ローグライクハーフ サプリメント:町オプション「モフージャの町」 作:ロア=スペイダー 監修:紫隠ねこ、杉本=ヨハネ  「町オプション」は、その町を冒険する前後に利用することができる。 ---------------------------------------------------------------------------------   モフージャの町について ---------------------------------------------------------------------------------  ラドリド大陸の南西部、ポートス地方。その中心部に位置する「闇の森」を避けるように、人々は集落を築いてきた。モフージャの町もそのひとつ。龍脈とその影響で生まれるこの土地特有の〈もふもふ獣〉と呼ばれるクリーチャーが大きな特徴(彼らの長が〈もふもふ龍〉と呼ばれる強大なクリーチャー)。その柔らかく、もふもふな毛による強固な防御力により、他の地域からクリーチャーが流れ込みにくい土地。普通なら、〈もふもふ獣〉らの生息域に人間が住むことは難しいが、近くの遺跡より見つかった竪琴と楽譜によって〈もふもふ獣〉が暴れることを防ぎ、開拓できる土地を手に入れた。  遺跡を探索し、竪琴を見つけた冒険者『モフージャ・シェダール』がその功績により初代領主となり代々彼の子孫がこの町を納めている。  モフージャの町は城塞都市だが、都市の規模に反して、城壁などの防御施設はそれほど堅牢なものではない。都市を守る兵士たちは、十分な訓練を受けているにも関わらずだ。なぜなら、強大なクリーチャーは〈もふもふ獣〉達が退け、たとえ他国の侵略によって都市が奪われたとしても、〈もふもふ獣〉を鎮める儀式の詳細は領主一族しか詳しく知らないため、結局は暴れる〈もふもふ獣〉を鎮めることができず都市を手放さざるを得ないからだ。この結果、モフージャの町は、他の都市と比べ防衛に労力を割り振る割合が少なく、交易に力を注ぎ発展してきた。  主要特産品は龍脈の力を受けて育った木材や野菜などだが、一番は〈もふもふ獣〉の毛を使った加工品。近隣の森には〈もふもふ獣〉の抜け毛が落ちている場合があり、それを採取し糸や布に加工している。また、町の誕生の由来から音楽に対して理解が深く、楽器の生産や楽曲や演奏の場など吟遊詩人や音楽の道を志す者達が多く集う町となる。  年に一度〈もふもふ龍〉を鎮めるための儀式があるが、それと同時に町が一番盛り上がる年に一度のお祭りでもある。 ---------------------------------------------------------------------------------   希少な装備品に関するルール --------------------------------------------------------------------------------- 主人公は町で「希少な装備品」を探すことができる。 「希少な装備品」を探す場合、主人公は【幸運ロール】を行う(目標値:6)。 これを行えるのは、冒険がはじまる前に1回、そのシナリオを完全にクリアしたさいに1回(通常のd66シナリオであれば、合計4回)。 成功した場合、「希少な装備品」に該当する装備品からひとつを選び、購入することができる。 【幸運点】の副能力値をもつ主人公が冒険開始前の【幸運ロール】を行う場合、【幸運点】を消費して「希少な装備品」を狙うことができる。 その場合、【幸運点】が最大値よりも減った状態で冒険がはじまる点に注意すること。 ただし、【従者点】以外の能力値は、冒険終了時およびシナリオ開始時に最大値までに回復するため、シナリオを完全にクリアした後で行う【幸運ロール】で消費する【幸運点】は、次のシナリオ開始時には完全に回復する。 ---------------------------------------------------------------------------------   装備品 ---------------------------------------------------------------------------------   装備品:武器(希少な装備品) ・〈聖弦の弓〉 金貨120枚   装備品:楽器 ・〈ゴロッドンの楽器〉 金貨30枚   装備品:防具 ・〈もふもふの鎧〉 金貨25枚   装備品:道具(一般) ・〈もふもふロープ〉 金貨12枚   装備品:道具(消耗品) ・〈ポケットの中の吟遊詩人〉 金貨40枚 ・〈楽譜用紙〉 