「私はあなたという人間が好きだけど、世の中の人がみんなあなたみたいだったら、世界はひどいことになっちゃうんじゃないかしら?」  村上春樹 ファミリー・アフェアより。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ 『The Outfoxies外伝 withカードチェイサー☆かぼすちゃん      カードブッチャーましろさん』 著 葉山海月 監修 緒方直人  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ・ご挨拶にかえて。  この作品を読んでいただき、ありがとうございます。  早速ですが、このゲームには一組のトランプが必要です。  また、恥ずかしながらコンセプトは「推理小説」です。  何か手がかりになりそうなパラグラフ、単語が出てきたらすぐにメモすることをお勧めします。  例えば「#56 合言葉は『バラのつぼみ』みたいな走り書きで結構です。  それでは、どうぞごゆっくり。 ・登場人物紹介  飛葉ましろ 「夢の島」という町で「便利屋」をやっている武装メイド。 石野卓球  ましろの相棒 ディーティー卿 「夢の島」にいる名探偵 夏乃瀬かぼす  魔法少女 ワニまる  かぼすちゃんのパートナー。  魔法の2級カードインストラクター。 中村壮一  今回の事件の被害者。 中村祥子  中村の妻 遠藤バッド  性別不明の謎の美形。 #1  モノの話によると、かの文豪ヘミングウェイは、「自分の筆力を以てすれば、小説一冊分の感動をたった六語に詰め込んだものを書ける」と豪語したし、実際に「した」  おそらくヘミングウェイだったら、一言ですませられるこの物語だが、あいにく俺はヘミングウェイじゃなかった。  それは「ましろちゃん、代打ちやらへん?」と、ものすごく俗なセリフで始まった。  俺の名はましろ。  引きこもりというか、それに呼ばれたような人生終わっちゃった人たちで構成されている「夢の島」ってところで、「武装メイド」をやってる。  体裁は「無垢な引きこもりを残虐バスターな現実から守るため」っつー話だが、要するに、ていのいい便利屋だ。  で、先ほどのセリフは、路地裏のザ・ラーメン屋「馬場凡」で、飲み友になったまっつんのお誘い。 「いやね。高木の誠司ちゃんが死んだんや」 「高木の誠司ちゃん?」  確かどこかで聞いたことがある。  それ以外は砂糖壺に間違えて塩どころかヤク決めるような豪快なのか無神経なのかわからない性格だったが、裏の雀士としての腕は、確か一流だった。いや、一流だったのは、「運」だけかもしれない。  悪く言えば幼稚、良く言えば破天荒な打ち方をする。  相手は、その裏にあるものを見極めようとしているうちにトられる。  そこがやつのカリスマ性を高めているらしかったが、俺に言わしゃ、ケツからはみだして、なおあふるる運しかないようなやつに見えた。 「はー、殺しても殺しても死なない性格なやつが、なんで?」 「それがな、運が悪かったとしか言い様がない。  勝ったら、マジで人生がネジ曲がる大金、負けたら硫酸を静脈注射する、というようなゲーム。奴は、持ち前の運で順調に上がったんだがな。ところがオーラスで、まるでツキの女神に見放されたように、チョンボをした。それからは、まるで転がり落ちるように、ケツの毛まで抜かれた」 「はーん。いや、それはご愁傷様というしかないぜ。もともと麻雀なんて、運が絡むもんだろ。やつもその辺は覚悟してやってんだろ。  ところで、なんで俺が代打ちなんだ?」 「ほら、トヴァやん。前ポーカー勝負やったことあったやん?  そこで、あんた、まるで相手の心、読むようにバカ勝ちしたことあるやん?」 「ああ、あれね。」  タネは単純だった。「ウサギ」の改造人間の最大のアイデンティティ、うさ耳を持って、ブラフをかけた時の、心音、呼吸音を聞き取って、最善の手を尽くしただけだ。 「あの腕があるんなら、ひょっとしたら麻雀の心得もあるかな? と思うて。いま、やつのポカを埋めるために必死で腕の立つ奴、探しとる」 「やめておこう」→80 「おもろい、やるぜ」→14 #2  机の上には、パソコンに、あら、アナログなことに、ノートがある。  灰皿には火葬にされた煙草がいっぱい。  あとは、レンタルDVDかな。  『刑事コロンボ』『攻撃命令』か。  返却期限は、そろそろ近いかな?  パソコンを調べる→107  引き出しを調べる→41  机の下も調べる→32  DVDについて、奥さんに聞いてみる?→19 #3 「こんな時、頼れるやつって……」 「ケーサツしか、思いつかないワニね」 「いきなりケーサツに頼る探偵って、初めて見るなー」  ないよりかましか、と思い、ケーサツの前まで行ってみる。  と、 「おっ! かぼすハケーン!  今日こそはお話たっぷり聞かせてもらおっかなー」  出てきたのは学生警部、栃木いずみちゃん!  あたしたちは全力で逃げる。  しかし、ましろさんが捕まってしまった!  依頼主がいなくなってしまったので、もうこのお話は続けられない!  ごめんね  END #4  その中の人気のないビルの路地に身を隠し、 「ふうふう。ここまで来れば一応まけたかなワニ!」 「あんたあたしのポッケに入っていただけなのに息がキレるんかーい!」 「やだぁ、関西弁似合わないワニ!」 (イベント終了 この先はHPなど関係なく進めてください)  こんな時でもコントしようとするその芸人魂に、あたしが注意してやろうと拳を固めた時、スマホが! 「ありがたい! えー! お姉さまと呼ばせてくださいワニ! ハッピーエンドの素、手に入ったでしょうかワニ?」 「それが……」  困惑気味にワニ美が言った。 「ハッピーエンドを、そのまんま作り出す魔法なんてございませんの」 「じゃ、やつに対抗できる強力なアンチバッドエンド対策は……」 「それが……よく聞いてくださいまし。  この世には、そもそもハッピーエンドなぞございません。  ハッピーエンドとは、そもそも、なんでしょうか?  幸運に囲まれること、ではありません。慎重に悪い運を……。そう、バッドエンドにたどり着く不幸への分岐を慎重に完全に取り除いた果てにあるモノでしかございません。  そう『不幸がない』ことこそが幸福。もともと「ない」ものは、どこにも存在いたしません。この世には『不幸の種』があるばかりです」 「ということは……」 「そう、奴のバッドエンドに対抗する手がないんです!」  その時、ましろさんが、決意に満ちた表情で、手にした銃をこっちに渡した。 「あの……これは?」  魂まで冷たくなるような重い鋼鉄の塊。 「キラーチューンパイソン77。口径は防弾チョッキだろうが防弾盾だろうがぶち抜く77マグナム。  バレルとサイトに少々いたずらしていて、ガキでも当たるシロモン。  いいか、ことがこうなれば、俺はオタクを守ってる余裕がない。  やつが目の前に飛び出せば、とにかくからだの真ん中向けて引き金引け。  リボルバーだから、セーフティなぞという煩わしいことにかかわらずに弾が出る。  自分の身は、自分で守んな」 「でも、それはましろのっ!」  ワニまるの心配に向けて、ましろはニヤリとわらい、手のひらに収まりそうな小型の拳銃を抜いて、にやりと笑う。 「ベレッタM1934。俺の相棒のお守り、さ」  俺には、これがあるから大丈夫!   あたしは……  受け取る→93  やめとく→83 #5  逃げる時に肩があたってチンピラの兄ちゃんに絡まれた!    殴る?→103  全力で逃げるなら→77 #6  (ヒントはロシアンルーレットのリボルバー。リボルバーの装填数は6発)  次の日、時間を見計らって中村の奥さんの家へ。  そのドアの前で彼女を待つ。  果たして、彼女は、スーパーのお買い物袋と共に帰ってきた。  俺のことを、不審げに見ている彼女。  その瞳を見つめ、話す。 「ちょっと話があるんだ。いいかな?」  彼女は戸惑ったように指を顎に宛てた。 「あんたの夫の死についての、俺なりの答えさ」  彼女は、決意したらしく、俺を部屋の中に入れる。 「紅茶が切れてますんで、コーヒー……」 「いや、俺はいい」  こんな時まで接客を忘れないというのは、彼女の余裕だろうか? 「で、今回の用件は……」 「あー。あんた不躾な質問されるの、好き?」  彼女は、首をひねりながら言った。 「大抵の世の中の方は、そんなものは好きじゃないと思いますが」  天然なんだろうか? イマイチキャラがつかめない彼女に、とにかくはじめることにした。 「あー。ほんじゃ、俺がこの事件について考えたことを言うぜ。  寝言のような感想文だから、聞き流してくれたんでいい。そんじゃ……」  まず、あんたの旦那の死。  あれは、事故なんだろうな。  ただ、どちらかといえば、殺人に近い事故だと思っている。  というのは、ちょっと昨日映画を見た。  その主人公、「自分に生きる資格があるか?」って疑ってて、それを確かめるために、神様に聞いてみるのよ。  つまり、ロシアンルーレットさ。  生き残ったら「まだ生きていていい」ダメだったら、はいそれまでよ。  