起こらない。次のできごとへ進め。 もしこの者の頼みを聞くなら、灌木を分けいった先に奇怪な植物が生えているのを見ることになる。 それは“悪魔の舌”と呼び習わされ、知る人ぞ知るものだ。 丈は人で言うと少年ほどあって、大きな花をひとつだけ咲かせる。そしてその肉厚の花弁の垂れ下がる様は、見ようによってはその俗称どおりのおぞましい印象を与える。ところが、この変わった植物はその様相に反してなんら害をなすものではない。 今、目にしているものはつぼみ様に花弁は閉じており、悪魔の舌は開帳されていない。 ブックの語るには、今朝挨拶に訪れるとこの状態になっていたとのこと。そしてこうつけ加える。 「とっても苦しそうなんだ(ぶっく)。でも(ぶっく)どうしたらいいか(ぶっく、ぶっく)わからないんだ(ぶっく)」 そう言われたところが、こちらにしてもどうしたものか皆目見当もつかない。 力任せに花をこじ開けてやろうかと指先がそれに触れたその時、何かが起こる可能性がある。 もし主人公の副能力値が底をついて0点であれば、ここでは何も起こらずできることもない。ブックの悲嘆とも響く奇妙なしゃっくりを背に聞きつつこの場を去ること。 1点以上ある場合は特殊な判定を行う。 副能力値(種類は問わない)を何点使用するか随意に決定し、その値に1d6を加えたものを達成値とする。 以上に従い目標値6を目指して判定せよ。 成功、失敗に関わらず使用した副能力値は消費される。ただしクリティカルが出た場合は消費は1点だけに抑えることができる。 失敗した場合、ここでは何も起こらずできることもない。ブックの悲嘆とも響く奇妙なしゃっくりを背に聞きつつこの場を去ること。 もしこの叙事詩的判定に成功したなら以下のことが起こる。 君の指先が触れるか触れないかしたその時、暗赤色の花弁がおもむろに開く。 確かに悪魔の舌と称されるに相応しいかたちとなったが、驚くべきことにその花芯には美しい金属製の棒が突き立っていた。 「それだよ!(ぶっく)それを抜いて(ぶっく)あげて!」 主人公がそのようにすると棒から金属の花が咲き、葉が茂る。そしてそのいずれも鋭い切っ先、つまり刃を備えていた。 これは、桜森の悪魔の舌から咲いた魔剣なのだ。 “咲いた魔剣” ブルームンブリード Bloom 'n bleed 片手武器, 魔法の武器, 攻撃判定+1 攻撃成功時に副能力値を1点消費することでもう1点ダメージを与えることができる。ただしクリティカルによる追加ロールの攻撃成功にはこの効験は寄与しない。 ※桜森の外に持ち出す場合は1経験点を与えて再活性する必要がある。 《一輪の茎に切っ先鋭い鋭角の葉と花を備えたように見える“剣”。 茎を軸として葉と花を模した刃が目にも止まらぬ早さで回転し、立ちふさがる者の肉を裂き骨を削り血の花を咲かせる。 桜森“生え抜き”のこの奇妙な剣が後世に伝わり、その銘とともに語り草となるかどうかはあなたの活躍しだいだ。》 (できごとのフレーバーテキスト) 自らの相貌を強く恥じながらも友のために助けを求めるジグリ・ザグリ・ブック。その勇気は尊いものとも言える。 彼は自身の様相をひどく醜いものとしているが、実のところ異種族の者の目からすれば他の個体と彼の醜さのほどにさしたる差異はない。 ところ変われば、見る者違えば、ということはよくあることだ。 ・出目21〈蜘蛛の巣〉 君たちが森を進んでいくと、急に何かに絡みつかれる。粘度の高い巨大な蜘蛛の巣に引っかかってしまったのだ。 【器用度】(難易度:5)ロールに成功すると、この蜘蛛の巣から逃れることができる。それ以降のイベントは起きない。失敗すると、魔犬獣を迎え討つ為に陣営を組んでいたアラネアの戦士たちが現れる。 出目11でアラネアのスカーフを集落に届けていれば、蜘蛛の糸の振動でその情報がこのアラネアの戦士たちに伝わっていて、【友好的】である。 アラネアの戦士たちが【中立】だった場合、君たちと魔犬獣との関わりを疑っている為、誤解を解くのに【ワイロ】(金貨10枚相当)を渡さないと通してくれない。【ワイロ】を渡せない、渡さない場合は君たちを魔犬獣の一味と見なし、【敵対的】になる。 アラネアの戦士出現数:1d6レベル:4宝物:通常 反応表【中立】(スカーフの情報で【友好的】に、【ワイロ】を渡さないと【敵対的】になる) {/}アラネアの戦士たちは、武器を君たちに向けている。君たちを魔犬獣との関わりがあるのではないかと誤解している。何か高価なものを渡せばここを通してくれるだろうか{/} 出目22 〈日向の猫人〉 出現数:1d3 レベル:4 宝物:なし ≪反応表≫ 1【昼寝をしている】(【逃走】と同様) 2-3【友好的】 4-6【ワイロ】(1体につき1個の食料) このクリーチャーは【少数種族】【人間型】に属する。 このクリーチャーは【斬撃】の攻撃特性を持つ。 【ワイロ】を渡すと反応が【友好的】になる。 反応が【友好的】なら、猫人は「いいこと」を教えてくれる。 次のd66の十の位は「1」で固定される。 *** 日向ぼっこをしていた猫人がこちらを向く。 「なんにゃ? うるさくしないなら、いいことを教えてやるにゃあ」 彼女は「あっちにいい物がある」と、君の背後を指し示す。 礼を言おうと振り返った時、猫人は暖かい日差しの中で寝息を立てていた。 出目23 『モグラの紳士(The Mole Gentleman)』 そこには枯れた巨木が佇んでいた。その根元には大きなウロがある。覗き込んでみると漆黒の闇がどこまでも続いているような気がした。そしてしばらく眺めていると、君は吸い込まれるように転げ落ちてしまった。 しばらく滑り落ちていると、突然明るい空間に転がり出る。するととても良い香りと共に落ち着いた声が聞こえてくる。 「おや珍しい、こんなところに人間の方が来るなんて。30年ぶりくらいかな、良かったらそこの椅子にお掛けなさい」 こじんまりしたテーブルセット、そこに見上げる程大きなモグラが腰掛けていた。テーブルの上には上品なティーセット。その大きな爪で器用に小ぶりなティーカップを口元に運んでいる。どうやら彼はティータイムを楽しんでいた様だ。落ち着いた声に誘われて、君は彼の向かいの椅子に腰掛ける。彼はカップを一つ用意し、紅茶を注ぎながら言う。 「こんなところにいると中々外の話を聞く機会が無くてね、良かったら暖かい紅茶を飲んで、休憩がてら少し話を聞かせて貰えないかな?」 主人公は【判定ロール】を行う(目標値:6)。 成功した場合、紳士は大いに満足し、満面の笑みで大きな緑色のミミズ(治療のポーション相当)を差し出す 「これは大変に珍しいミミズでね、非常に滋養に富んでいる。君の冒険の役に立つだろう。遠慮なく持って行きたまえ」 失敗した場合、紳士は話してくれた事に対して丁寧なお礼の言葉を述べるにとどまる。 ティータイムが終わると、紳士はその大きな爪で穴を掘り、君を地上まで案内してくれる。 「良ければ、また遊びに来てくれたまえ。いつでも歓迎するよ。では、失礼」 紳士が優雅にお辞儀をして穴に潜り込むと、見る見る穴が埋まっていった。 