聖フランチェスコ郊外にあるハイホロウの村は、滅亡の危機に瀕していた。
かつてこの土地を支配していた魔術師セグラスが造った地下迷宮。
今は誰もいないはずのこの迷宮から、凶悪なクリーチャーが出没するようになったからだ。
夜陰に乗じて怪物たちは村に近づき、村はずれに住む者たちをさらうようになった。
弱い村人たちは反抗することができず、怪物たちは少しずつ大胆になっていった。

怪物が村に手を出すようになってから1ヶ月ほどが経ったある日の夕方、村を訪れる影があった。
手勢の怪物を引き連れて、地下迷宮のあるじが姿を見せたのだ。
全身を板金鎧で固めたあるじは、自らを「黄昏の騎士」と名乗った。
黄昏の騎士は村人たちに、自分に恭順の意を示すように命令を下した。
従わないのであれば、怪物たちは1人ずつ村人をさらい続けて、最後の1人まで地下迷宮の底に連れ去ると。
そうなれば、待っているのは後悔の日々だと宣言していった。

ハイホロウ村の長は、聖フランチェスコ市に助けを求めた。
市はこれに応じて、迷宮探索のエキスパートである冒険者の一団を募ることに決めた。
政府から報酬こそ出ないが、迷宮内で見つけた財宝はすべて冒険者たちのものになるという、破格の措置である。



プロローグ

黄昏の騎士


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Last-modified: 2023-06-12 (月) 15:37:24 (343d)