で、やつも「ロシアンルーレットをした」。  それは、屋上の欄干の上、それに乗って、ぐるり一周できたら、神様から許しがもらえる。ダメだったらはいサラバ!  生活能力ないくせに、暴力だけはいっちょ前に振るう自分自身、ふと我に返る。「これでいいんだろうか?」って時がやつにもあったんだろうよ。  それで、あえて生死をかけたこんなゲームの中毒になったんだが、生死のかけどころが違うだろ。ってな話。  彼女は、ぽかんとこっちを見ていた。そして、唐突に笑い始めた。 「そのとおりです! 彼は『生還』してくれた時には、生まれ変わったように優しくしてくれて、それが初めてあった時のように、もう楽しくて楽しくて!  だけどね。問題は暴力の苛烈さと振るわれる時間の方が、その楽しみより辛くなったのね。そう、もう疲れたのよ」  そこまで言うと「お酒いいかしら?」と聞いた。  俺がいいと言うと、ワイン一瓶一気飲みかよこの女! 「そう、私は彼にいなくなって欲しかった。だけど、自分の手で直接ヤルと、いろいろ後がうるさいでしょ?」  ふらふらと、ベランダの方へ行く彼女。 「そんな時、あの子にあったのよ。あの子なら、偶然を操って、事故死にできる……。アナタ、あの人を故意に殺したって証拠はおあり?」 「おなしに決まってら」  俺が答えているうちに、彼女は空き缶が転がるベランダへ出た。 「あとは、あの子に聞けばいい……ひゃあ!」  当たり前だが、彼女は空き缶に足を取られて転んだ!  そのまんまの勢いで柵に激突すると、柵はあっという間に壊れ、彼女は七階から真っ逆さま! 「ついてないね。あそこ、老朽化でポロポロになってたんだよね」  後ろを振り向く。  この世の闇を全て集めたような黒いゴスロリ衣装の中、顔だけが白く浮かんでいる。  男か女かもわからねぇ。ただあどけなく、この世の果てを見るような、漆黒の底なし瞳が、こっちを見ている。 「だれだ!? てめぇ!? いつの間に背後に回ったんだ!」 「答える必要、あるのかなぁ? どうせおねえちゃんも、バッドエンドの網に絡め取られているくせに!」  俺は、パイソンを抜いた!  そのとたん、人知を超えた何かが、俺の体に走った!  彼女は、にっこり笑って手を開いた。  いつまのにか、マグナム弾六発が手から転げ落ちた。  俺は慌てて銃のシリンダーを開ける。 「なんだハッタリじゃねぇか!」  ちゃんと全弾フルロードされている!  しかし、視線を戻した時には、もうやつの影も形もなかった。  →45 #7  とぼとぼと帰路につく。  疲れた。何より家の貧相な寝袋が愛しい!   と、家の鍵がなくなっていることに気づく。  どこかへ行くか?→44  ピッキングでドアを開けるか?→38 #8  ワニまるは叫ぶ。 「ちょっと待つワニ! 今ここで我々とオサラバしたら、あんたの大切な人も、あんたの大切な命も失うハメになっちまうワニ」  ハッタリだ!  あんだと? とばかり片眉をつりあげるましろさん。 「実際問題、うちのような怪しげなところの門を叩いた、ってことは、もうそれだけ他に頼るとこがない、いわばXYZ。あとがない状況だろワニ?  溺れる者はわらをもつかむ、って言うが、その藁が、こよりなのかNASA特注のワイヤーなのかは、これから試してみやがれっつーのワニ」  へぇ、ましろさんはにやりと笑う。  →66 #9  おっと、足跡発見!  なんだこれ。5つ続いて、フェンスの柱で止まっている。  もっとよく見てみようか?→23  他の場所をさがす。  あっち→30  ここ→39   #10  都市伝説のサイトを見る。  パラパラ見ていくと、  ・「深夜bのテレビノイズ、一人で見るのは注意! テレビに吸い込まれちゃうぞ!」  ・「やばいことは魔法で解決! W&K魔法事務所爆誕 ****mai*86@goodmail****」  ・「クラゲの中には不死がある」  なんだかなー。  すると、また電話だ。  出る→16  ガン無視→72 #11 「彼とあなたの仲は……」 「悪いです。最初は、夢を追いかける情熱がある人だ、と思っていましたが、それもだらだら付き合ってみると、ただのものぐさだったんです。先回りして言っておきます。殺そうと思った事もあります」 「そんじゃ、その時に別れれば良かったのに」  彼女は、心底ピックリしたように言った。 「そんな手があったんですね!?」  俺たちは、かえってその言葉にびっくりした。 「彼を失ってわかったんですけど、私、彼の城に閉じ込められていたと思うんです。考えてみると、私、小学生の頃からこれだ! っていう芯棒みたいなものがなくって、いつも他人に流されて生きてきました。  特に、彼のように、職場まで押しかけてきて殺すぞ! とかいう強烈な方の、そう、重力、に捉えられてしまって? ああ、この人、私がいなけりゃダメなんだって。だけど暴力振るわれたあとは、彼も優しくなって……」  俺は、ディーティーと顔を見合わせる。 「ダメだこいつ。世間知らずというか、ダメ女というか……」 「だな。君とは真逆の方で『ダメ』みたいだ。」  →74 #12  慌てて、確認するあたし。  その時に、銃口を頭に向けてしまった。  当然のように、銃は暴発した  END #13  先の見えない曲がり角……。  なんか悪い予感が!  進むのなら→51  戻るのなら→77 #14  さて、読者さん、あんたは……  麻雀を知っているだろうか?  Yes→98 No→68 #15  軍用犬がいる。  もし、合言葉を知っていたら、それを使ってもいい。  それは 「薔薇のつぼみ」→90 「真珠の色」→48 「すみれの花」→18  持っていたら、弁当を使ってもいい→75  同様に、ムチを使って追っ払ってもいい→20  知らなかったら、噛み付かれてEND。 #16  天の助けか? と思って電話に出たら、地獄の使者、探偵卿のディーティーだった。 「ましろくんかね? 速やかに今から私のところへ来て欲しい! 場所は……」 「おい! ちょっと待て、こういう時は『ちょっといいかな?』と聞くのが礼儀だろうが?」 「私と君の仲だ。細かいことはいいっこなし!」 「今、飯を待ってる最中なんだけど!?」 「ははは! 我が推理によると、君はもうすでに給料を使い果たしていると見た! さらに言うと、そばに連れがいて、そいつにたかろうとしている!」  それを聞いたように、卓球が。 「おごらないわよ」  と切って捨てた。  俺は  仕方ねぇ! 行くか→33  今は自腹でも、俺の腹の虫を収める時→72。 #17  「さぁ……。機嫌が悪いのはいつもの調子でしたし……。  ああ、そうだ。パチンコで出ない、競馬をスった。タンスの角に小指をぶつけた。黒猫が目の前を横切った、なんて、些細なことを気にしてました。  なんか、最近ダメだから、リセットしたい」なんてブツブツ。  人生なんて、リセットできませんのにねぇ。  彼女はやたら色っぽく、気の抜けた顔で笑う。  →74 #18  そう言ったとたん、襲いかかられた!  END #19 「ねぇ、奥さん? このレンタルDVDって、もう彼は見たかな?」 「さぁ、途中じゃないでしょうか? 彼は鑑賞中のDVDは、そこに置くんです」  ついでに……  彼女は机から一冊の手帳を取り出す。  そこには、几帳面に、いや鬼気迫る細かい字で、虫が密集するようにこれまで見た作品の感想が!  最後のページ! 「いつでも見られると思い、運命のいたずらでついぞ見られなかった『攻撃命令』を入手!  死んでもラストまで見るぞ!」  とのこと。  念の為にDVDプレイヤーを確認。  犬が檻に、閉じ込められている。  コロンボ警部は、何かキーワードでも探しているのだろうか?  その前でテープレコーダーを回している。  しかし、犬は何も反応しない。  警部は、突然かかってきた電話を取るべく、テープレコーダーをそのままに席を離れる。  突如、犬が反応した!  重要な手がかりに気づいた警部。そして、クライマックスの謎解きに流れ込む。 「おい、ましろ君。ここへはDVD鑑賞に来たんじゃないんだぜ」  おっと、こりゃ失礼!  →88 #20  ムチが風切る音。  それだけで奴らは雪崩を打ったように逃げ出した。  よし、ここは抜けたぞ!  →77   #21  ベッドの下には……。うーん。ダンボールの箱が。  中を調べてみると、これが見事にガチャガチャの……  しかも美少女フィギュアだらけじゃんか?  物言わぬ少女たちが、整然と並んでいるのは、壮観通り越して不気味だ。  もっと調べる→47    あるいは他のところを探してみようか?  本棚→26  机の下→32  奥さんに話を聞く→88 #22 (出てきたパラグラフは#78 #100-#78=22) 「彼女と初め、会った時。彼女は何してた?」 「えーと、宅配便の人ともめてた」 「そして、その中身。中村が死ぬほど欲しがっていたプレミアムフィギュアだろ?  しかも、10万もする商品の支払いを前に、自殺する奴なんかいるだろうか?」 「それはつまり……。彼女がダンナを?  まっさかー。