暖かい陽気が冬の終わりを告げている。桜森の桜が満開に咲き誇るこの季節に、君は観光都市としても名高い聖フランチェスコ市にやって来ていた。子どもたちがはしゃいで走る声を聞きながら、水上都市として知られるこの街のゴンドラに揺られている。建物の間から空が見える。冒険の合間の、流れが止まったような時間。何ものにも代えがたい、貴重な時間だ。  ゴンドラを降りた君は、「穀物スコップ」大通りを歩いて陽気な〈パンと赤ワイン亭〉に足を運ぶ。昼過ぎから酒場は賑わっていて、暖かい気分にさせてくれる。  公示人が酒場に入ってきて、ざわつきが小さくなる。彼は手に持った羊皮紙を広げて、大きな声でその内容を告げる。ぎょうぎょうしい言葉の羅列を取り除いて言えば、「ハイホロウという村におもむいて、近くにある地下迷宮に潜り、『黄昏の騎士』を討ち取る」者を募集したいという、街からのお触れだ。  自分には無関係を思った人たちが自分たちの日常へと視線を戻すなか、すぐに立ち上がって公示人に声をかける。公示人はうなずいて、地下迷宮までの行き方を君に告げる。

黄昏の騎士


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