出目24 〈アラネアの兵士〉 森の中を進む主人公達は、武装したアラネアの集団と遭遇する。 出現数:1d6 + 1 レベル:4 宝物:通常 ≪反応表≫ 1-6【中立】(ただし、他の〈できごと〉によりアラネアと友好関係にある場合【友好的】になる) このクリーチャーは【少数種族】【人間型】に属する。 このクリーチャーは【斬撃】の攻撃特性を持つ。 〈アラネア〉の戦士は盾を持っているため、飛び道具で攻撃した場合は【攻撃ロール】に-1の修正を受けてしまう。 〈アラネア〉は4本の脚で移動し、残りの脚に片手武器を持っている。 左右に素早く攻撃を切り替えるので、とても防御しづらい。 そのため、各キャラクターが【防御ロール】を行うさい、出目が2以下であればファンブルが発生したものとする。 反応が【中立】の場合、警戒した様子で主人公達の様子をうかがっているが、こちらから攻撃しない限り〈アラネア〉から攻撃してくることは無い。 ただし主人公が何かを尋ねても、早く森から出ていくよう促すのみで何も答えない。 反応が【友好的】の場合、森の中で危険から逃れる方法を教えてくれる。 D66を振り〈できごと〉を決める際に、十の位が5または6だった場合、1度だけ振り直しを行うことができる。 {斜体} 邪な犬どものせいで森がざわついている。死にたくなくば{ルビ:と}疾く{ルビ:い}去ぬことだ。 アラネア達はそう言うと、森の奥に姿を消した。 {/斜体} 出目31 『白銀枝の若木』 少し開けた場所で珍しいものを発見する。 小剣一振程の丈の若木だが、その枝にはいくつもの白銀色の美しい筋が走っている。 たいていの者ならこう考えるだろう。 “何か価値のあるものなのではないか?” もし主人公たちがこれに近づくなら守護者が現れ一戦交えることとなる。能力①~④を参照のうえ、戦闘をを解決せよ。 あるいは若木に神秘を感じ、これを敬遠して立ち去ろうとするなら荒事は生じない。以下にある主人公の様子②を参照すること。 [囁く葉擦れの者ども] woodwhisper 種別:弱いクリーチャー レベル: 1 出現数: 1d3+10 タグ:[植物] 反応表 : なし。若木に近づいた時点で常に敵対的。または以下にある主人公パーティーの様子①に従う。 主人公パーティーの様子①:斧を所持する者やフーウェイの収穫人がいる場合、および灯火など何らかの火を伴っている場合“全滅するまで戦う”となる。 主人公パーティーの様子②:斧所持者およびフーウェイの収穫人がおらず、※(~)の条件を満たしているなら別のできごとが起こる。“小さな助力者”の項へ進むこと。 ※(~)の条件: これについては他の方の投稿と連携できそうなら杉本先生の裁量でそうしていただけると嬉しいです~。 宝物: 白銀枝の若木(金貨20枚相当) 能力①:群れたる小さき者 小型かつ飛び回るので攻撃判定-1および射撃判定-2のペナルティが課される。 一所に集まる性質があるため、主人公たちの攻撃判定がクリティカルの場合は追加ロールの出目によらず成功となる。つまり出目1のファンブルも成功。 ※クリティカルが出続ける限り、ばっさばっさと切り捨てる(あるいは打ち捨てる)ことが可能なので、追加ロールは忘れずに振るべきだろう。 能力②:葉擦れなす囁き 主人公たちの心を騒がせる葉擦れの音を立てる。 第1ラウンドより毎ラウンドの始め※に主人公パーティーは抵抗判定を行う。 この判定に有効な能力値は[技量点]、[魔術点]、[幸運点]の3種類。(魔術点ないし幸運点を用いた場合は判定後に1点消耗する) ※主人公たちの行動に先んじて判定を行うこと。 目標値: その時点における個体数の半分(端数切り上げ) 判定失敗: 攻撃判定の際のファンブル出目が1つ増えるペナルティを課せられる。 そしてこの効果は累積する。 例)出目1だけがファンブルのキャラクターの場合、出目2もファンブルとなる。 効果は累積するので、2の次は3、その次は4…というかたちでファンブル出目が増殖してゆく。 ※ただし出目6のクリティカル出目だけはファンブル出目にならないので、ファンブルの増殖は5までで打ち止め。 能力③: 主人公たちがこの戦闘で“炎”を用いた攻撃を行った場合、このクリーチャーは逆上して“死ぬまで戦う”ことになる。 もし[炎球]を用いた場合には、その爆炎は《白銀枝の若木》にも及ぶため、これを取得することはできなくなる。 能力④: もし主人公たちが逃走するなら、囁く葉擦れの者どもはそのまま見送るので防御判定を行う必要はない。 (とんでもない消耗戦になると判断したならすぐさま逃げるべきだ) 《白銀枝の若木》 とても珍しいものであることは確かだが、主人公たちにその効能ないし効験を見いだすことはできない。 町に帰れば好事家なり研究者なりに売り払うことはできるだろう。 特殊イベント“小さき助力者” 本シナリオに限り1度だけ、囁く葉擦れの者ども1d3+3体を呼び出して助力を得ることができる。 従者として同伴するわけではないので従者点の空き枠を必要としない。 召還された囁く葉擦れの者どもは戦闘において“葉擦れの囁き”を主人公の敵クリーチャーに対して行使する。 敵クリーチャーレベルから囁く葉擦れの者どもの数を引いた値を目標値として判定を行う。 もし目標値が0以下となった場合は1とする。 これに成功すると主人公パーティーの防御判定に+1、さらにクリティカル出目に5が加わる。 (フレーバーテキスト) 枯れ葉や小枝、下生えなどが寄り集い、いくつもの手鞠ほどの塊が宙に浮かぶ。 よく見ると、それぞれの塊の隙間から一対の眼のような光点が覗いている。 かつては森の守護者として強い力を持っていたが、その遠い末裔たる彼らにはそれほどの力はない。 今は白銀枝の若木を守るだけで精一杯なのだ。 □出目32:〈桜谷から来た魔法使い〉(Wizard from the Valley)  探索の途中、枯れた植物に呪文を唱える異国魔法使いに遭遇した。すると枯れた植物の中にあった種が芽吹きだし、あっという間に成長して果物を実らせはじめた。 「季節外れの果物が食べたくなって、呪文で成長させたんだ。よかったら一緒にどうだい」  異国魔法使いはそう言いながら、何をしているのか尋ねたきみに果物を手渡した。きみは食料一つ分に相当する果物を手に入れた。また、目標値6の【幸運ロール】に成功した場合、魔法使いとの会話から今回の冒険に関する手がかりを一つ入手できる。 {斜体}「数年前、桜谷に現れた呪法使いを倒したんだ」桜森で出会った異国魔法使いはそんな話をした。「今回は魔犬獣が桜森に現れたか。大変だな、まあ頑張ってくれ」呪法使い討伐の戦利品だと語る6本の鍵を弄びながら、魔法使いはきみを見送った。{/斜体} 出目:33〈桜の木の根元に埋まっている死体〉 桜の木のそばを通るとそこの根元に埋められている死体が見えた。すると、その死体がいきなり動きしゃべり出す。 木の根が絡みついて動けないから助けて欲しいと。顔だけ出して喚いている。 そのまま通り過ぎるならこの<できごと>は終了する。