考えすぎだろ」  俺は答える。 「そう。考えすぎかもしれない。しかしそれだけ大金をつぎ込めるということは、それだけ覚悟して買ったはず。命を賭けたお宝を前に、そんな簡単に死を選ぶだろうか?」 「そりゃ、つまり。その……」  気のせいだ!   と断言できないのは、夫へ向けての軽蔑と憎悪のまなざしからだろうか? それはつまり、しかし今は! 「わかった! つまり、脇見をするな!」  次の瞬間、信じられないものが目に飛び込んできた!  対向車が平行に並んで、乗っているのはどこの無法者!? どんどんパチパチやってるじゃねぇか?  このままではぶつかる! いや、間すり抜けても、弾丸のシャワーが!  轟音とともに迫り来る二つの地獄!  さて、あなたはディーティー卿の質問に全て抜かりなく答えただろうか?  Yes→46  No→31 #23  フェンスの柱には、何か登ったような跡が。  そして、信じられねぇ!   ポツンポツンと、その上を歩いてる跡だ!  フェンスそのものは、平均台みたいで、そりゃ、渡れないことはねぇだろうが……。  どうして? なんの為に?  俺だったらゴメンだ。  さて、そろそろ調べ終わったかな?  →71 #24  彼女は、疲れた表情で答える。 「つまり、あなたが観劇から帰ったとき、もうご主人は飛び降りていた、って話になりますね」 「はぁ、そうなんです。もうただびっくりして……」 「つまり、予期せぬ死だったわけだ」  神妙にうなずく彼女。  しかし、うつむいた顔。唇の端が笑うようにゆがんだと見えるのは、俺の気のせいか? 「しかし、平日にのんきに観劇かぃ? 結構なご身分で」  俺のぼそっとな、つぶやき。  しかし、彼女は明確に答える。 「いや、そうでもしないと、家事地獄。奴隷の生活にうるおいがありませんから」  再び、胃の中にしこりができるような気まずい感覚。  →74 #25 「あと、レンタルDVD。期日が近いのに、返してなかった。明日死ぬ覚悟があるのなら、ちゃんと返却してから自分に始末つけるんじゃないだろうか?」  ディーティー卿は、我が意を得たり、という感じで微笑む。   いいね。ましろ君。それをダメ押しするものは?  DVDプレイヤー→65  ペン立て→34 #26  本棚かぁ。  なんかさぁ、雑多なものが、タイトルであいうえお順に並んでいるけど、とりわけ気に入ったのは『ザ・レイプマン』があることかな?  →88 #27  拾ったコインロッカーのカギを当てると、あら不思議?  中には、これは何?と首をひねるものが! 「折り畳み式マンホールオープナーか。こんなんどこで使うんだよ」  それを取りながらましろさんが解説を加える。 「いつまでもここにとどまるわけにはいかんぜよワニ。とにかく移動するワニ!」  →77 #28  ついでに、灰皿。100パーは断言できないんだが、最後の一服としても、ここから涅槃に旅立つやつが、綺麗に片付けていかないのかな?」  →100 #29  翌日  パソコンを開いて開口一番、ワニまるが言った。 「あれー! 依頼人からメールが来ている」  タイトルは「解雇のお知らせ」  もう中身見なくてもわかるよね。  一応開けてみたら、 「あなたの注意不足、および行動力不足は、今回の事件解決への助力にふさわしくないと判断しました。チャンスの神様に引っ張る後ろ髪はありません。あしからずご了承ください」  ワニまるは口をとんがらかせてうーうー言ってる。 「見なさいよ。きっと誰かのイタズラだったに違いないよ」 「いや、依頼人にあってないから、そこらへんは断言できないワニ」 「だけど、今回見送って本当に良かったと思う。もし、これが本当に闇バイトのお誘いとかだったら……」 「その時はかぼすちゃんイケニエにして逃げるワニ!」 「なんなの!? それがパートナーに対する態度なの!?」 「トモダチだから言えるホンの軽いジョークですワニ」  あたしは逃げるワニまるに「んもう」と返すしかない。  そして、いつもと変わらない普通の日常が始まる。  だけど、これで良かったのかな?  END #30  タバコだ!  なんと中身が残ってる。  念の為に聞いてみる。 「これも、奴の煙草かい?」  彼女が頷く。  当たり前のようにポッケにナイナイする俺を、仰天の眼差しで見る彼女。 さて、そろそろ調べ終わったかな?  →71 #31  俺は容赦しなかった。  静脈注射でもするように、運転席に慎重に狙いを定め、撃った!  不発!?  哀れ俺たちは、銃弾のサンドイッチになり、激突して火葬!  END #32  机の下には、ムチ。ロウソク。人格改造マニュアル?  ムチを装備してもかまわない。  それ以外に。見るべきところはなさそう。  →88 #33  この借りはいつか返してやる!   まだ見ぬ君……ほっかほかのラーメン……に後ろ髪引かれつつ、店を出る。  煙草は食事の代わりにならない。  口の中が、すっかり水を貯めた灰皿状態になって、それを痛感する。  指定した場所には、ディーティー卿のトレードマーク、クラシックなアルファロメオ……ではなく、現在ありふれた車、ヤリスが止まっていた。  早速、乗り込む。 「あんれ? 車の方どうしたのよ?」 「今修理中。一箇所壊れると芋づる式に壊れちゃって」 「イタ車のクラシックカーなんて、自殺行為だぜ」  ラーメンの代わりに、ディーティー卿が差し出してくれたものは、サンドイッチとポット入りの紅茶だった。 「無理を申し上げてすまない。しかし、最近密室事件がめちゃくちゃ多い!」 「密室ぅ?」 「そう、自殺か事故か他殺かわからない事件が、今週に入って、もう七件になる」 「そりゃ大変だ。この街は全滅だ」  嬉しそうに俺は茶化す。 「いや、それが杞憂に終わればいいんだが……。  ともかく、今日の深夜以降、明け方前までに起こった事件だ。  今回の事件は、メゾン・ド・ヴィオラっていう七階建ての高級マンションで起きた。屋上からの飛び降りだ」 「ふん。もちろん手すりとかはぐるりを囲んでた、ってやつか?」 「そう。そうなんだ。状況からして、手すりを乗り越えて飛び降りたとしか思えない。  しかも、事件が起こった当日の夜は、施錠されていて、誰も上がれない」 「じゃ、コンマ一ミリも紛れもなく、事故か自殺じゃないか? ホトケさんの名前は?」 「中村壮一。これがとんでもない男で、『作家志望なんで、作品書くための時間が欲しい』というんで、自分は家事も働くことも一切せず、おふくろさんがわりに同棲していた彼女を、食事に家事に、こき使っていたらしい。  さらに言うと、『ネタを集めるため』とか言って、家に収めとくことができないくらい、書籍を買うわ、挙句の果てには、旅行なんかも彼女の金でバンバン行っていたらしい」 「典型的なヒモじゃんよ。」 「で、最近は一行も書かないのを、責任転嫁して嫁を殴ったり、掲示板に作家や文学賞の悪口書きまくったり、敵を増やす人間災害になってたらしい」 「それはそれは。さぞ恨みまくってたやつも多いだろう」 「だから、事故死として片付けようとしているんだけど、遺書が出てきたんだよ。ワープロ書きで」 「じゃあ、それで一件落着じゃん」 「ただな。引っかかるのが、その遺書。奴はパソコンや物書きの時、自称を『チャーリー小生』と名乗っていたらしい。やつが荒らした掲示板を確認した。ただ、このワープロの遺書には『私』とある」 「つまり、遺書は偽造ってことかよ」 「かもしれないし、そうでないかもしれない。  なにせ、彼女と警察が連絡が取れたのは、今さっきの話らしい。  だから当事者に直接会って聞こうと思う」  →78 #34 「そんなものは出てきてないよ! ましろ君!」  今までさんざん無茶したツケが回ったのだろうか?  俺は突然的若年ボケにかかってしまい、そのまま入院!  END #35 「んー。まず、屋上の手すり。足跡があった。 「そうだな。まるで、誰かが手すりを平均台にして、歩いたようなあと」 「いいね、さらに言うと?」  レンタルDVDの期限→25  本棚の本→102 #36  コインロッカーが一面に並んで、壁を作り、さながら迷宮になっているようなところへ出る。  コインロッカーのカギを持っていたら27へ。  持っていなかったら、ここにずっととどまるのはヤヴァイ!  77に戻って逃避行を続けよう。  →77 #37  マンガ雑誌が落ちている。  見てみると、最新刊じゃないか!  ワニまるはラッキー! と手に入れるが、わたしは興味ないのでうれしくない。  と、近づいてくる足音!  わたしたちは再び走り始める。  →77   #38  仕方なく、ピッキングで鍵を開ける。  疲れきった体を、まずソファに投げ出す。  おもむろにテレビのチャンネルをオンにする。  何を見ますか?  1チャンネル→42  2チャンネル→67 #39  ネコのうんこだ! もろに触ってしまった!  その臭さに、よろりと転がった瞬間!  頭にぺちゃりとスライムのような感覚! 鳥だ! 鳥の糞爆撃を受けちまった!  新たなる挑戦のように新しい地雷を! 「ああ、ここ、防犯設備として、地雷設置してますのよ」  そこはどこの地球だ! 