サン・サレンの周辺には豊富な石材が産出するため、他の地域よりもずっと早い時期に石の城が建造された。軍事的優位はこの石材の量と、珍しいドルツ石によってつくられる優秀な武具によって周囲を制圧できたことが、この街の支配的地位を確立する要因であろうと言われている。 サン・サレンより東の地域にはかつて森エルフが居住する地域があったが、トロールを中心とする悪の種族によって焼き払われた。サン・サレンにはエルフが難民としてたどり着いたエルフが今も居住する。
ろくな産業がなく、石材の輸出と冒険者の遺跡探索によってもたらされる外貨に頼る街。極寒の地にあるため、人口が増える見込みもない。その一方で、支配するほどのメリットがないと周辺国からみなされているため、他都市からの侵略を受けたことがほとんどない。産出されるドルツ石の影響でサン・サレンという都市が軍事的に優秀であることは、周辺都市の悩みの種となっている。サン・サレンは「支配しても旨味はないが、放っておくと他都市を狙いはじめる」厄介な街である。厄介に輪をかけているのが支配者の好戦的な性格である。領主ラドス・フォン・ハルトは名前のとおりハルト家のもので、蛮族都市フーウェイの支配者と同じルーツを持つ。
北方都市サン・サレンは取り立てて目立った特徴のない、内陸部の都市である。大陸北東部はもっとも寒暖差の激しい地域であり、夏は人間の体温よりも高い温度となるが、冬は息が凍る雪国と化す。 サン・サレンは北東部最大の河川である霜降川に面しているため、内陸にしては比較的温暖な過ごしやすい街ではある。それでも、冬季は河川が凍結する不便さには変わりがなく、この地を訪れるのは珍しい動物や怪物の毛皮を狙うハンターか、商魂たくましい交易商人ぐらいのものである。 現在の王はラドス・フォン・ハルト。フーウェイの王(部族長)の血を引く蛮族であるものの、サン・サレン育ちの「文明的な」人物。