桜の木の根を排除すると、ボロボロになった豪華な服を着た死体が立ち上がる。 彼は「クリーチャー:ワイト」であり、信頼してた仲間に殺され、気がついたら自分の体の上に桜の木が育っており動けなくなっていたという。 動けるようになったので自分を殺した仲間に復讐するためこの場を去ろうとする。その際、埋まっていた場所にある鍵付きの宝箱を助けてくれた礼だと告げ、森の奥へと駆け出す。 この宝箱の鍵は主人公ひとりが【器用ロール】(目標値:5)に成功することで開けることができる(宝物表+1)。失敗すると開けれず、なおかつ宝箱自体が完全に埋まって取り出せないためあきらめることになる。 ただし、【器用ロール】をせずに死体に開け方を聞くこともできる。これにより、【器用ロール】に成功した時と同じ結果になる。その場合、この彼は「クリーチャー:ワイト」な為、開け方を聞く間生命力を吸われてしまい、主人公ひとりは生命値を1点減らす。 {斜体} 「我が名前はベルナルド・フォン・ゼリエボッフ。下々の者よ。我が窮地を救った功により頭を下げぬ無礼を許そう」 そう言ってはい出た男の皮膚は血の気はなく生気がない。着ている服は貴族が着るような豪華な仕立てだが長年つにに埋まっていたためぼろぼろの土まみれだ。 「何より、我はこれより裏切り者に家宝の剣つきたてねばならぬ。そこにある宝はくれてやろう。そんなものよりあいつの血で乾杯せねば……くはははは! 開け方? その鍵の右端にあるバラの彫刻を90度回して、こう押し上げるのだ…こう!」 ぼろぼろの剣を掲げ笑う顔の瞳には不気味な光が灯り、口からは白く冷たいもやが広がっていた……。 {/斜体} 出目34〈魔犬獣顔負け、ただし顔だけ〉 きれいな小川を見つけた。君は軽く一服いれることにして、清流の水で口を湿す。ついでに顔も洗っておきたくなりそうしていると「ちょいと失礼しますよ、ご同輩」と声がして、君の横でぴちゃぴちゃと音を立て始める。それは子供が戯れに水面(みなも)を指先ですくいあげる様な、いや、むしろ犬が舌先で不器用に水を飲む様子を連想させた。 ふと不審を感じてその者の姿を認めた君は短い間に二度ぎょっとする。 声の主は犬だ、いや、これは違う。この凶悪な面相、引き締まった体躯、何よりも鋭い爪は他ならぬ魔犬獣に相違ない! [器用点]ないし[幸運点]にて判定を行うこと(目標値: 3)。 判定失敗: 君は素早く武器を手にするや、それを振り払って距離を取る。馴れ馴れしい魔犬獣はひぃ、と人の様な悲鳴をあげると「ごかんべーん」と聞いた風な叫び声とともに脱兎のごとく逃げ去っていった。 はて、あれは一体何だったのだろう。君はかぶりを振ってこの場を後にする。 判定成功:「いや、違うんだ!いや、違わないかもしれないが私はコビットなんだ。そうは見えないことは重々承知で言うが信じておくれ。私は匙休め郷のコッブ・タイベリィ!」 必死で身元を明らかにしようとする魔犬獣の姿を見て、君はひとまずこの者の話を聞いてみる気になった。 「いろいろあって、よりによってのこの姿。どうか笑っておくれな」 “じゅうけつあそび”はこりごりだ、とかなんとか漏らししつつ次のように語る。 「なんとか森になら、この体を元に戻してくれるお人がいるって聞きましてね」 君は皆まで聞かずともコッブ・タイベリィと称する、このコビットだか魔犬獣だかの人物を見てとることができた。少なくとも、害は無さそうだ。 “なんとか森”などという森はこの世のどこにもないと言えばそうだし、大抵の森は“なんとか森”ということになるだろうと君が告げると「おっとこれはご慧眼」などと目を丸くして見せる。 君が呆れ顔で別れの挨拶もそこそこに立ち去ろうとすると「ありゃ、ちょっと待っておくれな大英雄さん!じゃなきゃ大魔王さま!」 ふざけた呼び止める声を背に聞いて、君にある考えが閃く。振りかえって、妙な呼び方をするなと自らの名を告げる。そして取り引きを持ちかけてみた。 この先そちらの求める“なんとか森”の情報を得ることがあれば必ず伝えると約束しよう、だがまずはこちらの頼みを聞いてくれないか。そういった内容を述べ、うろんな言い様だと我ながらに思いつつも先方の様子を伺うと、驚いたことに魔犬獣の双眸から滂沱の涙が溢れだした。 「なんという慈悲、なんという博愛」などと言いつつ魔犬獣姿のコッブ・タイベリィは次々と感謝の言葉をまくし立てる。 君の目論見はこうだ。このような者がこの森で命を落とすことなく呑気にしておれるというのも、それは彼の能力あってのものだ。魔犬獣の力ではなく、天性のような忍びの業。まさに君は先ほど川縁で一切の気配なく肉薄されたばかりなのだ。あるいは本人も気づいていないこの才を利用しない手はない。 以降コッブ・タイベリィは本シナリオに限り君の手の者として単独で森を巡り、様々な情報を収集する任につく。 奇数番号のできごとを終了する度に1d6をロールし、その結果を以下の表に照らして彼の成果の有無と内容を確認すること。 出目①: コッブ・タイベリィは遭難して二度と姿を顕さない。 出目②、 ③: 成果なし。 出目④: 宝物判定の際、記述の数値に+1(判定1回分)。 出目⑤: [てがかり]を1つ獲得。 出目⑥: ④および⑤を両方獲得。 では、コッブ・タイベリィと出会ったこの場所で再び落ち合うことに決めて、冒険を続けよう。 (フレーバーテキスト) 〈匙休め郷にてグィユ・マヅルッカの談話〉 この辺りでいっとう最初に獣血遊びを始めたのは俺っちさ。みんな面白がってすぐ飛びついたね。 流行の第一人者というのも、とかく悩ましい立場でね。つぎは猫ですか、兎ですか?、耳でしょうか、尻尾でしょうか?なんて目を輝かせて聞いてくるもんだから、手に入る限りの獣血を試して、もちろん一家言あるぞという風にしておかなきゃならないわけで。 そんなおり、とある筋からいかにも怪しい一物が手に入ったが、自分で試すのはどうもはばかられる。 そう思っていたところにコッブ・タイベリィの顔が浮かんできてね。まあ、ちょっと懐の寂しいやつなもんで物欲しそうにしてたから、もし良かったら遊んでみるかい?てなもんで、俺っちもとことん太っ腹だぜ。 そう言えば最近やっこさんの顔を見てないが、どうしてるかなぁ。 出目36『白拍子の舞』 森の中で異国の音楽が聞こえる。それは、遥か東方の国の小鼓と横笛であるのは主人公は知ることはなかったが、「美しい音楽」というのだけはわかった。 まだ花咲く前の桜の木の前で異国の服を着た女性が舞っている。異国の舞、白拍子だ。 ポンという小鼓の軽妙な音と横笛の艷やかな音色に併せて舞を舞う女性。異国の服、水干と烏帽子姿の女性の姿に見とれていると、時間を忘れてしまった。 「ほう」 舞っていた女性がため息に似た息をひとつ付くと、姿が消えた。どこからともなく聞こえていた音楽も消え、あたりに森の音が戻ってきた。 優雅な時間を過ごした主人公は生命点か副能力が3点回復している。 {/}舞を舞っていた女性の姿が消えた後、桜の木のひとつに桜の花が1輪咲いているのがみえた。あれは、遠く異国の国から渡ってきた、桜の木の精だったのかとふと思う。