突っ込む間もなく、俺は天国へ一直線!  END #40 (ヒントは#83で出てきたバットエンドへの切符 83-43=40) 「ふふふ。ご自慢の自分の必殺技、自分で食らってみてどうだい?」  震える指。もうかすかに体を這わせることしかできない。 「さて、どうやって、料理してくれようかな?」  つかつかと近づいて来る遠藤。  じりじりと逃げようとするが、おそらく簡単に追いつかれて、アリのように踏み潰されるだろう。 「限りない退屈な牢獄に閉じ込められた代わりに、最高の贈り物を神さまはしてくれたよ! バッドエンドの切符! これからもじゃんじゃんヤっちゃうよ! ボクが生きるために……」 「この力に対抗する力はない。そう言ったよね」  あたしは囁く。  奴は、不思議そうに足を止める。 「確かに、世の中はバッドエンドで……。不幸に満ち溢れているのかもしれない。曇りない目で見たら、幸せなんかないのかもしれない……」  奴は、嬉しそうに頷いた。 「ボクへの賛辞!? いいねぇ。もっと言って! どうせもうすぐ断末魔の悲鳴になるんだから!」 「だけどね。幸せな人もいっぱいいる! こうして切り開いてきたのよ!」 「ばかな。もう君はバッドエンドの切符を手に入れてしまった。往復切符はないよ」 「どうかな?」  次の瞬間、私の陰に隠れたワニまるが、「バッドエンド」の切符をさらに貼る。  そう、ましろさんの黒い背広に、不吉な蜘蛛のように張り付いていたやつ! 「な! 何の真似を!? バットエンドの二乗で、もう君の負けは確定っ!」  セリフとは裏腹に、明らかに遠藤はビビっていた。 「バッドエンドのバッドエンドは、ハッピーエンド」  何か、私の体に「ピン」という閃があって、それは穏やかに広がっていく!  次の瞬間! 何か大きい鉄の壁が奴に降った!  看板だ! 老朽化した看板が落ちてきたのだ!  止めに、暴走したタンクローリーが前置きもなく突っ込んできた。  運転手が命からがら、シートから転げ落ちるのが視界の隅に見えた。  そして、怒れる肉食鯨みたいなそれは、綺麗に看板をひしゃぎ、爆発した。  これにて一件落着! Endingへ→108   #41  引き出しの中を調べる。  中には、ガチャガチャのオモチャ。フィギュア。そして新聞の切り抜きでいっぱい!   こいつの脳みそ垣間見たような気がする。  →88 #42  何か洋画をやっている。  刑事、と言っても、人生にくたびれ果てた刑事が主人公。  ノワールでハードボイルドなのが、俺と波長が合い、つい見てしまう。  さらに、周りから「そんな骨董品」と言われつづけても「スモルト」を愛用しているところが気に入った。  年中ヘッドフォンをつけているその男は、自殺願望がある。  なにせ、昔の事故。自分のハンドリング操作で、妻と娘を一気に失った。  誰も寝静まった夜。静寂が重力を持って押し迫ったとき、奴は行動を起こす。  相棒の六連発スモルトに、一発だけ弾を込めて、シリンダーを回す。 「神様に、このまま生きていていいかどうか」尋ねるためだ。  ドラムロールのように鼓動が鳴る中、カチリ! と言う音。  神様は生きろと言ってくれたようだ。  さて、ここまで読んでいただいた皆様、この事件のあらましはお分かりになったはずです。  ようするに、中村は何をやりたかったのか?  この事件のあらましを表すキーワードに深い関わりを持つ数字にジャンプ!  もし、分からなければ→52 #43  あたしが一歩近づくと、ひるむように遠藤は下がる。 「邪悪なものはすべて、このあたしが封じる!」  あたしの心、全身を駆け巡るようなビートとともに、これまで集めてきたカードが羽のように舞い上がり、配置され広がる。  そして、カードは、凛々しく気高い戦乙女のビジョンを取り、そして光が集まり、まばゆく輝き出す! 「ロイヤルクイーンズ! ストレート!フラッシュ!」  放たれた光の矢は、彼を粉砕、カードにして再構築……。  するはずだったが、  彼は切符を手にする。  その途端、光の矢はそれに吸い込まれるように、いやいやをするような激しい閃光とともに、切符に吸い込まれ! 「返すよ!」 「ぐふっ!」  全身がひっくり返るような衝撃!  バットエンドの切符を矢尻に、飛び込んできた、全ての光を吸い尽くすような漆黒の矢は、あたしの胸に付き、そして、 「ああああああっ!」  全身の血が、肉が、細胞がひっくり返る、沸き返るような激痛。  無限に続くと思われたその拷問の握り手が緩む。  もう、あたしは地にへばりつくしかない。  そんなことは無い。あなたには逆転の手が思いついているハズ。  その明確なヒントが示されているパラグラフは?  そのパラグラフから、このパラグラフを引いた数が、ラストへのパラグラフです!  また、ましろさんからパイソンを渡されているなら、それを使ってもいいです→104  もう打つ手がなければ、ここで冒険は終わり。  次回からは「バットエンド魔法少女かぼすちゃん」が始まります。  ウソですが。  END #44  なりゆきでマグロ漁船に乗ることになりましたー。  人生、わからんもんですねー。  END #45  その「アンノウン」との邂逅の後、すぐさま立ち寄った卓球のアジト。  いつも閉店状態のメイド喫茶「スマイルレス・スマイル」  彼女は、俺から話を聞くと、無表情なまま、ターンテーブルを操作し始める。  いや「クラブで皿を回す」のではなく、ターンテーブルが入力デバイスになっている、やつご自慢のPC。  そこでこの悪夢の名前を調べてもらう。 「彼女の名は遠藤バッド。殺し屋……かな? とにかくいつの間にか、人を殺すことが生業になってる」  薄暗い店内の中、ホログラムスクリーンのほのかな青をバックに、スクラッチが心地よく響く。 「ぜってぇあだ名だろそれ」 「本人は本名で通しているみたい。だけど、タチ悪いのは、コイツのやり方ね」 「コイツのやり方?」 「通称、バッドエンドマスター。こいつに狙われたら、そいつは必ず死が……。そうね、肉体的にも、社会的にもどっちのフラグもOK。  あるいは、『死』に等しいダメージを受ける」 「なんにせよ、相手はバッドエンドを迎える、ってか?」 「そう。加えて『可能性の殺人』って知ってる?」 「悪ぃ。最終学歴は小卒」 「例えば、ターゲットの前に今食べてるバナナの皮を投げ捨てる。ターゲットは偶然スマホに集中していて、バナナの皮を踏みつけ、頭を強打して死ぬ」 「おいおい。バナナの皮で転ぶこと自体、都市伝説……」 「こいつは、そんな都市伝説並みのそんな馬鹿なを実行している。加えて、これ彼女がやったらしい。バナナの皮を捨てる癖がある第三者を誘導。そして、パンっ」  俺に軽く引き金を引く真似をする。 「でもよー。これって、マジでそんな不運な事故にあった奴を、適当にあとから見つけてきて、『ハイ、私の仕業です』とか自己申告してるんじゃ……」 「わりに、最近、不運としか思えない人身事故が続いている」 「事故なんか世界中で起こってンだろ?」 「うん。おっしゃる通りだけど、それで得する人が、この町では続出している」  俺は、ゆっくりと煙草に火をつけようとする。 「やめて!」  卓球の鋭い叱責!  構うもんか→81  やめておく→62 #46  俺は容赦しなかった。  パイソンの太っとい銃声が一つ。いや、そのあいまに全弾撃った!  たちまち前タイヤが吹き飛び、運転手の頭がスイカになり、そしてボンネットがパカっと開いた! 「今だ! 飛ばせ!」  慌ててディーティー卿がアクセルをベタ踏みする!  まるでチョロQのようにカッ飛ぶヤリスの前、道を開けるように二つの車が別れる。  そして、飛び去った背後で爆発音!  →7 #47  ん? 今、何か手に触った。  手を引き抜く。  そこには、黒い血のように髪の毛が!  まさかとは思い、ベッドの下の闇に目を凝らす。  充血した目と、俺の目が合う!  こいつ! ずっとここに!?  叫ぼうとしたが、時すでに遅し。  口を、手を、足を髪の毛が絡めとり、そして俺もベッドの下の闇の住人に!  END #48  嘘おっしゃい! そんな合言葉出てきてないぞ!  ヒントは、捜査線上に出てきたDVD。  体力ポイントを1減らして、→77 #49  まずった!  もう打つ手がねぇじゃないか!  次の瞬間、スマホが爆発した!  バッテリーの老化か、それとも過剰充電による異常加熱か!?  ただでさえデリケートなバッテリーに「何かされた」んだ!  破片は、まごうことなく俺の頭に風穴を開けた  END #50  ややあって。  俺の相棒、石野(セクシー)卓球の関わったヤマ……「株の某トレーダーが、破産して自殺したよ」事件の調査が終わったんで、「馬場凡」にて打ち上げをする。 「まぁ、つまるところ株で大損したからね。典型的な自殺よ」  やつが丁寧に、メンマとチャーシューをより分けながら言う。 「まぁ、株なんて要するに高級合法博打だもんに」  俺はまだ来ないラーメンを思いながら、気のない返事をする。  テレビを見る。すると、やべぇ! ここの裏手のハンバーガーショップで、通り魔事件があったらしい。  