金貨10枚   従者(戦う従者) ・〈吟遊詩人〉(技量点0、生命点1、幸運点1) 金貨5枚   従者(戦わない従者) ・〈もふもふ羊〉(技量点0、生命点1) 金貨5枚 ・〈もふもふ犬〉(技量点0、生命点1) 金貨7枚 ・〈輝き楽器ゴーレム〉 (技量点0、生命点1) 金貨5枚   特殊技能 ・【奏甲術】 経験点1、金貨50枚 ・【奏楽:もふもふの集い】 経験点1、金貨50枚 ---------------------------------------------------------------------------------   ■ モフージャの町のオプション:詳細 --------------------------------------------------------------------------------- ◆〈聖弦の弓〉  聖別された〈もふもふ獣〉の毛を弦にした弓。弦は多弦であり、はじくといい音がする。  これは「飛び道具」として扱われ、第0ラウンドでのみ使用可能である。  『聖弦の弓』は「魔法の武器」で、扱うには両手を必要とする。【幸運点】を副能力値に持つキャラクターだけが、この武器の効果を得ることができる。  物理的な攻撃を行うのではなく、魔法の効果をもたらすため、【攻撃ロール】ではなく【幸運ロール】で判定を行う(この判定は【技量点】を基準にすることができず、必ず【幸運点】を消費する)。攻撃特性は【光】である。  この判定は【攻撃ロール】ではないため、対象の生命点に通常のダメージを与えない。また、クリティカル時の連続攻撃は存在しない。   敵が対象の場合(目標値はクリーチャーのレベルに等しい) ・次のラウンドに限り、この敵に対する【防御ロール】および【対魔法ロール】に+1の修正を与える。 ・敵が【アンデッド】【悪魔】である場合、さらに、その生命点に1点のダメージを与える。   仲間が対象の場合(目標値:5) ・装備者以外のキャラクター1体を選ぶ。対象に選んだキャラクターは、この戦闘の間、【石化】【麻痺】【毒】【病気】の状態異常効果を受けることがない。 ------------------------------------------------------------ ◆〈ゴロッドンの楽器〉(※【吟遊詩人】専用)  武器職人ゴロッドンが作成した楽器は、『リュート』、『フィドル』、『シャルマイ』、『ハーディガーディ』がある。  これは「両手武器」として扱うことができるので、接近戦での【攻撃ロール】に+1の修正を与えるが、楽器として用いたときのボーナスはない。  それぞれの攻撃特性は、『リュート』と『フィドル』は【斬撃】、『シャルマイ』と『ハーディガーディ』は【打撃】である。 {斜体} 「アランツァの荒野を旅するなら、吟遊詩人にも戦う能力が求められる」  初老を迎えたドワーフの鍛冶師は、まさに筋肉の塊といった風貌の持ち主だった。伝説の武器職人ゴロッドンだ。 「だから俺は、モフージャの楽器職人と協力してこれらの楽器を作り上げた」  刃のついたリュートではなく、リュートとして使える剣。武器として使える楽器ではなく、楽器として使える武器というコンセプト。武骨な発想だが、そのデザインはスタイリッシュだ。 「若者に人気だというから、分からんものだな」  ゴロッドンはそう言って、にやりと笑った。 {/斜体} ------------------------------------------------------------ ◆〈もふもふの鎧〉  もふもふ獣の毛から糸を生成し、それを編み上げた布から作られた布鎧。着心地がとても良い。着用者の生命点の最大値に+1点の修正を与える。さらに、静かで身軽なため【器用ロール】に+1の修正を与える。これは「非金属鎧」である。  『もふもふ鎧』は、【氷】の特性を持つ攻撃に対する【判定ロール】に+1の修正を得る。 ------------------------------------------------------------ ◆〈もふもふロープ〉  もふもふ獣の毛から作ったロープ。普通のロープより細く頑丈。この装備品は1本でロープ2本分の役割を果たす(最大2体まで【捕虜】を確保できる)。 ------------------------------------------------------------ ◆〈ポケットの中の吟遊詩人〉  この小箱は、蓋を開けて【吟遊詩人】が「奏楽」することで、その曲を記録する。