{/} 出目41 〈くさびら爆弾〉(Mushroom Bomb) 難易度:2  対象:ランダムで2人  木々の重なりで薄暗くなった一角を進んでいると、不自然なほど落ち葉が厚く重なった場所に差し掛かった。そこに足を踏み入れると突然、炸裂音とともに地面が爆ぜた! 幸いにも先頭の2人が尻もちをつく程度の衝撃だったが、木の葉とともに茶色の粉塵が舞い上がる。繁殖期に破裂して胞子を撒き散らす、通称"爆ぜ茸(はぜたけ)"が足下に生えていたのだ。【善の種族】サイズのクリーチャーが大量に胞子を吸い込むと、窒息で命を失うこともある。  ランダムで選んだ2人のキャラクターは目標値2の【器用ロール】をおこない、判定に失敗したキャラクターは生命点に1点のダメージを受けてしまう。 胞子をやり過ごすした後、視線を感じたきみは周囲を見回した。すると、こちらを伺っていた魔犬獣が、近くにあった爆ぜ茸を踏みつける瞬間を目撃する。しばくして、粉塵が散った場所に横たわる魔犬獣を見たきみは「やつらにも効くんだな」などと、愚にもつかない感想を抱いた。 {斜体} 「桜森にある爆ぜ茸って知ってるかい?」商業都市ナゴールで交わした酒場の店主との会話が頭をよぎる。「繁殖期にうっかり触ると爆発しちまうんだが、成長期のアレは焼くと旨い」「若い時分は食べごろで、歳をとったら厄介者ってわけだ!」きみと自分のジョッキに酒を注ぎ足した店主は、そう話ながら大爆笑した。{/斜体} 出目42 〈五里霧中〉(In a Fog) 難易度:4 対象:主人公1人 森の中を歩いていると、肌寒さが増して、霧が出てくる。視界が白く覆われ、どこに向かって進んでいるか判然としない。 対象のキャラクターは【幸運ロール】を行う(目標値:4)。 判定に成功した場合は、次のできごとを決める際、十の位を1d3で決めること。 判定に失敗した場合は、次のできごとを決める際、十の位に1d3+3すること。 出目43〈桜の芽吹き(Budding of the Cherry Blossom)〉 難易度:5  対象:従者からランダムに1人  このできごとは、従者が1人もいない場合は何も起きない。  桜の木々の中、気が付くと目の前に女性が一人立っていた。気配は微塵も感じなかった。  女性は幾重にも重ねられた薄く柔らかな衣をまとい、その淡いピンク色はこれからこの森を包むであろう桜の花びらを連想させた。  表情から何を思っているのか伺い知れないが、真っすぐこちらを見つめている。  目を逸らせないことに気づいたその時、不意に彼女は口を開き、従者の一人に手を差し伸ばす。  「芽吹きのための力が足りません。どうか私を助けてくださいまし。」  その言葉が耳に入った瞬間、心の中に鮮やかな桜の花びらが舞い踊り、彼女への抗いがたい好意が膨れ上がる。  対象のキャラクターは、【魔術ロール】を行うこと(目標値:5)。  判定に成功したなら、従者は誘惑に負けず、申し出を断る。  判定に失敗したなら、従者は誘惑に負け、女性とともにこの場を去ってしまう。  従者はこの冒険終了後には戻ってくるが、去った後の記憶は淡く不確かなようで、ただ夢を見ていたようだとつぶやくのみだ。 ***  彼女への協力を承諾した従者はふらふらと歩みはじめ、彼女の手を取り、ともに視界から消え去った。  引き留めることはできなかった。あなたの心も彼女への好意に満ちていたからだ。 出目44〈死地〉 君はとある木の枝に何かが吊り下げられているのを認める。 近づくにつれ、それが鳥籠であることがわかる。中には一羽の見慣れない鳥がいた。見た目には危険も無さそうだが、それは脚が一本だけの奇妙な格好の鳥だった。 鳥は君がやって来るのに驚いて籠の中で騒ぎ始める。 するとそれに呼応するかのように、君の周囲でいくつもの薄紫のものが下生えを分け、にわかに膨張し出した。瞬く間にそれは腰を掛けられるほどの大きさにまでなると、乾いた音を立て破裂する。そしてそれとともに撒き散らされた金色(こんじき)の粉末に巻かれ、君は抗い難い睡魔に襲われ昏倒してしまう。 むせ返るような硫黄の臭気が立ち込めている。異臭の不快さが君の意識を呼び覚ます。 目を開けた君は総毛立つ。目の前には数人のオークが立ち、そして周囲にはおびただしい数の犬に似て非なる者どもがいた。魔犬獣だ。 硫黄のような臭気の元はこの者らにあった。これだけの数に囲まれると、火を吐く者特有のその呼気が充満し、胸をむかつかせる。 「奴めらのおもちゃにしては上等な首尾」 野太い声でオークが言った。 「で、こいつらをどうするね」と、汚い斑(ぶち)のある魔犬獣に問うた。 その犬相の者は彼らの唸る様な短く途切れる言語で何事か応える。するとオークは鼻を鳴らして低く笑声を漏らしてから君の処遇を伝える。 「ゴブリンのおもちゃにまんまと嵌まった貴様は、やはり我らのおもちゃとなる、とよ」 それを継いで件の魔犬獣が君に向かって直に言い放つ。 「はしれ。われらはきさまがみえなくなるまでうごかない」 ひどく聞き取りづらいものだったが、紛れもない人語だった。 「わかしゅうたちがきさまをおう。のがれきることができればそのいのち、くれてやる」 奥歯を噛みしめ拳を握り、君はゆっくりと立ち上がり、そして駆け出す。その背に追い討ちのようにかかる雑言で胸懐を燃やしながら。 「いまのきさまのようなものをたとえることばをしっているぞ。“マケイヌ”め」 屈辱を受けた君だが、今は何をおいても逃げる他はない。魔犬獣たちは予告通り、まだ追って来ない。 生き延びろ! これより4度にわたる判定を行う。試行する者は主人公はもちろん、戦う従者および戦わない従者でも構わない。誰が何度攻撃を受けるのかを随意に決定せよ。 行うのは追撃してくる魔犬獣に対する防御判定の一種だが、通常とは異なり[器用点]を基準とした判定となる。 試行する主人公および従者には達成値に以下の条件で修正が施される。 ・試行時点の生命点の半分(端数切り上げ)を上回る数の所持品を携行している場合-2。もし超過分の荷物を捨て去るなら適用外とすることができる。なお、判定に失敗して生命点が減る度に条件が厳しくなることに注意せよ。 ・第1回目の中間イベントで“二日月夜の同胞”を皆殺しにしている場合-1。 ・[てがかり]を使用すれば1件につき+1。 以上の条件に適合する修正をすべて合算したものを最終的な修正値とする(目標値: 4)。 判定失敗: 生命点にダメージ1。ファンブルの場合、被るダメージは2となる。 4度の判定を経た後にもまだ主人公に命があるなら、魔犬獣たちは独自の規範に準じて追撃をやめ、引き返す。 この経験により君は本シナリオに限り以降の遭遇で魔犬獣と戦闘となった場合、攻撃判定に+1の修正を得る。 (フレーバーテキスト) ムラサキフクラダケ。この有害な茸の一種が何を契機として膨張を始めるのかはその道の専門家をしても謎とされていた。 ところがゴブリンのある一氏族では、ムラサキフクラダケとサンポドリとの間に何らかの相関関係があることは常識となっていた。 そしてこの学術的発見となるはずのものを彼らがどうしたかと言えば当然のごとく、うろんな仕掛け罠として用いたのである。 