犯人はまだ捕まっていないが、警察は「動機なき犯行」つまり「無差別殺人」として犯人を追っている。 「やだねぇ。なんか最近、こういうバッドエンドで終わる事件って、多くないか?」 「世の中は大抵はバッドエンドの方向へ向かっている。それを捻じ曲げるのが、人生最大の目的」  卓球らしい、お説教にも似たド正論。  俺は、この正論に対して沈黙は金で対抗する。  つまりは、早くラーメン来ねぇかな? ということに、一縷ののぞみをかけていた。  その時、電話が鳴った。  俺は……  出る→16  無視して、何かおもろそうなサイトを探す→10 #51  ラッキー!   先には障害となるものはなさそうだ!  そのまま駆け抜ける。  →4 #52  ちっきしょー。何も思いつかねぇや。  ということで、この事件はオシマイ!  次回もお楽しみにね(とぅはぁと)  END #53  で、来てみたんだけど、ウサギのぬいぐるみもっている人が一人。  しかし、それが頬に傷。グラサンとパンチパーマ完全装備のヤの付く自由業みたいな人。  声をかけてみようか?  Yes→89  No→55 #54  ましろさんが何かをばらまく!  まるで大きめの花吹雪に見えるそれは、万札!  たちまちそれに群がる人だかりが、遠藤との人壁になる! 「行くぜ!」  人ごみの中に見えなくなる奴を確認!  あたしたちは再び走り始める!  →77 #55 「やっぱりいたずらかなんかだったんだよ。帰ろう?」  あたりをキョロキョロするが「んー? あれ?」  ワニまるは何かに気づいたよう。  それは、風船を配っているウサギの着ぐるみ。 「私は大きすぎて目に見えないもの……。うん、『ぬいぐるみ』=『手に持てるサイズ』っていう先入観に騙されてた。声かけて見るワニ!」 あたしは…… 「よしましょうよ。仕事の邪魔になるだけよ」→57 「まぁ、いいか。間違ってたら謝ればいいだけだし」→ 96 #56 「こんなものが食えるか!」  ホームレスが怒り出したので逃げるが勝ち  →77 #57  ウサギのぬいぐるみ……  ウサギのぬいぐるみ……  って、いないじゃない!  一日中、待っていたけど、そんなもの持ってる人はいなかった。  →29 #58  ベンチの上に何か袋がある。  取ってみると、弁当だ!  冷めてはいるが、まだ手を付けられていない。  ここで食事して、体力ポイントを満タンにしてもいいし、任意のところで使ってもいい。  一休みしたら、逃げよう。  →77 #59  一発!  手が吹き飛ぶような反動!  しかし、弾丸はあさっての方向目指して飛んでいった! 「かぼすちゃん!」 「わかってるわよ!」  一発目が当たるとは思っていない。  震える心臓に呼応するように、二発! 三発!  しかし、六発全弾、火星だか目指して旅立った。 「ふふふ。今度はボクの番だ」  次の瞬間、横っ腹に焼けるような痛み!  見てみると、あれ? 血! 「跳弾だよ。おねぇちゃん」  そして。全弾六発。さらに勢いを増して牙を向いた弾丸が、牙を向いた。 「君って『魔法少女』なんだろ。君が『魔法』じゃなく、そんなあぶないオモチャに頼る時点で、君のバッドエンドは確定していたのさ」  薄れる意識の中、それが最後の言葉となった。  END #60 「ふぅっ! フウ! ここまで来れば!」  通行人もまばらな飲食店街の一角。ところどころにビールケース、段ボール、ホームレスの人たちがいる!  しかし 「ボク、遠藤エンド。待っていたよ!」  みると、向こうのラーメン屋から、ラーメン鉢を持った遠藤が!  ここまでで、大金を入手するチャンスがあっただろうか?  あったなら→54  持っていないなら、ここで奴に追いつかれゲームオーバー。 #61 「あ。でも、信じてください。あたし、本当に魔法が使えて……。魔獣とかも倒せて……」 「お嬢ちゃん。そんなこと人前で言うもんじゃないよ。頭を疑われちまう」 「動画とかもあるワニよ」 「てめぇは知世ちゃんか」  などといっているあいだに、 「うぉぉぉ! そこは俺らの席じゃい!」  叫び声が上がる。  振り返ってみると、うだつの上がらないサラリーマン風の男が、シートをしいた家族に怒鳴っているじゃない? 「だいたい俺にも、家族ってもんがいる! せっかく家族サービスをしてやろうと思ったのに、会社の方が席取りを命令! それでこの三日間、ここを死守してきたんだが、貴様ら! 俺が三日三晩貯めていたクソを出していたあいだによくも!」  ひくついていたこめかみの青筋が顔を覆い、震えていた手には爪が生え岩のような拳を作り、そして爆発するように服が避け、そこにいたのは、一匹の魔獣!  そのとたん、ましろさんのふわふわした野良のようなオーラが消え、見ているこっちがヒクぐらいの馬鹿でかい銃を抜く。  今や彼女は、獣人のような「戦うためだけに生まれてきた」ケダモノのような殺気を撒き散らしている。牙は巨大な銃! 「ま、まって、ましろさん! あれは人間なの!」 「うむ。『開放』という魔にとりつかれている。あれをカードに封印し、奴を戻してめでたしめでたしにできるのはボクらだけワニ」  ましろさんはにやりと笑う。 「いいだろ、お手並み拝見といこうじゃんよ」  トランプを一枚引いてください。  それが、敵魔獣の体力です。  続けて、トランプを一枚引いてください。  それがかぼすちゃんの攻撃力です。  かぼすちゃんの攻撃力が、相手の体力より上回ったら、かぼすちゃんの勝ちです。 結果は 勝った→63 負けた→99 #62 「吸ったら殺す!」といういつもの決め台詞ではないところが、いっそうの危機感を煽る。  やがて、卓球はガスコンロに行く。 「まいったね。長いあいだここに放置していたから、ガス漏れが起きてたみたい……」  俺の顔に、脂汗が流れる。  念のため、便利屋本部に問い合わせてみたが、ディーティー卿と俺を襲った奴は全くの無関係。  金だけもらってハイさよなら決めた奴を追っかけてたヤクザらしい。 「信じたくはないけど、これって悪運があなたを……」  W&K魔法探偵事務所の存在を知っているだろうか?  知っていたら、そこを指し示す数字は?  そこへジャンプ!  もしも知らなければ→49 #63  奴の連続して放たれる拳を、踊るようにステップを踏んでかわす。  それを追うようには、土埃とともに大穴があく、死の舞踏だ!  そして、うまく奴の背中に回り込み! 「今だ! 封印ワニ!」 「オッケー! キャッチ・デ・キャプチャー」  叫び声とともに、手の先に集まった光が、奴の心臓に打ち込まれる。  全身に光が走り、そして、人の形に戻りながら奴は倒れた。  そして、光とともにぽわっと浮き出てくるカード。 「へぇ! やるじゃん!」  ましろさんの顔からは、疑いの色が消え、すっかりこっちを信用している。 「だけど、こんな魔が出る、ということは、力をもったヤバイやつが来ている、ってことワニよ」 「ってぇと、俺を呪ってる奴が、来てるかも。ってことか……」  眉間にシワを寄せるましろさん。  →66 #64  ヤバイ! 見るからにヤバそうなホームレスと目が会った!  目は血走り、口元からはよだれをたらしながら「腹がへったと言っている」  何かあげるものがあるか?  弁当→56  本→94  無い、あるいは無視するなら立ち去ろう→77 #65 「加えてDVDがプレイヤーの中に入れっぱなし。再生したら、映画の途中から始まった。明日死ぬようなやつが、最後まで見ないっていう手はないかな?」  ディーティー卿は、さらにご機嫌な笑みを浮かべた。 「やるじゃないか! ほかにないかね」  ある→28  ない→100 #66  肩をすくめ、それから握手の手を出してくるましろさん。 「魔法少女なんて初めてみるぜ。便利屋、いや探偵の真似事つった方が早いかな? 飛葉ましろ。よろぴこ」 「あたしも、探偵さんなんて初めて見ました。かぼすです。」  ましろさんから、これまでの事情を聞く。 「そりゃ、『最悪な幕切れ』、って魔力の塊、ワニね」 「最悪な幕切れ?」  あたしとましろのはもった声に、ワニまるが力強く答える。 「うん。ほら、悪いことは立て続けに起きるって、あるワニよね。この『魔』は、そんなついてなさを一気に集めて、対象者を滅びさせてしまう。  つまりは運命を操るんワニね」 「えっ!? なんなの? それって……」 「そう、どんなに強いやつでも、どんなにスキルにたけていても、この不運の前では一切効果なし! 運命には従わなきゃワニね!」  ましろさんは血相を変えてわめく! 「オイオイ! 話が違うぜ! 俺ぁチート能力にはチート能力をと思って、ここ来たのによ」 「チートチート失礼なやっちゃワニね! こう見えてもワニは魔法インストラクターワニ! その人自ら言いおんやけん! 魔法は本当にあったんだァーワニよ!」  ワニまるを睨むましろさん。それをとりなそうと、  何か他の方法を考える→70  頼れる味方を呼ぶ→3 #67  あれ? ノイズしか写ってねぇじゃん。  そろそろオネムの時間か?  とろんとした頭で、それをぼーっと眺める。  