記録は冒険開始前に行わなければならず、【吟遊詩人】のキャラクターは「奏楽」に属する技能を行使する必要がある(【幸運点】を1点減らした状態で、冒険を始める)。『ポケットの中の吟遊詩人』1個につき、「奏楽」をひとつだけ記録することができる。  小箱の蓋を開くと、副能力値を減らすことなく、記録した「奏楽」を奏でることができるが、小箱の記録は失われてしまう(装備品欄から失われる)。【幸運ロール】が必要になる「奏楽」の場合、判定の基準となる【幸運点】は、記録を行った時点のものではなく、現在の値を用いる。このとき、楽器による【幸運ロール】のボーナスを得ることはできない。    『ポケットの中の吟遊詩人』は、使用する際に行動を消費しない。 ------------------------------------------------------------ ◆〈楽譜用紙〉  楽曲の音階を書くための専用の羊皮紙。【吟遊詩人】を職業として選んでいるキャラクターは、この用紙に特定の「奏楽」を書き込むことができる。  対象となる「奏楽」は、行使したさいに【幸運ロール】を必要とするものに限定される。1枚につき、書き込める「奏楽」はひとつだけである。  選んだ「奏楽」を行使するさい、それに対応した『楽譜用紙』を1枚消費することで、【幸運ロール】に+1の修正が得られる(このボーナスを重複させることはできない)。 ------------------------------------------------------------ ◆〈吟遊詩人(Bard)〉 (技量点0、生命点1、幸運点1 戦う従者)  これは【善の種族】に属するクリーチャーである。このクリーチャーは【斬撃】または【打撃】の攻撃特性を持つ(雇用時に選択)。  〈吟遊詩人〉を従者としている場合、「奏楽」を行使することができる。行使できる「奏楽」は1種類だけで、初期技能として習得できる「奏楽」の中から選ぶこと。  〈吟遊詩人〉の従者はそれぞれ1点の【幸運点】を持つため、【幸運点】の最大値は〈吟遊詩人〉の人数と同数になる。たとえば、〈吟遊詩人〉が5人いるときには、【幸運点】の最大値は5点として扱われる。  〈吟遊詩人〉の人数が減ると、【幸運点】の最大値も減少する。そのため、〈吟遊詩人〉の人数が【幸運点】の現在値を下まわった場合、現在値は人数と同じ値になる。たとえば、〈吟遊詩人〉が5人いて、【幸運点】の現在値が4だったとする。このときに〈吟遊詩人〉が2人死亡すると、【幸運点】の最大値と現在値は3点になる。 ------------------------------------------------------------ ◆〈もふもふ羊〉(技量点0点、生命点1点 戦わない従者)  これは【動物】に属するクリーチャーである。  このクリーチャーは【打撃】の攻撃特性を持つ。  このクリーチャーは、【斬撃】または【打撃】に対する【防御ロール】に+2の修正を得る。  従者の〈もふもふ羊〉は、主人公の代わりに装備品を3つまで持たせることができる。  中間イベントを終えた直後、1d6を振って6が出れば、もふもふの毛が探索の疲れを癒してくれるので、主人公1人の副能力値を1点回復できる(複数の〈もふもふ羊〉が同行していても、この判定を行えるのは、各冒険につき1回だけである)。  同行させるには、従者点が1点必要になる。  〈もふもふ羊〉が【防御ロール】に成功した場合、まだ生きていても、身の危険を感じて【逃走】してしまう(パーティから離脱する)。それまで持っていた装備品は、その場に落としていくため、他のキャラクターが持たなくてはならない。  離脱した場合は、今回の冒険が終了したときに【幸運ロール】を行うこと(目標値:5)。判定に成功すれば、離脱した〈もふもふ羊〉は、次以降の冒険で復帰することができる。 ------------------------------------------------------------ ◆〈もふもふ犬〉(技量点0点、生命点1点 戦わない従者)  これは【動物】に属するクリーチャーである。  このクリーチャーは【打撃】の攻撃特性を持つ。  このクリーチャーは、【斬撃】または【打撃】に対する【防御ロール】に+2の修正を得る。  従者の〈もふもふ犬〉は、〈斥候〉と同様に【察知】の技能を行使することができる。  中間イベントを終えた直後、1d6を振って6が出れば、もふもふの毛が探索の疲れを癒してくれるので、主人公1人の副能力値を1点回復できる(複数の〈もふもふ犬〉が同行していても、この判定を行えるのは、各冒険につき1回だけである)。  同行させるには、従者点が1点必要になる。  