出目45 〈蜂の巣落とし〉(Wasps’ nest)  難易度:3  対象:パーティ全員  探索の途中、木立に隠れていたゴブリン達が石を投げつけてきた。しかし狙いはきみではなく、樹上にある蜂の巣だ。投石により地面に落下した巣の中から、怒った蜂たちが次々と飛び出し、きみに襲いかかってくる!  すべてのキャラクターは目標値3の【器用ロール】をおこない、判定に失敗したキャラクターは生命点に1点のダメージを受けてしまう。なお、筋力点の【かばう】判定に成功した主人公は、先の【器用ロール】に失敗した他のキャラクター1人のダメージを肩代わりすることが出来る(【かばう】が使える主人公のみ判定可能)。   蜂から逃れて一息つくと、ゴブリンたちは既にいなくなっていた。 出目52 〈樹海魚〉(Sea of Trees Fish) 出現数:1d6+3 レベル:3 宝物:【後述】 反応表︰1-3 【悠々と泳いでいく】(※逃走と同様)4‐5【中立】 6【敵対的】 これは【水中】に属するクリーチャーである。 このクリーチャーは【斬撃】の攻撃特性を持つ。 このクリーチャーは、ゆっくりと飛行しているので、飛び道具だと狙いやすい。 そのため、飛び道具で攻撃する場合は【攻撃ロール】に+1の修正が得られる。 〈樹海魚〉の鱗は「鏡鱗」とも呼ばれて、好事家に好まれている。 この鱗は(1d6×3)枚の金貨に交換することができる。 この鱗を手に入れるために、このクリーチャーと戦う場合、【炎】【打撃】特性の攻撃を行うと、鱗は焼けただれたり砕け散ってしまうため、入手することができない。 また、〈樹海魚〉を複数のキャラクターで攻撃した場合、このクリーチャーは自分の手番に【逃走】する。 その場合、通常のルールとは異なり、キャラクターは「鏡鱗」を手に入れることができない。 {斜体} 樹海の中を、まるで海のように泳ぐ魚の群れが前方にいる。鱗や体は色を変え周囲に擬態するのだという。冬の今はほぼ透明で、透けている骨が樹々の枝のように見えなくもない。 「春であれば、あの樹海魚もそれは見事に桜色になりますよ」  この辺り出身らしい従者に、ところであの透明な魚の肉は食べられるのだろうか? とふとした疑問を投げかけると、その発想は無かった、という顔をされてしまった。 {/斜体} ※注記 樹海の中を優雅に泳ぐ魚のイメージが湧いたので、こんなクリーチャーがいても良いかなぁと……巨大樹の迷宮の『飛鮫』もいることですし。何となくシーラカンスとか古代魚みたいな雰囲気の魚かなと思ってます。 ◇出目51 〈タケノコトレント(Bamboo Shoot Treant)〉 出現数:1d6+3  レベル:3  宝物:なし ≪反応表≫ 1-3【中立】 4-6【敵対的】  これは【植物】【少数種族】【人間型】に属するクリーチャーである。  このクリーチャーは【打撃】の特性を持つ。  このクリーチャーは幼体でまだ知性を持っておらず、目に入った存在に脅威を感じた場合襲いかかってくる。  【炎】の特性を持つ攻撃をした場合は【攻撃ロール】に+1の修正を得る。  弾性のある身体のため【打撃】の特性を持つ攻撃をした場合は【攻撃ロール】に-1の修正を受けてしまう。  このクリーチャーは成長が早く、第3ラウンドには竹トレント(レベル:4)に変化する。  身体が硬質化するため【炎】【打撃】の【攻撃ロール】への修正は無くなる。  第1ラウンドまでに倒したタケノコトレントはまだ身が柔らかく、戦闘終了直後に限り食料として食べることができる。  ただし、もし君がトレントを従者にしていた場合、同族が食べられる様に恐れおののき、トレントたちは全員離反する。 ***  この季節の桜森では珍しく葉の繁った木々が群生している場所に目がとまる。  木々の幹は細く、真っすぐ、緑色で、見慣れない形だ。  足を踏み入れるとこの一帯だけ暖かな空気に包まれており、まるで一足先に春が訪れているようだ。  何か魔法の力によるものかと注意深く周囲を観察していると、不意に地面がボコリボコリと盛り上がり始める!  不死者の襲撃か!?  否! 土中から現れたのは柔らかな多層外皮に覆われた人型クリーチャー、タケノコトレントだ! 出目54 ダンスバタフライ dancing butterfly 【虫類】 出現数1d6+3 レベル3 宝物なし 反応表 1_2ただ飛んでいる(【逃走】と同じ)3_6敵対的 これは【虫類】に属するクリーチャーである。 このクリーチャーの攻撃は【斬撃】の特性を持つ。 このクリーチャーは飛び回っているため、射撃用の武器以外で攻撃する場合は【攻撃ロール】に−1の修正を受けてしまう。 〈ダンスバタフライ〉の【防御ロール】にファンブルで失敗してしまったキャラクターは、通常の1点に加えて、鱗粉で【麻痺】を受けてしまう(この効果は累積しない)。 〈ダンスバタフライ〉の鱗粉で【麻痺】したキャラクターは【判定ロール】すべてにー1の修正を受けてしまう。 この効果は次の〈できごと〉が終わるまで続く。 なお〈ダンスバタフライ〉の鱗粉による【麻痺】は【水場】を利用することで即座に解消できる。 /蝶に囲まれ老若男女、誰も彼もが声をあげて踊っていた。見惚れていると小さな蝶たちが淡い光を散らし寄ってくる。刹那、俺の身体は奇妙に引き攣りステップを刻み出す。油断してはならない!/ 出目56 『妖魔と妖精(Good Fairy and Bad Fairy)』  森の木立を進むうち、ふとか細い悲鳴が聞こえた気がした。  君は耳を澄ます。そして鬱蒼と茂る低木を掻き分けて進む。  やがて鼻を突くムッとした臭いが漂いだすと、汚らしい格好のチビの妖魔どもが、何かを囲んでニタニタと嬉しそうな笑みを浮かべているところに出くわした。  彼らは泥で汚れた革鎧を身に纏い、思い思いの貧弱な武器を手にしている。  ゴブリンだ。おそらくは魔犬獣の先遣部隊だろう。    彼らは狡猾そうな表情でやって来た君たちを値踏みするように眺め渡す。  その背後で抱き合って震えているのは、手のひらに載るくらいの大きさをした花の小妖精たちだ。  君は≪反応表≫を振って、彼らにワイロを渡し、ここから立ち去るように交渉することもできる。  その場合、彼らはニヤリと笑って「他の奴にはナイショだぞ」と耳打ちして姿を消す。(■桜森の小妖精の項目へ進むこと)  でなくば、お楽しみを邪魔された彼らは、不機嫌そうな奇声を上げると君たちに襲いかかってくる。   〈ゴブリンの遊撃隊(Goblin Guerrilla)〉 出現数:2d6  レベル:3  宝物:修正-1 ≪反応表≫ 1-3は【ワイロ】(1体につき金貨3枚、または 食料1個)4-6は【敵対的】  〈ゴブリンの遊撃隊〉は【悪の種族】【人間型】に属するクリーチャーである。  〈ゴブリンの遊撃隊〉は【斬撃】の特性を持つ。   ■ゴブリンが1体でも倒されると、気の弱い彼らは尻込みをし出し、誰が先に襲いかかるか押し付け合いをはじめる。 「センセイだ!センセイを呼べー!」  