都市伝説サイトを見たか?  Yes→91  No→87 #68  いかん! ボロ負けした!  たとえチート技があっても、麻雀のルールを知らないとなんにもならない!  そのまま漁船に乗るハメになったので、続きができねぇ!  END #69  さびた針を刺されて破傷風になって地獄の苦しみを味わいました!   そんでもって死亡!  BAD END  #70 「でも何か、例えば強力なハッピーを招き込む魔法、とかないのかしら? そう! バッドエンドの魔があるなら、ハッピーエンドの魔もあるよ!」  しかし、ワニまるは深刻そうに眉を潜め、首をかしげる。 「うーん。いくらヴェテランインストラクターのこのワニまるさまでも、そんな都合のいいもんは聞いたことナッシン! つーかあるなら全身全霊をかけて強奪してるワニよ!」 「じ、じゃあ、お姉さん! ワニまるのお姉さんは一級インストラクターなんでしょ? 聞いてみてよ!」 「うーん。どうだかワニー?」  そして、ワニまるは両手を突き出し「聞け! 汝大気の精霊よ! 澄み渡った風で、この声を運べ! 遠つ風のささやき!」  何かワニまるの先に光が集まったように見え、それをほっぽいて、すぐにワニまるは懐からスマホを取り出す。 「ち! ちょっと、魔法じゃないの?」 「進化しすぎた科学は魔法と区別がつかないワニ。つーか面白ければパクっていいのよワニ。使用料一回六百飛んで八円」 「微妙な値段、というのがまた……」ましろさんがぼやく。  やがて、ワニまるは要件を伝えて電話を切る。 「なんか留守電になってたワニ」 「じゃあ、今のうちになんか対策を立てておきましょうよ」 「いいね嬢ちゃん。なんか思いついたの?」  まるでわらい猫のようにニヤリと笑うましろさん。  あたしは手を振って、 「いえいえ、あたしじゃなくって、ワニまるが……」 「ええっ! ワニまるに振られても!」 「じゃあどうするのよ! だからいつまでも2級インストラクター扱いなのよ」 「使えねぇな2級はよ!」  悪態をつくましろさんに、 「そこ! 尻馬に乗ってけなさないでワニ! ワニまるもこう見えても常に頭脳は動かして、この局面をなんとか挽回する所存にございまするワニ!」  と、その時、電話がかかった! 「さっすが我が姉! もう打開策を考えて来てくれたワニね!」  嬉々として電話に出るワニまる。  しかし、そこから聞こえる声は、 「ふふっ、ボク遠藤バッド。みんなのすぐ近くにいるよ」 「どこだよ!」  ましろさんが叫ぶ。 「ここだよ」  真正面から堂々と、奴は入ってきた。 「こいつがバッド遠藤ワニね! おのれ! ふざけた名前名乗りやがってワニ!」 「あんたほどじゃないと思うけど」  遠藤と軽快な漫才を始めるワニまる。  今そんな時じゃないのに! 「下がってな!」  ましろさんの声が、低いけど威圧感のあるものに変わった。  そして、びっくりするほど馬鹿でかいリボルバーを取り出した。  それは、奴の心臓に向けられる。  しかし、遠藤は恐ろしい程冷めた目で、それを鼻で笑った。 「そう来なくっちゃね。ボクは刺激を求めてる。やってごらん!」  躊躇なく引き金を引こうとするましろさん。  しかし「あ…れ…?」  あたしの視界が歪む。目が! 鼻が! ヒリヒリする!  遠藤の形のいい唇が歪む。 「ダメだよ。トイレ。カビ取り剤と洗剤を一緒に使っちゃ。塩素ガスが発生する!」  溺れる! ひりひりするガスに溺れる!  肺の中の酸素、一粒残らず使い、そしてその場に倒れ込もうとした時に、  ガチャン!  凄まじい音と共に、あたしたちは外へ飛び出していた!  →76 #71  お部屋、そして屋上まで調べ、礼を言って彼女と別れる。  車上の人となった俺たち。  早速、ディーティーが聞く。 「で、ましろ。わかったことは?」  有効なてがかりはなんでしょうか?  屋上の欄干にあったあしあと→35  拾った煙草→102 #72 「ツーツーツー。この電話は今現在使われておりません」 「ましろくぅぅぅん! 下手な嘘はやめたまぃ!」  無視して、運ばれた料理に専念する。  割り勘上等!  →106 #73  釘地雷だ!   トランプを引いて  偶数ならば切り抜けた!→77  奇数ならば→69 #74  何か爬虫類が悲嘆にくれているような彼女に、「部屋を見せてもらっていいですか?」と聞く。 「ええ。実は私も、中はよく知らないんです」 「へえ?掃除とかあんたの担当じゃないの?」 「私も、時々は中に入って掃除をしたりするんですが、あれ動かしちゃだめ!とか、勝手にもの動かしたな!とか言われて、いつも口論になりますもの」 「無秩序の中にも、秩序がある、ってことか」  夢の町の「ご主人様」……引きこもりにみられる「固執的な行動」という奴だろう。  例えば「ユイちゃんのフィギュアはスタンドから3cm。さらにミニチュアの自転車は1cm後ろ」ということにこだわる。  大好きなアニメがあると、親の死よりもそれを優先する。  などなど。  偏屈に許される、「普通人」なら見逃すそんな些細なことにこだわるのは、ヒキでは日常だ。 「彼が掃除を協力してくれた、というのは、せいぜいが灰皿の吸殻をきれいにしてくれたぐらい、です」  目に入るのは、左側に積まれたDVDの棚。右側に積まれた本の棚。  雑然としているが、本の山はある程度テーマでまとまっている。  この中から、何か証拠を探すのは骨だろうな。  どこから手を付けるのか迷って10分。決意して掘りはじめる。  さて、どこから手をつけようか?  ベッドの下。→21  本棚→26  机の上→2  奥さんに話を聞く→88 #75  弁当を向こうへ放り投げる!  たちまちそっちへ殺到する犬たち!  と、奴らがたむろしていたところにコインロッカーのカギが!  犬がこっちに気づかないうちに回収して77へ  →77 #76  逃げる! 逃げる! 息の続く限り!  しかし、こんなに街は危険物で溢れていたっけ?  なぜかガラス瓶の破片、釘、針金だられの裏路地を、コケそうになりつつましろさんとあたしは走る!  さて、町を逃げ回るイベント突入!  まず、トランプを引いてください、出た数があなたの体力=指図してあるパラグラフに行ける回数です。  例えば1を引いたら、次のパラグラフの一回しか進めません。  イベントから戻って来て#77で、体力が0になっていたら、残念ながらあなたはその場に倒れ、もう二度と立ちあがれません。  ENDです。  →77 #77  さらに、トランプを引いてください。  それが、次に進むイベントのパラグラフです!  その数が 1なら→73 2なら→37 3なら→105 4なら→58 5なら→5 6なら→15 7なら→36 8なら→13 9なら→64 10なら→97 11(ジャック)なら→82 12(クイーン)なら→60 13(キング)なら→51 ジョーカーなら体力ポイント一個増やしてもう一度引き直してください。  もし、ここに戻って来ても、先ほど#76で説明したように、体力ポイントが切れていたら、あなたは心臓麻痺か何かで死んだってことでよろしく(๑≧౪≦)てへぺろ  では、幸運を祈ります! #78  帰ってきた彼女、中村祥子は、何やら宅配便の人と揉めていた。 「ですからね! それは勝手に主人が頼んだものです! いくら代引きでも、10万なんて額払えますか!」 「だけど奥さん。これ、昨日注文いただいたばっかりで、今日中に届けろっていうことで」 「それは主人が勝手にやったことです! 私が頼んだんじゃない!」  怒り心頭に達した彼女の剣幕に押され、すごすごと引き下がる宅配便屋。  ぶつぶつ言いながらも、こっちに気づき、「ひょっとして探偵卿の方?」  ディーティが頷き、俺たちの自己紹介をする。 「ごめんなさいね。私もさっき警察から帰ったばかりなんで」  「空腹のムッとした」感が俺の顔に出たのだろうか? ディーティー卿がとりなす。 「しかし、奥さんも大変でしたな。さっきまで警察の事情聴取で、そしてすぐさまこっちでもこんなことをしなければならない……。お疲れでしょう」 「いえ、こういうことは早めに白黒つけておいた方がいい。そう思って、探偵卿をお呼びいたしましたの」 「なるほど、自分でいうのもなんですが、お目が高い……。  警察の話だと、奥さんに連絡がつかず、遅れに遅れて、夕方ごろに亡くなられたことをお伝えしたというそうですが」 「そうなんですよ。劇場アトリエ猫舞台で、歌舞伎の『仮名手本忠臣蔵』を、全段見てました」  それを聞いたディーティー卿が目を見張る」 「通し狂言ですか!」 「そう、一日中やるあれ。観劇中はケータイ切っておくのなら、めんどくさいから家に置いてきたの」  ちょっとした拷問タイムが終わり、そして切り出すディーティー。 「すいません。おそらく警察の方にさんざん聞かれたでしょうが、質問いいでしょうか?」  さて、何を聞こうか?  彼の死について→24  彼との関係について→11  最近の彼の動向について→17 #79  床ねぇ。  一応調べてみっけど。なんかサハラ砂漠のように広い気がしてきた。  