〈もふもふ犬〉が【防御ロール】に成功した場合、まだ生きていても、身の危険を感じて【逃走】してしまう(パーティから離脱する)。  離脱した場合は、今回の冒険が終了したときに【幸運ロール】を行うこと(目標値:5)。判定に成功すれば、離脱した〈もふもふ犬〉は、次以降の冒険で復帰することができる。 ------------------------------------------------------------ ◆〈輝き楽器ゴーレム〉(技量点0点、生命点1点 戦わない従者)  これは【ゴーレム】に属するクリーチャである。  このクリーチャーは【打撃】の攻撃特性を持つ。  従者の〈輝き楽器ゴーレム〉は、パーティに同行している間、主人公がランタンを持っているのと同様の効果を得ることができるが、ランタンの灯りが金属製の体に反射するので目立ちやすい。「戦わない従者」だが、敵の遠距離攻撃を受けたさい、少なくとも1回の攻撃は〈輝き楽器ゴーレム〉に割り当てなければならない。  同行させるには、従者点が1点必要になる。  『ゴロッドンの楽器』を取り付けることによって、〈輝き楽器ゴーレム〉の能力が強化されるが、一度取り付けた楽器は外すことができない(同種の楽器は不可)。2種類以上の『ゴロッドンの楽器』を取り付けた〈輝き楽器ゴーレム〉は、〈強いクリーチャー〉として扱われる。  1種類の『ゴロッドンの楽器』を取り付けると「戦う従者(技量点1、生命点1)」に性能が変化する。  2種類の『ゴロッドンの楽器』を取り付けると「戦う従者(技量点1、生命点2)」に性能が変化する。同行させるには、従者点が2点必要になる。  3種類の『ゴロッドンの楽器』を取り付けると「戦う従者(技量点1、生命点3、筋力点3)」になり、【全力防御】の技能を習得する。同行させるには、従者点が4点必要になる。  4種類の『ゴロッドンの楽器』を取り付けると「戦う従者(技量点1、生命点4、筋力点4)」になり、【全力攻撃】【全力防御】の技能を習得する。同行させるには、従者点が6点必要になる。 {斜体} 「『ひとりオーケストラ』というコンセプトだったと、学者たちには言われている」  モンスターに詳しいカメル・グラント教授は、実物を生徒に見せながらそう話す。 「複数の楽器を同時に鳴らすことによって、1体のゴーレムでオーケストラ演奏を実現させる予定だった。楽器を挿すほどにゴーレムは強くなったが……演奏のほうはめちゃくちゃだった」  演奏を盛り上げるピカピカした光を放つゴーレムの姿は、どこか滑稽で、少し物哀しくも見えた。〈輝き楽器ゴーレム〉は、演奏のできない「戦うゴーレム」なのだ。 {/斜体} ------------------------------------------------------------ ◆【奏甲術】 (※職業が【吟遊詩人】の主人公のみ習得可能)  この技能は「楽器」を手に持っている状態でのみ、行使が可能である。  この技能の習得者が【防御ロール】に失敗した場合、それがファンブルでなければ【防御ロール】に再挑戦することができる。  【奏甲術】は、1ラウンドにつき1回だけ行使することができる。  この技能を使うと【幸運点】を1点消費する。 {斜体}  胸もとをえぐる虎の爪。吟遊詩人は懐中に抱いたバグパイプの{圏点:小さい黒丸}へり{/圏点}を使って、それを受け流す。間一髪だった。  この町の吟遊詩人たちの間では、楽器に損傷を負わせることなく、敵の攻撃を受け流すための防御テクニックが発展した。大切な楽器と自分自身を守るための、かけがえのない技術だった。 {/斜体} ------------------------------------------------------------ ◆【奏楽:もふもふの集い】 (※職業が【吟遊詩人】の主人公のみ習得可能)  これは「奏楽」に属する行動である。  この技能は【善の種族】【少数種族】【動物】いずれかのタグを持つ〈弱いクリーチャー〉かつ、反応表に【友好的】または【歓待】がある場合にのみ有効である。この技能を行使することで、反応表の結果を【友好的】にすることができる(反応表に【歓待】も含まれているなら、そちらを選ぶこともできる)。  この技能を使うと【幸運点】を1点消費する。 {斜体}  自分たちの間に座った吟遊詩人を、落ち着かない心持ちで犬たちは見ていた。さり気ない態度のなかに、緊張感が見え隠れしている。  吟遊詩人が楽器を持ち、牧歌的な調子の曲を奏でる。うろうろと歩いていた犬が座り、目をつぶる者まであらわれる。  穏やかな空気が満ちはじめている。 {/斜体}