一番後ろにいた者が、甲高い口笛を吹くと、じゃらじゃらとした鎖の音をさせながら巨体の怪物が後方からぬっと姿を現す。  ゴブリンが鞭を鳴らすと、怪物は君たちに向かって突進してくる。 「センセイ、お願いします!」   〈飼育されたオウガ(Tamed Ogre)〉 レベル:4  生命点9  攻撃数2  宝物:なし ≪反応表≫ 常に【敵対的】  〈飼育されたオウガ〉は【悪の種族】【人間型】に属するクリーチャーである。  〈飼育されたオウガ〉は【打撃】の特性を持つ。  このクリーチャーは防御をあまりしないので、各キャラクターは【攻撃ロール】に+1の修正を得る。  このクリーチャーに対する【防御ロール】にファンブルした場合、キャラクターのいずれかがもう1回【防御ロール】を行わなければならない。   ■ゴブリンが半数を下回るか、オウガの生命点が半減すると彼らはほうほうの体で撤退する。 「ひゃー。にっげろー」 「〈あの御方〉にご報告だー」   ■桜森の小妖精  君は桜の若木の傍の小妖精たちにそっと近づく。  彼女たちは辺りにゴブリンがいなくなった事を確認すると、ようやく安堵の表情を浮かべる。  黄色い花と葉で着飾った彼女たちは、春の訪れを告げるというミモザの花の妖精だ。  そのうちの1人が、君たちの周りを羽音を立てて勢いよく飛び回り始める。  辺りに甘い香りを振りまきながら、やがて彼女は君の肩に留まり、気に入ったのかそのまま座り込んでしまう。   「あたしはホルグヒルダ。ブルーメさまからアンタたちの事は聞いてるよ。さぁ、行こう」    彼女は気まぐれで、君に付いてくるようだ。  〈桜森のホルグヒルダ〉がいる限り、夜でも彼女の周りは燐光の薄明かりに照らされ、光源を持つ従者を連れているのと同じ効果を得る。  従者点を消費する必要は無いが、彼女は桜森の外には出ないため、このシナリオの3回の冒険が終われば別れることになる。 出目61 ドコドコ茸 Quake Fungus【植物】【人型】 反応表 1_3眠っている(【逃走】と同じ)4_6敵対的 レベル4 生命点8 攻撃数2 宝物なし これは【植物】に属するクリーチャーである。 このクリーチャーの攻撃は【打撃】の特性を持つ。 頭に小さな株を小山のように生やす歩きキノコの一種。 適度な湿度と静寂を好んでおり、普段は土の下で大人しく過ごしているがコロニー付近で騒ぐと怒って現れる。驚くことにこいつは食用菌で食べることができるらしい。 このクリーチャーとの戦闘に勝利すると、1d3個分『美味しそうなキノコ』を手に入れる。これは【食料】であり、食べると生命点を1点回復できる。またワイロなどの取引にも使用できる。 冒険の終了後、一個につき金貨3枚で売却できる。なお次の冒険に持ち越すことはできない。 /進むべき道の脇に見馴れぬものがあった。慎ましやかな色合いのこんもりとした茸(きのこ)の山。従者が袖を引く。「…旦那ァ、アレは不味い」「美味しくないのか」「そうじゃなくてアレは」「あぁ毒キノコなのか?」2人で話をしているとずごごごごと音がして、地面が揺れた—/ 出目62〈火災で生まれたもの〉 魔犬獣の炎によって桜森の一部に火災が発生した。森の野獣達が逃げ惑う中、火災によって生まれるものもいる。 君たちが、エルフや草花人たちと一緒に火災の延焼を防ぐ手伝いをしていた矢先のことだった。 「炎の精霊だ!」 エルフのレンジャーが声を上げた。 「なんてこった、ここには火消しで集まったものしかいない。戦えるやつはいない」 エルフのレンジャーが君たちを見る。 君たちは火災を消し止めようとする森の住人、エルフや草花人に襲いかかる炎の精霊を倒さなければならない。 炎の精霊 レベル:3 生命点:10 攻撃数:全体(後述)宝物:後述 反応表常に【死ぬまで戦う】 これは【精霊】に属するクリーチャーである。 このクリーチャーによる攻撃は【炎】の特性を持つ。 このクリーチャーは常に【死ぬまで戦う】。 このクリーチャーは全体攻撃を行うため、すべてのキャラクターは毎ラウンド1回ずつ【防御ロール】を行わなければならない(目標値はこのクリーチャーのレベルに等しい)。 このクリーチャーには【炎】の特性を持つ攻撃や魔法の効果がない。 このクリーチャーを倒した場合、各主人公は1回ずつ【幸運ロール】を行なってもいい(目標値:4)。成功した場合、「魔力石」を1個手に入れる。これは魔法使いのための消費物で、使うことで副能力値を減らさずに魔法(魔術、奇跡、呪術など)を行使することができる。売る場合、金貨20枚になる。 {/}「……俺たちが相手しているのは、魔犬獣だけじゃない。火災によって生まれる炎の精霊も相手にするのさ」エルフのレンジャーが呟いた。{/} 出目64〈傷ついた白い翼〉 木立の中から、鳥の大きな鳴き声が聞こえた。 どうやら声の主はひどく怒っているらしい。 興味をそそられたあなたは、命知らずにも声の方向へ足を向けてみる。 すると程なく、背に鞍を乗せた純白のグリフォンと、ロープを持って対峙する金髪の青年の姿が見えた。 青年は冒険者であるらしく、あなたの存在に気づくと、 「すまない、手伝ってもらえないだろうか。翼が折れているんだ。騎手もいなくなってしまっている。かわいそうだから何とか外へ連れ出してやりたいが、その、正直に言えば私だけでは埒が明かなくてね。謝礼は用意する!」 怪我をしているとはいえ、興奮して攻撃的になっているグリフォンは強敵だろう。 あなたは手伝ってもいいし、このまま立ち去っても良い。 立ち去る場合は、このイベントは終了したこととし、次のイベントへ進むこと。 手伝う場合はグリフォンと戦闘になる。生命点が半分以下になれば、青年が首尾よく飛びついて、弱ったグリフォンの首に縄をかける。人間に馴れているグリフォンは大人しくなり、戦闘はあなた勝利となって終了する。 〈傷ついたアルビノグリフォン〉 レベル:6  生命点:4  攻撃回数:2  宝物:(青年からの謝礼として)+2のボーナス ≪反応表≫ 常に【敵対的】 (※フォレストマスター注:翼に怪我をしているため飛行しておらず、飛び道具ボーナス無しとしております。「翼を閉じることができずに常に広げているため」という理由でボーナスありとしても良かったのですが、救助という主旨に反するかと思いました) ・このクリーチャーは【動物】【怪物】【騎乗生物】に属する。 ・戦闘の第0ラウンドでは、このクリーチャーは炎の息を吐く。攻撃特性は【炎】で、その攻撃回数は1回である。対象のキャラクターは【対魔法ロール】を行うこと(目標値はクリーチャーのレベルから1引いた値に等しい)。判定に成功したなら、炎を避けられるので、対象のキャラクターは被害を受けることはない。判定に失敗したなら、炎によって火傷を負ってしまうため、対象のキャラクターは生命点に1のダメージを受けてしまう。 ◇戦闘に勝利した場合、あなたが望むなら次の冒険から(これが1回目の冒険であるなら2回目の冒険から)このグリフォンを「戦う従者(技量点2、生命点5、攻撃数2、【斬撃】)」の【騎乗生物】として仲間に加えることができる。 ◇このクリーチャーは飛行能力を持っている。同行させるためには従者点を10点必要とする。また怪我の治療を行う必要があり、街へ連れて行ってくれるという青年に金貨160枚を託さねばならない。青年は正直者であるので、金貨が奪われる心配はしなくともよい。 ◇従者のグリフォンは第0ラウンドに炎の息により攻撃を行うことができ、その攻撃特性は【炎】で、攻撃回数は1回である。グリフォンはクチバシと爪を持ち前の武器としているため、炎の息を吐いた後であっても、持ち替えの必要なく第1ラウンドから接近戦の攻撃を行える。ただしグリフォンは大きな両翼を広げて飛行しているので、飛び道具だと狙われやすい。そのため、敵の飛び道具を受けた場合は【防御ロール】に-1の修正を受けてしまう。 ◇食欲が旺盛であるため、飼育には相応の費用がかかる。冒険が終わるたびに羊(金貨15枚)を一頭与えるか、グリフォンを逃がさなければならない(後者を選んだ場合は【騎乗生物】から外されることになる)。 {斜体} 金髪の青年は礼儀正しく、自らをソール・オ・リエンスだと名乗った。 物腰や風体、表情の朗らかさから、育ちの良さが伝わってくる。 「グリフォンは実家で飼っていたからね、扱いはひととおり分かっているつもりだよ」 胸を張るソールを、純白のグリフォンは〈やや疑問がある〉とでも言いたげに首を傾げて見つめていた。 {/斜体} 出目65 大顎のアラネア Aranea of big jaw【少数種族】【人間型】 反応表 1_3中立 4_6敵対的 レベル4 生命点6 攻撃数4 宝物通常 ※『アラネアのスカーフ』(出目11)を持っている場合、反応は全て『友好的』になる。 これは【少数種族】【人間型】に属するクリーチャーである。 このクリーチャーは【斬撃】の攻撃特性を持つ。 通常の〈アラネア〉は俊敏な動きが特徴だが、このクリーチャーは大顎のせいで速度が幾分か遅い。しかし貪欲に挟む攻撃を狙ってくるので注意が必要だ。 〈大顎のアラネア〉の【防御ロール】にファンブルで失敗してしまったキャラクターは生命点へのダメージに加え、顎で挟まれ盾が壊れてしまう。 /こちらがその視線に気が付くとそれは、頭上から糸を垂らしスーッと目の前に現れた。四つの手と四つの脚。外見的特徴から察するにアラネア族なのであろうが、それは異形とも言える風貌をしていた。驚くべきことにその口元からは大きな鋏状の大顎が生えていたのだった。/ ※あなたが『アラネアのスカーフ』(出目11)を持っている場合 「…オマエ、ソノすかーふ、ドコデ手ニイレタ…」 大顎のせいで不明瞭な声ではあったがそのアラネアは尋ねた。 「集落のナカマ、ソレ…探シテル」 あなたが希望するなら『アラネアのスカーフ』(出目11)を渡してもいい。 渡すと不器用ながらも丁寧に礼を述べ、対価として拾った宝物を一つくれる。(宝物表を1回振る)※すでに他のアラネアに渡している場合も同様の反応になる。 渡さない場合、このクリーチャーは至極悲しそうな雰囲気で立ち去る。 〈冬寂〉(Wintermute) レベル:5  生命点:7  攻撃回数:2  宝物:+2 ≪反応表≫ 1-3は【ワイロ】(従者を1D3+1人引き渡す) 4-6は【敵対的】 このクリーチャーは【善の種族】の属性を持つ。 〈冬寂〉は飛び道具と接近戦両方に【斬撃】の攻撃特性を持つ。  桜の木々の合間から、白装束の人型クリーチャーがゆらりと現れた。  「春は騒乱と混乱の季節だ。だが今暫くは静かな冬を……無慈悲な死を楽しむとしよう」白い覆面の内側から、冷え冷えとした呟きが漏れきこえる。  〈冬寂〉は風変わりな投げナイフ……クナイをきみに投げつけながら一気に距離を詰め、片刃の剣を引き抜いて切り掛かってきた!  このクリーチャーは第0ラウンドで主人公と戦う従者一人ずつに、飛び道具による攻撃を行う。戦う従者がいない場合は、主人公が2回攻撃を受けること。  また非常に素早いため、飛び道具から近接戦の武器への持ち替えに1ラウンドを必要としない("太刀持ち"を連れている主人公と同様に扱う)。  更に〈冬寂〉は冷気に耐性があるため、【魔術】の【氷槍】から受けるダメージが2点から1点になる。 {斜体}〈冬寂〉は東の地キョウからやってきた暗殺者(シノビ)だ。彼は死を想起させる冷たく無慈悲な冬をこよなく愛し、冬(死)を他者に届けことに喜びを感じる。眼前の冒険者と切り結びながら「”これ"が終わった後は、騒々しい炎の運び手……今回の依頼主たちに"冬"を届けるのも、いいかもしれない」そんなことを考えながら、〈冬寂〉は覆面の下で冷たく微笑んだ。{/斜体} 〈中間イベント1:火に舞い散る〉 君はただならぬ気配を感じ身構える。 すると藪の向こうがにわかに明るくなるが早いか、茂みを突き破り燃え盛る“ひとがた”が炎と煙に巻かれながら猛然とこちらへ駆けてくるではないか! 近づくにつれ、それが火だるまとなった草花人であることが知れる。 声こそ発しないものの、身を焼かれる苦しみに半狂乱となっていることは火を見るより明らかだった。 見る間にその身命は燃え尽きて、君の眼前で消し炭と成り果てる。 そして同様に火の責め苦に遭う草花人たちが続けざまに現れこちらへ逃げてくる。 君は直感する。 これは自然に起きた火事の類いではないと。 間も無く、その証左たるこの惨状を現出せしめた者どもがその姿を現す。 鋭い牙の間から煙の筋を立ち上らせ、その群れは君の正面から左右に別れ、ゆっくりと間合いを詰める。 火を吐く犬相の種族、魔犬獣との戦闘を解決せよ! 魔犬獣は草花人たちに向けて欲しいままに火を吐きかけた直後なので、この戦闘において火による攻撃は行わない。 その代わり、燃え盛り闇雲に走る草花人が主人公たちに突っ込んでくる可能性がある。敵ではないが、降りかかる火の粉は払わねばならない。 まずは燃え盛る草花人たちによる無意の突撃を処理すること。 [燃え盛る草花人] レベル:3 出現数:1d3+1 タグ:[植物] 宝物:なし 燃え盛る草花人は第0ラウンドのみ攻撃。1ラウンド開始時には過ぎ去るか焼死している。 射撃攻撃をしてくる敵クリーチャーと同様の処理にて防御判定をせよ。攻撃属性は[炎]である。 主人公側に射撃や投擲(とうてき)を行える者がいるなら燃え盛る草花人の突撃に先んじて攻撃できる。 攻撃呪文の類いは第1ラウンドより効験を発揮するものなので、草花人の死の疾走を止めるにはわずかに時が足りない。 あるいは草花人にはあえて手を出さず、より危険な魔犬獣に射撃をしかけるというのも戦術だろう。 第1ラウンドからは4体の魔犬獣らと水入らずでの果たし合いとなる。 魔犬獣 “二日月夜の同胞”(ふつかづきよのはらから) レベル:4 出現数:4 宝物:以降のできごとで桜森の住人(GMたるプレイヤーの判断)に出会った際に一度だけ[てがかり]を1つ獲得できる。 この4体の魔犬獣は同じ夜に同じ腹から生まれた兄弟である。2体以上が戦闘可能な場合、この者らは特殊な連携をとることができる。 偶数ラウンド(2, 4, 6…)においては主人公たちに先んじて魔犬獣たちの攻撃を解決せねばならない。