一面、ほこりと砂にうもれたコンクリートの床のように見えるが……。  なんか暗がりに転がってるぞ。調べようか? Yes→39 他の場所を調べるなら。 あっち→30 こっち→9 #80 「悪りぃ。残念ながらご期待に添えそうもない」  こんな調子で、事件は始まったんだが……。 →50 #81  次の瞬間、何が起こったのかわからない!  部屋ごと何かで大爆発を起こしたんだ! と気づいた時には、俺は地獄への階段を超特急で滑り落ちていた。  END #82  中古ガソダムセンターだ!  入る→95  無視しよう→77 #83  だけど、あたしはきっぱりという。 「お断りします。銃は何も生み出しません!」  ましろは、むっとしたように言った。 「あのなぁ、俺はあんたの身を心配して……」  しかし、あたしの決意は変わらない。  ましろはふっと力を抜いた。 「あ、そ。じゃ勝手にしろ! 骨なんて拾わねぇぞ」  後ろを向くましろさん。  その背広のえりに、何か見慣れないものが!  「そ、それは!?」  はがしてみると、それは切符。 「終点→DEAD END」とある。 「なるほどワニ。これをターゲットに貼り付け、バッドエンドを招く。そういう仕掛けワニね!」 「なぁる! タネがわかりゃ、こっちは……」  →101 #84 ・Sideかぼすちゃん 「かぼすちゃわわわわん。お小遣い稼ぎせーへん?」  パソコンの前に陣取る、あたしのパートナー、いやトモダチかな?  見かけはワニのぬいぐるみそのもの、ワニまるが声をかけてきた。 「へんな関西弁、つかいなはるな。ってあたしにも移ったじゃない!」  慌ててワニまるに返すあたしの名前は夏乃瀬かぼす。  自称一流インストラクターのワニまるに誘われて、以後ずっと人が持っていても強大すぎる「業」を封印している、カードチェイサーです。 「でも、それ、どういうことよ」 「ワニまるが関西弁使うのおかしいでっしゃろか?」 「違ーう! そのお小遣い稼ぎって?」 「ん? まぁ、ね」  ワニまるがあけたところには、何かファンシーな魔法少女、妖精が乱舞する「W&K魔法探偵事務所」というロゴが派手に踊っているページ! 「なんですってー! あなたの悩み、ぱぱっと魔法で華麗に解決!って、あなたねー。何を考えているのよ? こんなファンシーなサイト、逆に人が寄ってこないよ!」 「でもないワニよ。第一号のお客様は、ディーティー卿の助手、飛葉ましろ?」  ディーティー卿!?   って言ったら、日本を震撼させたテロ事件『鮫島さヴ』事件やら、街の住人が一夜にして消えた『方舟事件』などなど。 「ディーティー卿が行くところ、事件でないものも事件になる」とうたわれるくらい多数の事件を解決した名探偵じゃない!? 「うそ! ほんと!?」 「うそかどうかは、行ってみたらわかるワニ」  ワニまるは当たり前のことを当たり前に言ったけど、相手は立派なオトナの探偵さんよ。今から緊張しまくり。   「日にちは日曜午後三時。中央東公園で。  目印はでっかいうさちゃんのぬいぐるみ」 これは…… 「そうよね。ここは一つ、どきどきするけど行ってみよう」→53 「これ、いたずらかなんかじゃない? もしも本当でも、子どものあたしたちがなんとかできる問題じゃない。行かないわよ」→29 #85  見事に足元に何か転がる感触!  転がった頭の先に、何か割れる感触が!  頚椎切断でゲームオーバー  END #86 (#10を参照、W&K魔法探偵事務所メールアドレスの中に86という数字がある) 「おい、卓球、ケータイ貸せ」 「ケータイじゃなくって、スマホでよければ」  俺は彼女からひったくったそいつで、目当ての「W&K魔法探偵事務所」のサイトを探し出した。 「何をしているの?」 「オカルトにはオカルトをぶつけてやんのよ!」  次の瞬間! 卓球が弾丸のように俺を突き飛ばした。  目の前に、車が飛び出してきたのに、スマホに気を取られ、「行動が遅れた!」  そして、俺の代わりに卓球が宙を舞い、そして地面に!  卓球! 俺は叫んだんだが、彼女はもう薄目を開けていることしかできない。 「奴を…、不運の元凶を…たお……せば」  奴は、愛銃のM1934を震える手で差し出す。  俺は、まるであの世へ落ちようとする卓球をつなぎとめておくように、その手を銃ごと強く握る。 TO・Sideかぼすちゃん →84 #87  マズイ! だんだんと砂嵐に釘付けに!  ソレハオオキナクチトナリ。テトナリ。  テレビカラトビダシテキテ、オレハクワレル。  END #88   「ところでさぁ。事件の当夜。屋上、鍵がかかってたんだってねぇ。奴は、どうやって上まで行ったのさ?」 「ああ、それなら、彼が合鍵を持っています」 「そりゃなんだって?」 「あの人、何か行き詰まったら、屋上へ行くんです」 「なるほどねぇ。星空でも見て、気分を変えようってか? なかなかロマンティストじゃんか?」 「あの人がロマンティスト? まさか。そんなんだったら私は今頃ハイネですわ」  屋上だ。  満天の夜空ってやつか?  一応、立ち入り禁止のテープが貼っているが、ディーティーがいるから問題ねぇだろう。  さて、どこから調べようか?  床→79  あっち→30  ここ→9 #89 「人違いでもダイジョーブワニ! なぜならオイラにゃ爆発魔法があるワニよ!」  気楽に言うワニまる。  おいおい、休日の真昼間から物騒なことはごめんよ! 「あの? すいません? あなたがましろさん?」  勇気を振り絞って聞いてみると、おじさんが信じられないほど柔らかい笑みを浮かべ。 「ごめん、人違いだよお嬢ちゃん。他をあたってくれ」  笑顔で柔らかい物腰が、かえって怖い!  →55 #90 「ばらのつぼみ」  確かに合言葉は正しい!   →18 #91  マズイ! これはあの都市伝説サイトでやってた「人喰いチャンネル」!?  あわててテレビのチャンネルを変える。  →42 #92  マンホールのふたが開く。  漂ってくる下水のにおいは、まるで地獄の釜のふたを開けたような気分だ!  と、足音が近づいてくる。 「躊躇してるヒマ、ねぇらしいぜ」  ましろさんを先頭に、あたしたちが続く!  あたりはこびりつくような瘴気を持つ暗闇。  その中で、ましろさんのライトの照らした光の輪に映る風景だけが、正常に見える。  適当なところで、地上に出る!  お日様の光が、こんなに懐かしいとは!  →51 #93  じ、じゃあ。  確かに、ましろさんの言うとおり、この先何が起こるかわからない。  ならば、少しでも武器が多い方が有利なんじゃ?  受け取った銃が、あたしの手ごとそのまま重さで引きずられて下へ。  まさに大砲のように重い。 「いい子だ。後でキャンディごちそうするぜぇ」  手が震えるのは、重さのせい?  →101 #94  ホームレスは、よだれを垂らしながらマンガのページを繰る。  読むのかと思いきや、それを食べ始めた!  むさぼるように活字を口に入れるホームレス。  ましろさんは、何か思いついた。 「食事中悪ぃんだけどさ。ちびっこ連れたうさ耳メイドを探してるやつが来たら、北へ逃げた。って言ってくんない?」  そして、あたしたちは、東へ逃げる! →51 #95  入ったとたん、キミは宇宙世紀00XX年の宇宙をまたにかける戦場に!  悲しいけど、これ現実なのよね。  キミは生き残ることかできるか?  END #96  いくらなんでも、ただの宣伝バイトに見えるその人に近づく。 「あんたが飛葉ましろさんワニ?」 「違いますよ」  当然、そう来るよね。帰ろうと思った矢先。 「おたくらW&K魔法探偵事務所のもん?」  後ろを振り返ると、でかくてやたら目つきが悪い。「お水を」とか注文するだけで「てめぇでつぎな」とかえってくるような、どう見てもメイドには似合わないメイド服の人がいた。 「ラリったガキやらヘンメル中年が来たらやばいんで、ちょっくら様子をうかがわせてもらったぜ。  まー、外見はまともそうだけど……」 「お前が言うかなんだこのクリーチャーは! はっ、わかったワニ! 魔獣ね魔獣なのね! おっのれーこのメイドの服着たバケモン! いま我々が封じてやるワニ! かぼすちゃん! ヘンシンワニ!」 「いきなりのご挨拶じゃん。これでもおたくらの依頼人なんだけど」 「げっ! あんたが探偵卿ディーティー卿の助手、飛葉ましろ!?」 「どうやらそうらしい」  しかし、彼女は肩とウサ耳をすくめた。 「でも、言っちゃ悪りぃが、可愛らしいお嬢ちゃんじゃねぇの。俺の依頼は、血で血を洗ったりすすいだりするかもしれねぇ荒事たぜ。  家でおままごとでもしてる方がにあうんじゃねぇか?」  何かワニまるが反論しそうになる。  ワニまるに任せる→8  自分でなんとか説得する→61 #97  マンホールだ!  マンホールオープナーを持っているだろうか?  Yes→92  Noなら、逃避行を続けるしかない  →77 #98 ま、結果はボロ勝ち! 当然の結果と言えましょうぞ! こっちもいいお小遣い稼ぎになったし。  →50 #99  奮闘虚しく、魔獣の強力な一撃を喰らい、地に伏せる。  目を覚ますと、魔法少女に変身した学生警部栃木いずみちゃんが、ましろさんに手錠をかけていた。 「オイオイ。最近のケーサツって、そんなメルヘンなものに変身するのかよ。最近の流行りなのか?」 「うるさい。銃刀法違反で逮捕だ」 「テロしてる奴がいたら、撃つのが礼儀だし市民の義務でしょ。しっかしスゲェな。いくらブちこんでもぶち込んでも倒れねーの。ボコリがいがありそうだったぜ」  聞けば、誰かが通報して、近くを巡回していたいずみちゃんが駆けつけてみると、ましろさんが景気よく発砲していた。  魔はいずみちゃんが封印してくれたけど……。 「ああ、こんなやつとつるんでいたお前たちにも署の方で話聞かなくちゃな。かぼすちゃん。今日こそはじっくりお話しましょうね」  にこりと笑ういずみちゃん。  あーあ。しばらく動けそうにない……  END #100  ディーティー卿は、頷く。 「ということは、自殺の意図はなかった? まさか殺人?」 「どうやって? 奥さんにはアリバイがある」 「じゃ、やっぱり事故死かなぁ……」 「そう言い切るのは早い」  ヤリスのステアリングを切りながら、彼は言った。 さて、ディーティー卿が他殺を疑う理由は? その手がかりが書かれてあるパラグラフを、このパラグラフの数から引いください。 それが次のジャンプ先てす。 #101  人気のない一本道を歩く遠藤。  その時、予告もなしに、遠藤の上に黒い背広が覆いかぶさる。  いや、ましろが飛び降りざま、それをやつにかぶせた! 「どうだい! 気分は!」  しかし、ましろは、渾身のジャブを止め、そして手を押さえてへたり込む!  ましろの両手は真っ赤。そして、はらり落ちた背広の中にあったのは、大破したガラスケース!  渾身の力で、ガラス片を殴ってしまったのだ! 「あはははは! それじゃしばらくガンスリンガー休業だね!」  遠藤が、ましろの腹を渾身で蹴り、ましろは動かなくなった。 「ど! どうして!? こんなひどい! あんまりだよ! こんなことするの!?」  あたしは叫んだ!  遠藤は笑った! 「滅することができない、ってことは、退屈、いやそんな言葉じゃ表せないね。ほとんど死さ。生きているのに、確実に『死』ぬんだ!  君たちボンクラは「死」があるから幸せだ。というか、『死』があるから、人生というものに真摯に向き合える! 手応えを感じることができる!   いわば『死ぬこと』が生きることの目標さ。  だから、ボクは、敬意をもって、ボクを取り囲むものに、その『目標』、つまり『生きるための道しるべ』でいっぱいにすることにした!  他人の死はいい! 生きるための指標であり、ガソリンだ!   そして、いつかは自分も……」  恍惚の光が、奴の瞳に!  許せない! 「あんたが、悪かどうかなんて、誰にもわからない! だけど、人の運命を弄ぶあんたは、邪悪だと叫んでる! あたしの心が!」  →43 #102 「それじゃ何もわかってないじゃないか! ましろ君! 君クビ」  END #103  ましろパンチが炸裂!  キレたヤクザ、チャカを抜いた!  それはましろさんを狙うと見せかけて、あたしの方へ。  かわす暇はなかった。  END #104  あたしは、ましろさんの銃を構える。  重い!  まるで、大罪を鉄槌するハンマーのように重い! 「おやおや。どうした? そんな震えるお手手で、ボクを狙えるのかな?」  あたしは、引き金に力を加える。  重い。  まるで凍りついたように動かない 「おっと、本気そうだね。だけど安全装置はかかったまんまのようだ!」  えっ?→12  ハッタリだ! そのまま引き金を引く!→59 #105  缶を踏んだ!  トランプを引いて  偶数ならば切り抜けた! →77  奇数ならば→85 #106  え? ということは、もう依頼人に当たる奴いないよね!  おいおい、これじゃ、単なる「ましろ、その平凡な一日」になっちゃう!  それでいいのなら、ここでおしまい。  つーか、俺も飯食いに行きてぇ。  それじゃいやなら、一からやり直すこと。 #107  パソコンを調べる。  余計なアプリケーションがない、すっきりとした画面。  ネタリロと書かれたやつの文書ファイルを見る。  様々なネタに混じって、最新の書き込み。 「優れない体調。満載の雑事。そしてくだらないバラエティ番組。そろそろたまってきた。あれを決行せねば!」という文がある。  念のため、メールをチェックすると、ゲッ! フィギュアの注文履歴ばっか! 「念のため聞くけど、さっきの玄関前の騒動のフィギュアの注文履歴、って、この昨日のメール?」 「そうです。世界に数体しかない、命にかけても欲しいものらしかったですが、私にとってはゴミです。ただの粗大ゴミ!」  あとはめぼしいものなしか。  →88 #108 Ending 「おーけー。卓球、いや俺の相棒も回復したよ! これで無事みんな回り始める」  歌うような口調で、ましろさんが言う。 「まぁ、いろいろヘヴィなモノのサンドイッチになった、遠藤の姿形も見当たらないってとこが、不気味だけどワニねー」  ワニまるが言った。  そう、あのあとすぐに匿名で警察を呼んだけど、結局死体は出てこず、「不運な中での幸い」として片付けられた。 「きっとカード封印が間に合って、衝撃か何かで飛んでいっちゃった、と思いたい……」 「うーん。今までの流行りのように『実は奴は生きていた』続編展開は勘弁して欲しいワニー」  ワニまるも、言葉を続ける。  ましろさんは、煙草を加え、そして、そのまま火をつけないでつぶやいた。 「だけど、本当におまえさん、強いんだね」  えっ!? ちょっと!? あたし、そんなこと言われたら…。もう照れちゃうじゃない!? 「いえ、今回は運が良かっただけ……」 「いやいや。まずオタク、奴を『封じる』だけで、この世界から跡形もなく「排除」しなかったよな? 俺はそうするタイプなんだけど、このやり方は『俺が弱い』からさ。  この世界は、自分を抹殺してやろうとするやつも含めて、微妙なバランスで成り立っている。  だから、俺のやり方では、いつか『ヤったものにヤられる』だけだろう。  だけど、オタク、ともに生きる、って道を選んだ。  自分と正反対のやつとも、うまくやっていく道を探す、っていうのが、最も難しくって、強さがいる。  まずそれが感心したこと。  第二に、俺は、今度の強敵に対して、闇雲に恐れ、逃げ回るだけだった。  なにせ『運命』をナニしちゃう異能。さらにもう逃げ場がない。  俺はそれに目がくらんで、屈した。  だけど、そうじゃない。  そんな暗闇の中でも、手の内にあるカードを使って、自分の頭と体張って、正解を見つけなきゃならねぇ。  不幸じゃない、ってことは、即『幸せ』ってことじゃねぇんだな。  みんなそうやって、歴史をつないで、命をつないで、ここまで来たんだからさぁ。  気づかされたよ。  俺も、その感覚、しばらく忘れていたよ。俺も年を食ったね」  ましろさんは一気にそう言った。 「短い間だったけども、セッションできて良かった! じゃあな!」  背を向けるましろさん、あたしの唇から、ことばがあふれ出す。 「あの……」  ふりむくましろさん。あたしは一気に言う。 「あたしもです。また魔法少女の手が必要なら、行ってください! いつでもどこでも、飛んでいきます!」  言えた!  ワニまるが「へへーん。カッチョいいこと、言うようになったじゃんかワニ」と茶化し、ましろさんは笑顔を返す。  と、その時、 「おっ! いつものおさがわせ少女じゃないか!? 」 振り返ってみると、「怪事件のそばにかぼすあり」がモットーで、あたしを重要参考人としてしょっぴこうと手ぐすね引いている学生警部いずみちゃんが!  「しかも、横にいるのは! 違法捜査スレスレの手ばかり使う限りなく犯罪者に近いセクシーましろじゃないか! いい機会だ。しょっぴいてやる!」 「アハハ! 俺っていつの間にか有名人!」 「なんか手加減はいらなそうだな。よーし、私のリボルバーが歌っちゃうよ!」 「まずい、三手に分かれて逃げるワニ! あばよとっちゃーん!」 「ぎゃー、案の定俺を追ってくる!」  賑やかな追いかけっこの果に、彼らが見た真実とは!? 400字程度でまとめなさい。 GOOD END (BGM 『FIRECRACKER』SING LIKE TALKING) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■ ・あとがき謎解き。 まずは、ここまで自由な発想と書いてムチャクチャと読ませる蛮勇を快諾してくれた緒方氏に感謝を捧げます。 そして、読んでくれているあなたにも、感謝感激の雨嵐を! パラグラフジャンプでどうしても詰まる! 何考えとるんじゃゴルァ! な方は、以下に答えを記します。 ただ、これを見たら、面白さは半減します。 どうしても覚悟を決めた方は、どうぞ! #42→#6 #43→#40 #62→#86 #100→#22 いかがですか? 願わくば、みなさんがエンディングまでたどり着かん事を! Copyright:葉山海月 & FT書房 2025