該当するラウンドでは主人公たちの防御判定を行ったのちに攻撃判定を行うこと。 真夜中の同胞たちの主人公に対する基本的な態度は[敵対的]だが、戦闘で同胞の誰かが殺されると[死ぬまで戦う]に更新される。 もし何らかの方法によって1体も殺さぬかたちで兄弟のうち2体を戦闘不能とすることができたら、魔犬獣は兄弟を引きずって逃走する。 (フレーバーテキスト) 魔犬獣の群れ社会で成体として承認される要件は随意に火を吐けると証明することである。もっと言うなら巣の近辺で火を吐くことは御法度とされるので、火吹きの力を完全に制御することこそ成長の徴とされる。 “二日月夜の同胞”の末弟に火吹きの力が発現したのはほんの一月前のことである。彼は我が身に芽生えたばかりの力を試す機会をひとつとして逃したくなかった。 無論、火だけではない。我が爪の鋭さを、我が牙の強さを、我が四肢の敏なるを! 目障りに動き回る植物はそれに足るものではなかったが今目の前にいる奴らはどうか?確かボウケンシャとかいった物狂いの者どものはずだ。 こいつらを屠るならいかほどの喜びとなろうか! それを俺は知りたい! 〈最終イベント1:炎の使い手〉 〈オーク〉 出現数:1d6+3  レベル:4  宝物:なし ≪反応表≫ 1-2【敵対的】 3-6【死ぬまで戦う】  これは【悪の種族】【人間型】に属するクリーチャーである。  このクリーチャーは【炎】の攻撃特性を持つ。  このクリーチャーが先制攻撃を受けた場合、常に【死ぬまで戦う】。 〈オーク〉の数が主人公側よりも多い場合、彼らはより勇敢になるため、【防御ロール】に-1の修正を得てしまう。 {斜体} 森の広場へとたどり着く。かつては商業都市ナゴールを行き来する商人や旅人たちが休息をとるために使っていた、憩いの場であったところだ。 今はオークたちが中央で大きな焚き火を作り、戦の準備を整えている真っ最中だ! 彼らは松明を手に、君たちと戦う。 {/斜体} 〈中間イベント2:途切れた絆〉 目的地も無いまま歩くのでは効率が悪い。 桜の王キルシュバウムの従者ブルーメは、魔犬獣に率いられた〈悪の種族〉たちの焼き討ちが始まった地点を教えてくれた。 あなたは、その場所を目的地に定めて歩いている。 まずは魔犬獣たちが何を考えて桜森を襲い始めたのか、その意図を知ることが大切だ。 襲撃された場所を見れば手がかりが得られるかもしれない。 加えて〈悪の種族〉たちの総勢も分からないのでは、正面切って事を構えるのは賢い選択とは言えないだろう。キルシュバウムもそこまでは情報を掴んでいないらしい。 そうして歩いて行くと、前方にキルシュバウムに負けず劣らず立派な桜の木が見えて来た。 張り出した大枝は自身の重さで地面に触れるほど。枝に咲く白い桜の花は生気に満ち溢れて、陽の光よりも眩く、自ら燐光を発しているようにも見える。 遠目には、昼寝から覚めたばかりの飛竜が、気持ちよく翼を伸ばしている姿にも似ていた。 このように雄大な木であるからには、さぞかし名のある樹人に違いない。 有益な話が聞けるかもしれないし、それに挨拶をしていくのが礼儀だろう。 あなたが近づいていくと、突然、行く手を遮るように数人の〈草花人〉が飛び出してきた。 胴体はひょろりとした茎で、手足には葉が茂り、頭には薔薇の花が咲いている。 草花人は森の外の存在に興味を示さず、害も与えない。アランツァの人間にとっては無害な、例えるなら、風景の一部という感覚の生き物だ。 しかし、この薔薇頭の草花人たちは何故かあなたに敵意をむき出しにする。 言葉の無い彼らから説明を引き出すのは至難の業。 まずは大人しくさせるために、遺憾ながら武力に頼ることとしよう! ◇ 〈薔薇頭の草花人〉 出現数:1d3+1  レベル:4  宝物:なし ≪反応表≫ 常に【敵対的】 ・このクリーチャーは【植物】【少数種族】【人間型】のタグを持つ。 ・攻撃の特性は【打撃】である。 ・【炎】の特性を持つ攻撃をした場合は【攻撃ロール】に+1の修正を得る。 ・腕を振り回して攻撃してくるが、腕には薔薇の茎がもつような鋭い刺が生えている。深く刺さると痛みは激烈で、冒険者の集中力が奪われるほどだ。そのため【防御ロール】をファンブルした場合、そのキャラクターは次の【攻撃ロール】の際に-1のペナルティを受ける。 ◇ 草花人たちが地面にへたばりこんで悔しそうに——何故かそういう感情が伝わってくるのだ——しているところへ、 「これこれ、それ以上はやりすぎじゃ。双方、やめ!」 声のする方向に目を遣ると、いつの間にか桜の巨大な枝の上に、白いひげを長く伸ばした老爺が腰かけていた。 「キルシュバウムに呼ばれて来た者か」 そうだ、とあなたが返答すると老爺はひげをしごきながら、極めて嫌そうな口調で言う。 「まあ、我が兵士どもをいなせるのであれば、一応の実力はあると思いたいところじゃ。森の肥やしにするのは流石に忍びないでのう」 嫌そうだが、敵意は無いようだ。 老爺は名を「ドラッヘ」と名乗り、本来ならばもっと格好の良い名前なのだがお前たちの口では発音しにくいのじゃ、と残念がった。 彼は桜の王キルシュバウムに仕える臣であり、かつてはそれこそ〈悪の種族〉との戦いで智謀を巡らせ名を馳せたものだが、今は老齢を理由に引退した身であると言う。 あなたが魔犬獣の襲撃について問うと、 「残念ながら、多くはわからん。何故かと言えば、我ら植物は地下で相繋がって連絡網を形成しておるが、襲撃が始まった直後から、その繋がりがぶつりぶつりと切れ始めたからじゃ。お主らの感覚では、街道がでたらめに破壊されたとでも思えばよろしかろう。物も人も情報も、何もかもが遅々として届かん状況を想像してみい。しかも街道を破壊した原因が何であるかは掴めんときた。不安さがわかるであろう? 今では儂とキルシュバウムを繋ぐ線まで切れよった。それまでは儂の考えていることは瞬時にキルシュバウムに伝わった。森の縁にいる親類がオークの手によって焼かれる声も、根を伝わってすぐに聞こえたわい。だがもはや、有力な樹人どもの声はひとつも聞こえぬ。キルシュバウムがわざわざ直臣を動かしてお主を呼びつけたのも、同様の状況にある故と見える。儂は薔薇どもや獣どもが運んでくる便りを待つより他に、森の現勢を知る方法がない有様じゃ。三日前の惨事がようやく分かって、何になろうか……」 ドラッヘは悔しさのあまり顔を歪め、自分の枝を拳で叩いた。 「この遮断は森に極めて詳しい者の仕業で間違いないわい。だが、切った方法も見つからなければ、切れ方の法則も見つけられん。襲撃者は樹人を孤立させることで、攻略を速める心積もりじゃろうな。キルシュバウムは樹(ひと)は良いが、少々良すぎるところがある。敵方に知恵者が控えている今、何か騙されでもしておらんかと、儂は不安でならん」 そうして雄弁に語ったドラッヘは、あなたにある名を告げる。 森一番の噂好きであり、早耳で名を馳せているそうだ。 襲撃に関する情報が集まるのはそこだろうと、ドラッヘは推測している。 あなたは貴重な助言に感謝し、先へ進むことにする。